【今回のまとめ】
1.10月の下げを取り戻した後、米国株の動きは鈍くなっている
2.市中金利はまだ低い水準にあるので株式は買いだ
3.11月、12月、1月は季節的に株が高い
4.大統領の任期の3年目は株が強い
5.次のFOMCでは「当分の間」という言葉が使用されなくなる
6.その場合、株は下げるが、今回の調整は浅い
ここから、どうする?
9月下旬から始まった米国株の調整局面は10月半ばにボトムを付け、その後V字型回復を見たことで終結しました。やられた分を全部取り返した辺りから、マーケットの動きは鈍くなっています。

そこで問題は「ここから、どうする?」ということです。
結論を言うと私は「強気のままで良い」と考えています。
私がそう考える第一の理由は季節的に11月、12月、1月は米国株がとりわけ強いということが経験的に知られているからです。
第二の理由は先進国の中央銀行が緩和的な金利政策を維持しており、低金利が株式のバリュエーションの下支えになると思うからです。
この点について少し言葉を足しておくと、一般に株と市中金利は競争関係にあります。いま銀行にお金を預けておくだけで高い利子を貰えるのであれば、わざわざリスクを取って株を買うのは馬鹿げています。
つまり金利が高くなるほど株式にとっては「アゲンストの風」が吹くというわけです。
その点、先進国の金利はまだまだ極めて低いです。下は米国10年債利回りですが現在の水準は2.39%です。

これは債券や預金より、株の方が相対的に魅力が高いことを示唆しています。
加えて米国大統領の任期の三年目は相場が高いことで知られています。

したがって、今は弱気になるべき時ではないのです。
10月中旬の、怖いところで勇気を出して買っておけば面白いように儲かったわけですが、ここから先は、少し辛抱が必要な局面かも知れません。それでも条件は株式の投資家に有利であることに変わりはありません。
12月のFOMCは波乱が予想される
次の連邦公開市場委員会(FOMC)は12月の16、17日です。このFOMCではひとつの重要な区切りが発表されると思います。それは「当分の間(considerable time)」低金利を続けるという表現が声明文の中から削除されると予想される事です。
そう考える理由は10月の失業率が5.8%まで下がり、FRBの考える平常時の失業率を達成してしまったことに因ります。

ちなみに去年の12月の時点でFRBは2014年10月の失業率として6.3~6.6%を想定していました。だからFRBの当初の予想より1年近く早く雇用は平常に戻ってしまったのです。
これを受けて市場参加者は再び来年のFRBのフェデラルファンズ・レートの利上げタイミングが前倒しになることを織り込み始めています。シカゴ・マーカンタイル取引所のフェデラルファンズ・フューチャーズのコントラクトは2015年9月の時点で同レートが0.5%になる確率が雇用統計発表前の12%から、発表後には56%に跳ね上がったことを示しています。
さて、FOMCのステートメントから「当分の間」という表現が消えると、株式市場はちょうど9月の下げと同じように動揺すると思われます。
9月の米国株安の局面ではドルも売られました。従って12月も再び9月から10月半ばにかけての相場の動きと同じ流れになることが予想されます。
しかし前回と今回との違いは、株式市場の季節性です。
9・10月は米国株が弱いことが知られているため、前回の下げ局面ではそういう季節性を踏まえた「売り仕掛け」がみられました。これと対照的に12月は相場が良いことが知られているので、ちょっと下押した局面では待ちきれない買い物が殺到すると思うのです。
従って、次の下げ局面では積極果敢に打って出たいと思います。
さて、銘柄ですがポートフォリオのコアにはアリババ(ティッカーシンボル:BABA)を据えたいと思います。
また承認されたばかりのC型肝炎治療薬「ハーボニ」に1錠10万円という途方もない強気の価格設定をしているギリアド・サイエンシズ(ティッカーシンボル:GILD)も業績的に極めて勢いがあります。去年のEPS実績$2.04に対して、今年のコンセンサス予想は$7.95、2015年のコンセンサス予想は$9.90という高い成長が見込まれています。
クリスマス商戦絡みではセクシー・ランジェリーの「ビクトリアズ・シークレット」を展開しているLブランズ(ティッカーシンボル:LB)にとりわけ勢いがあると思います。
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