2022年10月に新規上場した「IPO株」9銘柄の動向を、アナリストが徹底分析!
ダイヤモンド・ザイ2023年1月号の連載「10倍株を探せ!【IPO株】研究所」では、IPO株の専門家であるダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチの小林大純さんが、2022年10月に新規上場した「IPO株」全9銘柄を「買い」「強気」「中立」「弱気」「売り」の5段階で評価している。今回はそれに加えて、大型IPO株の上場が相次ぎそうな、12月以降のIPO市場の展望も公開!
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10月に新規上場した「IPO株」は全部で9銘柄!
なかでも、1年ぶりの大型IPO「ソシオネクスト」が注目の的に!
10月は9社が新規上場したが、すべての銘柄が公開価格を上回る初値をつけた。公開価格に対する初値の平均騰落率はプラス50%で、9月の62%を下回っている。ビジネスコーチ(9562)やpluszero(5132)は2倍を超えたものの、全般に控えめな初値となった。背景には、9月のIPO株が初値をつけた後、軒並み急失速したことがある。
「投資家が、初値の過度な高騰に警戒感を強めたと思われます。もっとも、投資家の買い意欲が弱い、資金余力がないという印象はありません」(ダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチの小林大純さん)
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そんな中で注目されたのが、公募・売出規模が768億円の大型IPOとなったソシオネクスト(6526)だ。この規模の銘柄が新規上場するのは、およそ1年ぶりとなる。上場前には、半導体関連株が全体的に下落している状況もあり、株式需給面を懸念する声が多かった。そもそも本当に上場できるのか、という疑念もあった。今年前半、公募・売出規模が50億円以上程度の銘柄で、上場中止が相次いだからだ。
しかし、ソシオネクストは無事上場にこぎつけたのみならず、初値から公開価格をしっかり上回り、その後の株価も大きく上昇。「公開価格がかなり保守的な設定だったことも好発進の一因ですが、有力IPO銘柄への投資ニーズの強さを印象づける結果となりました」(小林さん)
10月7日に発表された住信SBIネット銀行の上場申請も、これと無関係ではなさそうだ。同社は今年3月、公募・売出規模1000億円超の大型IPOとして注目を浴びながら、直前に上場を中止した経緯がある。また、スカイマークも再上場の申請が報じられている。“ソシオネクストがいけるなら、ウチもいけるのでは”というわけだ。
小林さんは「年末までにこれらが市場に登場する可能性がある」と指摘する。7月に上場申請を行っている楽天銀行も含め、今後の動向を注視したい。
以下に、10月上場のIPO株9銘柄の投資判断や、分析コメントを紹介する(※株価などのデータは、すべて11月4日時点)。銘柄によっては、新規上場直後の銘柄にありがちな極端な株価の上昇により、すでに高値予想を上回っている銘柄も。ただ、「強気」の投資判断がついた銘柄は、成長性が高い株であることに変わりはないので、押し目買いも検討してみよう!
【※「IPO(新規公開株)」の最新情報はこちら!】
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2022年10月の【IPO株】9銘柄を徹底診断! |
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上場日 | 公開価格 | 初値 (騰落率) |
株価 (11/4) |
PER (PBR) |
今後1年の 高値予想 (安値予想) |
投資判断 |
6日 | ◆FIXER(5129・東G) | |||||
1340円 | 1822円 (+36.0%) |
1615円 | 23.7倍 (6.87倍) |
2000円 (1200円) |
中立 | |
【分析コメント】クラウド特化のシステム会社。成長期待は強いが前期特需の反動や成長投資で減益予想。ただ、前提が保守的で上ブレも。 | ||||||
7日 | ◆キューブ(7112・東G) | |||||
2140円 | 2190円 (+2.3%) |
1811円 | 19.5倍 (5.45倍) |
2600円 (1600円) |
強気 | |
【分析コメント】ゴルフウェア「MARK&LONA」が機能性とカジュアルさで人気。公開価格はやや強気だったが、来期も業績拡大に期待。 | ||||||
12日 | ◆ソシオネクスト(6526・東P) | |||||
3650円 | 3835円 (+5.1%) |
6020円 | 15.6倍 (2.02倍) |
6500円 (4200円) |
強気 | |
【分析コメント】富士通とパナソニックHDのSoC事業を統合したファブレスの半導体メーカー。需給などの懸念を打ち返し、好発進。 | ||||||
19日 | ◆SBIリーシングサービス(5834・東G) | |||||
2980円 | 3300円 (+10.7%) |
3310円 | 9.0倍 (1.65倍) |
4200円 (3000円) |
中立 | |
【分析コメント】航空機・船舶等のリースファンドを組成・販売。コロナ禍からV字回復で業績は過去最高の見込みだが、株価は相応の水準。 | ||||||
20日 | ◆ビジネスコーチ(9562・東G) | |||||
2070円 | 4155円 (+100.7%) |
2242円 | 17.2倍 (6.69倍) |
3000円 (2000円) |
中立 | |
【分析コメント】ビジネスコーチングや人材コンサル。研修と一線を画し、生産性向上ニーズを取り込むも、2022年9月期はコスト増で減益へ。 | ||||||
26日 | ◆リンカーズ(5131・東G) | |||||
300円 | 503円 (+67.7%) |
545円 | 48.1倍 (4.92倍) |
700円 (400円) |
中立 | |
【分析コメント】ものづくり領域のマッチングサービス。金融機関向けや技術情報調査を軸に成長、脱炭素関連も拡大。ただPERは高め。 | ||||||
26日 | ◆Atlas Technologies(9563・東G) | |||||
1440円 | 2320円 (+61.1%) |
2192円 | 36.7倍 (16.83倍) |
3000円 (1800円) |
中立 | |
【分析コメント】フィンテック領域のコンサル。ドコモ「dカード」の新システム開発などで実績。成長期待大だが、PERは妥当な水準。 | ||||||
27日 | ◆FCE Holdings(9564・東S) | |||||
1560円 | 2060円 (+32.1%) |
1536円 | 15.9倍 (5.75倍) |
2200円 (1300円) |
強気 | |
【分析コメント】「7つの習慣」で有名な教育研修事業とDX支援を展開。業務自動化ソフトが好調で、利益成長の柱に。株価は上昇余地あり。 | ||||||
28日 | ◆pluszero(5132・東G) | |||||
1650円 | 3805円 (+130.6%) |
6720円 | 143.6倍 (70.29倍) |
7500円 (4000円) |
強気 | |
【分析コメント】AI・ITによる経営課題解決や、システム開発が柱。「仮想人材派遣」の普及に注力。高PERだが、成長期待が大きく注目。 | ||||||
※データは2022年11月4日時点。 |
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【2024年12月2日時点】
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◆SMBC日興証券 | ||||
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) | ネット配分・抽選方法 | 口座数 | ||
2023 | 2022 | 2021 | ||
19社 52社 |
24社 47社 |
26社 80社 |
10%:1人1票の平等抽選 最大5%:「ステージ別抽選」※1 |
345万 |
【ポイント】 大手証券の中でもIPOに力を入れており、例年、主幹事数・取り扱い銘柄数ともに全証券会社中でトップクラス! また、国内五大証券会社のひとつだけあり「日本郵政グループ3社」や「JR九州」「ソフトバンク」などの超大型IPOでは、主幹事証券の1社として名を連ねることも多い。10%分の同率抽選では、1人1単元しか申し込めないので資金量に関係なく誰でも同じ当選確率となっているのがメリット。さらに、2019年2月からは、預かり資産などによって当選確率が変わる「ステージ別抽選」がスタート。平等抽選に外れた人を対象にした追加抽選で、最高ランクの「プラチナ」だと1人25票が割り当てられて当選確率が大幅にアップする。 ※1 預かり資産残高などによって決まる「ステージ」ごとに、別途抽選票数が割り当てられる。 |
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◆SBI証券 | ||||
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) | ネット配分・抽選方法 | 口座数 | ||
2023 | 2022 | 2021 | ||
21社 91社 |
13社 89社 |
21社 122社 |
60%:1単元1票の平等抽選 30%:「IPOチャレンジポイント」順に配分 10%:知識・経験・資力と取引状況を踏まえて配分 |
1245万 ※ |
【ポイント】 ネット証券にもかかわらず、主幹事数、取扱銘柄数ともに大手証券会社に引けをとらない実績を誇る。特に取扱銘柄数がダントツで、2023年は全96社中91社と約95%のIPO銘柄を取り扱った。つまり、SBI証券の口座さえ持っていれば、ほとんどのIPO銘柄に申し込めると考えていいだろう。個人投資家への配分の100%がネット投資家へ配分されるのも魅力。1単元1票の抽選なので、多くの単元を申し込むほど当選確率は高くなる。当選確率がアップする「IPOチャレンジポイント」が、資金量・取引量と関係なく、IPOに申し込み続ければ誰にでも貯められるのもメリットだ。また、スマートフォン専用サイトでIPOの申し込みや情報確認ができるのも便利。 ※SBIネオトレード証券、FOLIOの口座数を含んだSBIグループ全体の口座数。 |
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※ 主幹事数、取扱銘柄数はREITを除く。口座数は2023年12月末時点。 |