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不動産投資で、銀行へのヒアリングと物件探しを同時並行?気になる「スムーズに融資を受けるコツとは?」

2022年5月17日公開(2022年5月17日更新)
八木 エミリー
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 はじめて不動産投資で物件を買うときは、金融機関から融資を受けるまでが一苦労。実は不動産投資で物件を買うときは、金融機関の融資の条件に合わせて物件探しをすると話がスムーズに進みやすくなるのです。今回は、スムーズに融資を受けるコツというお話をしていきます。

イラスト:freehand / PIXTA(ピクスタ)

 金融機関から融資を受けることを前提とする物件選びの方法は、大きく2つです。

①自分が希望する物件を探してから融資先を見つける
②融資の条件に合う物件を探して融資を受けやすくする

 もし金融機関に面談を申し込んで「物件次第ですね」といわれた場合、その金融機関に合わせた物件選びをするために、次のようにヒアリングしてみます。

 「それでは、よい条件の物件が出た際には、ぜひご相談させていただきます。御行の融資条件に合う物件を探したいと考えておりますので、よろしければ条件をお聞かせいただけますでしょうか?」

 確認するのは、②の条件です。融資可能な物件の条件は、金融機関ごとに違います。金融機関によっていうことがバラバラですし、同じ金融機関でも支店によって細かな条件が異なることも多いので、私は1件1件ヒアリングを実施。

 同じ金融機関でも、「大店」といわれるもっとも取引額が大きい旗艦店と、エリアごとにある支店に分かれます。しかも支店には伝統的にランク(序列)があって、それぞれの担当者によっても対応が違うことが多く、「自分の預貯金は大店にあるから、融資も受けやすいだろう」ということはないようです。

融資のための金融機関は中規模の支店を選ぶ

 むしろ中小規模の支店のほうが、新規客の開拓に意欲的だったりするため、好意的な対応をしてくれる可能性が高い印象があります。大店は法人顧客が多いので、一個人に向けた融資額では店舗全体の成績へのインパクトが限定的にならざるを得ません。融資決定には銀行内で稟議を通しますが、その労力は対法人と対個人とでさほど変わるものではないでしょうから、それであれば融資額が大きい法人融資のほうが優先されるのでしょう。

 私の経験による印象からすると、急行が止まる駅の近くにあるような、中ランクの支店が狙い目です。そのような支店には、新規開拓に熱心な若手の担当者がいるので、融資の相談にも乗ってもらえる傾向があります。担当者から支店長までの距離も近いので、融資の判断をする支店長決裁のスピード感も、大店に比べると速い印象です。

 一方、①の自分が買いたいと思う物件を見つけてから銀行を探すとなると、私の経験では「金融機関に電話してアポ取り→資料提出→面談→融資決裁を得る」という一連の流れに1カ月以上かかってしまいます。自分が買いたくなるような優良物件は、他の人にとっても魅力的ですから、競争になりやすいです。そうなると融資の決裁を得ようとしている間に、買うつもりだった物件が売れてしまう可能性が高くなります。もちろん、優良物件はいつどこでめぐり会えるかわからないので、常に情報収集することを意識しなければなりません。だから、私は銀行へのヒアリングと物件探しを同時並行的に進めているのです。

【ポイント:金融機関に融資をしやすい物件の条件を聞いておく】

 「金融機関」とひと口にいっても、いろいろあります。
 不動産賃貸業に融資をしている金融機関は、おもに銀行・信用金庫・信用組合などです。それぞれの違いをご存じでしょうか?

 社会人の方は給料の振込先や貯金のために口座を持っている銀行が、もっとも身近な金融機関だと思います。だからといって不動産投資をする際、銀行が一番融資をしてくれやすいかというと、実はそうともいい切れません。年収数千万円クラスで銀行口座に現金がたっぷりあるような人は別です。けれども年収が数百万円から1000万円くらいまでの一般的な会社員の場合は、信用金庫や信用組合のほうが、融資してもらいやすいケースも多いでしょう。

 信用金庫は、その地域に住む人々が会員になって、お互いが地域の繁栄を図るための相互扶助を目的としている金融機関です。信用組合も同じ協同組織の金融機関で、組合員の相互扶助を目的としていますが、組合員の資格が少し異なります。

 信用金庫と信用組合は若干の違いはありますが、ともに非営利の金融機関です。ともに会員や地域社会の経済的な発展を目指している点は同じで、会員や組合員を対象に融資する点も同じ。また、どちらも預金が1000万円以上あると大口顧客としてみなされるので、それが可能であれば融資を受けるときも優遇されやすいでしょう。

信用金庫は、購入物件と自身の居住地に制限がある

 ただし、難点が1つ。
 融資を受ける人の居住地と購入物件が、その信用金庫の営業エリア内にあることが原則条件となります。信用金庫は、地域に即した事業をしている会員や組合員に融資をするという基本ルールがあるからです。私も以前、地元・愛知県内のいくつかの信用金庫に融資の相談をしたことがあったのですが、東京に住んでいることから断られ続けました。その後、例外的に実家のすぐそばにある信用金庫が、私の地元活性化に向けた思いに共感してくださって融資してくれたのです。私が通っていた地元の高校の話題など、ローカルな話で盛り上がったのも信頼関係につながったのでしょう。

 遠く離れたところに住んでいるオーナーはリスクが高いとみなされがちなので、基本的には自分の居住エリアから、そう遠くない範囲で物件も融資先も探すほうが効率的です。実際、不動産投資家が金融機関から融資を受けるために、都心から埼玉・千葉・神奈川などのベッドタウンに移住するケースも少なくありません。

 人口が多くて物件も買いやすいエリアであれば、信用金庫から融資を受けられる可能性が高くなるからです。銀行であれば、みずほ銀行・三菱UFJ銀行・三井住友銀行といった都市銀行や、千葉銀行・横浜銀行といった地方銀行(第一地方銀行)より、東京スター銀行や京葉銀行などの第二地方銀行のほうが、融資の相談に乗ってもらいやすいでしょう。エリア密着型で不動産投資をしていると、地元の金融機関や管理会社との関係も構築しやすいので、いざというときに相談しやすくなります。

【金融機関の主な種類】
・メガバンク(都市銀行)
大都市を中心に全国的に支店を展開する規模の大きな金融機関。みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行が3大メガバンク

・第一地方銀行
各都道府県に本店を置き、地方を中心に営業している金融機関。全国に62行あり、一般社団法人 全国地方銀行協会の「地方銀行リンク」のページで一覧を確認できる。

一般社団法人 全国地方銀行協会 https://www.chiginkyo.or.jp/

・第二地方銀行
第一地方銀行に比べて規模が小さめで、地域住民や地元の中小企業が主な顧客。全国38行で一般社団法人 第二地方銀行の「加盟地方銀行一覧」のページで確認できる。

一般社団法人 第二地方銀行 https://www.dainichiginkyo.or.jp/

・信用金庫
信用金庫は「信用金庫法」によって設立された法人で銀行ではない。営業エリアは地方銀行より狭い。信用金庫は全国に140金庫あり、一般社団法人 全国信用金庫協会の「全国の信用金庫ご紹介」のページで一覧を確認できる。

一般社団法人 全国信用金庫協会 https://www.shinkin.org/

・政府系金融機関
政府からの出資によって特殊法人として設立された金融機関。民間が融資しにくい中小企業などに賃金を供給するのが役割で、投資家が利用できるのは日本政策金融公庫、商工中金。

 私は1棟目を買った後、同じ金融機関から次の融資を受けるときに、金利を少し下げてもらったり頭金を少なくしてもらったりする交渉ができました。けれども、はじめての金融機関ではなかなかできません。エリア特化型の不動産投資は、人情味のある不動産賃貸業ができる点でメリットを感じる人もいるようです。

 そうしたこともふまえて、自分の居住エリアは不動産投資に有利なのか、物件を買うとしたらどのエリアを希望するのかをよく比較検討することが大切。大手不動産投資サイト「楽待」を見れば、金融機関から融資を受けている不動産投資家の実態がわかるデータや記事も掲載されていますから、私も参考にしています。

【ポイント:メガバンクより信用金庫・第二地銀】

 今回は、スムーズに融資を受けるコツというお話をしました。これから不動産投資を始めたい人は、「金融機関の融資の条件に合わせて物件探しをする」ということを、ぜひ頭に入れておいてくださいね!

 

●八木エミリー  投資家。野村證券に入社後、新人で東海地区の営業成績ナンバーワンとなり、最年少講師に。26歳で辞めた後は、不動産投資を開始し、7棟の不動産を所有(購入額7.5億円)。不動産投資の自己資金は徹底した節約で貯めたもの。現在はIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)として中立の立場で金融商品のアドバイスなども手掛けている。20代30代を中心に経済的自立を目指すお金ビギナーを救う活動を「マネ活」としてメルマガ配信などを行なっている。著書に『今からはじめれば、よゆうで1億ためられます!』『元証券ウーマンが不動産投資で7億円』(ダイヤモンド社)。最新刊は、『放置しておくだけでふつうにお金が増える投資術』(ビジネス社)

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