世界投資へのパスポート
【第404回】 2016年2月8日 広瀬 隆雄

2016年初頭からの世界同時株安を尻目に
過去2か月ほどで2.5倍になった株とは?

<今回のまとめ>
1.ハーモニーの株価は年初から既に2.5倍になっている
2.地道な経営効率改善で黒字化達成
3.今年中に無借金経営へ
4.パプア・ニューギニアの含み価値はほとんど株価に反映されてない

年初来2.5倍のパフォーマンスをみせる
ハーモニー・ゴールド・マイニングとは?

 下はハーモニー・ゴールド・マインズ(ティッカーシンボル:HMY)の最近の株価チャートです。

 見ての通り、年初来で2.5倍に化けています。

 ハーモニー・ゴールド・マイニングは南アフリカ第3位の産金会社です。同社の米国預託証券(ADR)はニューヨーク証券取引所に上場されています。

 同社は1950年に南アで創業された産金会社で、その金山の大半はこれまで南アにありました。

 同社は1995年から2007年までバーナード・スワネポルというカリスマ経営者によって経営されていました。スワネポルは2000年代の半ばにライバルのゴールドフィールズ(ティッカーシンボル:GFI)を「小が大を呑む」かたちで買収しようとし、それに失敗し、同社を去ります。

長い業績低迷期を経て
先日発表の決算で久しぶりに黒字化

 その後、南アの金山はどこも金塊のグレードが劣化し、採掘コストは上昇し、労働争議は増加するという三重苦に遭います、その中でハーモニーも大きく業績を落としました。

 これに最近の金価格の下落が追い打ちをかけたため、同社の株価は2011年の16ドル付近から去年の11月の最安値のわずか53セントまで低迷していました。

 しかし同社はじっくりと現場でのオペレーションを立て直すことで、最近、ようやくターンアラウンドしています。

 先週発表された2015年12月31日締めの第2四半期決算では、売上高が3.21億ドル、EPSが1セントでした。

 金生産の際に出る残土をていねいに極小化したことでグレードは+7%上昇しました。また生産高も+2%増えました。その一方でコスト(1オンス当たり950ドル)は-7%改善しました。

 この結果、これまでは採掘コストが金価格を上回った状態、つまり赤字操業だったのが、第2四半期には久しぶりに7400万ランドの黒字が出たというわけです。第2四半期の営業キャッシュフローは7300万ドルでした。

パプア・ニューギニアの金山を発見したが、
株価にはほとんど反映されていない

 さて、現在、同社の売上高はほとんど南アの金鉱からもたらされています。しかし同社はパプア・ニューギニアにゴルプという金山を発見しました。

 その権益の半分をライバルのニュークレスト・マイニングに売却し、それで得た現金を負債の返済に充てました。

 現在、ハーモニー・ゴールド・マイニングの負債総額は1.6億ドルであり、これは鉱山会社としてはかなり少ない方です。同社は営業キャッシュフローが黒字に転換したわけですが、当面は、さらに借金を返済することを経営の優先課題としており、2016年中に無借金経営に持って行きたいと語っています。

 同社の会計年度は2016年6月で終わりますが、その時に取締役会で配当を復活させるかどうか討議するとしています。

 市場関係者の関心としてはエンパイア・ステート・ビル5個分に相当する鉱床に2020万オンスのゴールド、940万トンの銅が眠っているとされるゴルプ金・銅山を開発するにあたり、その開発資金を工面するため株式の公募をするのではないか? ということです。

 同社はこれまでのところこの観測を否定しており、少なくとも向こう2~3年は、営業キャッシュフローの中からパプア・ニューギニアの開発の費用を工面するとしています。

 なお同社のパプア・ニューギニアの金山の含み価値は、同社の株価にほとんど反映されていないと思います。

 同社の発行済み株式数は4.36億株で、普通株とADR(米国預託証券)の比率は1:1です。従って時価総額は先週金曜日のADR引け値、$2.34に基づいて10.2億ドルになります。