IPO株の銘柄分析&予想

2023年4月の「IPO株」9銘柄の中で“買い”なのは?アナリストが高く評価したのは、キャッシュレス関連の「トランザクション・メディア・ネットワークス」!

2023年5月21日公開(2024年1月18日更新)
ザイ・オンライン編集部
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2023年4月に新規上場した「IPO株」9銘柄のうち、アナリストが「強気」と診断した「トランザクション・メディア・ネットワークス」に注目!

ダイヤモンド・ザイ7月号の連載「10倍株を探せ!【IPO株】研究所」では、IPO株の専門家であるダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチの小林大純さんが、2023年4月に新規上場した「IPO株」全9銘柄を「買い」「強気」「中立」「弱気」「売り」の5段階で評価している。

今回は、その中でも小林さんが「強気」と高く評価した銘柄をピックアップしているので、投資の参考にしてほしい!
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4月に新規上場した「IPO株」は全部で9銘柄!
短期目線の投資家が集まり、値動きが荒い銘柄が増えているので注意!

 2023年4月は9社が新規上場。公開価格に対する初値の騰落率は全般に好調で、平均+108%、つまり2倍超に上った。公募・売出規模が大きかったトランザクション・メディア・ネットワークス(5258)や、満を持しての登場となった超大型IPOの楽天銀行(5838)、「ひふみ投信」の運用会社としておなじみのレオス・キャピタルワークス(7330)も、堅調な出足となっている。
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 海外銀行の破綻に端を発した金融不安が4月後半にいったん後退し、日経平均株価も上昇。市場心理と個人投資家の資金余力が改善したことが、IPO株の取引にも波及したようだ。もっとも、3月の1社に続き、4月も3社が上場中止を発表。米国市場で金融不安が再燃する火種もあり、まだ予断を許さない。

 さらに「短期目線の投資家が多く、値動きが荒いことが気がかり」と話すのは、IPO株に詳しいダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチの小林大純さんだ。

 「値動きが軽い株に物色が集まっています。そうした銘柄は初値が大きく伸びますが、何かネガティブな材料が出ると一気に値を下げます」(小林さん)

 それがもっとも顕著に表れたのが、4月12日上場のispace(9348)の例だ。ispaceは国内初の宇宙ベンチャーで、民間企業初の月面着陸への挑戦が話題に。初値は公開価格の4倍近くまで上昇したが、その後、同社が月面着陸に失敗すると、2日間にわたって取引時間中に売買が成立せず、ストップ安となった。

 ispaceは公開株の指定先販売(親引け)が多く、市場流通株が少なかったことも株高の要因だが、信用買いが目立っていた。楽天銀行も信用買い残の増加が顕著で、短期取引の活発化が見て取れる。

 小林さんは「公開価格比の初値の騰落率と、初値後の株価の騰落率を見ると、きれいな逆相関になっている」と指摘する。要するに、初値が大きく上がった銘柄は、その後に大きく下落するリスクが高いのだ。

 「足元の株価は、ひとまず妥当な水準まで調整した銘柄が多いのですが、今後の業績成長から、株価の伸びしろを探ることが重要です」(小林さん)
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2023年4月の【IPO株】9銘柄を徹底診断!

上場日 公開価格 初値
(騰落率)
株価
(5/1)
PER
(PBR)
今後1年の
高値予想
(安値予想)
投資判断
4日  トランザクション・メディア・ネットワークス(5258・東G)
930円 1388円
(+49.2%)
1228円 58.0倍
(9.74倍)
2000円
(1000円)
強気
【分析コメント】キャッシュレス決済サービスや決済端末を提供する企業。すでに24年3月期の業績予想を 開示済みで、売上高成長は過去5年の平均並みの2割超に復帰。PERは2024年3月期ベースで約60倍だが、類似企業と比べ上値余地は十分ありそう。
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12日  ispace(9348・東G)
254円 1000円
(+293.7%)
1046円
(ー)
1500円
(500円)
中立
【分析コメント】月面へ荷物を輸送するサービスの契約料、およびスポンサー企業から得るロゴ使用権などの対価が現在のビジネスの中核。今後はデータサービスの確立も見込む。4月に民間企業として世界初の月面着陸に挑戦した。株価は上場前の増資時の評価額である約1200円が一つの目安とはなるが、開発先行で当面赤字が続く見込みで、落としどころを見出しづらい。2024年には月面着陸に再挑戦する計画のため、押し目買 いの機会となる可能性も。
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14日  日本システムバンク(5530・名M)
1880円 1700円
(-9.6%)
1500円 8.0倍
(0.96倍)
1700円
(1400円)
中立
【分析コメント】土地所有者にコインパーキング運営や駐車場機器の供給・メンテナンスなどのサービスを幅広く提供する。足元の株価に過熱感はないが、地方市場への上場とあって取引がやや低調。
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18日  ジェノバ(5570・東G)
470円 2106円
(+348.1%)
1203円 41.5倍
(7.18倍)
1600円
(650円)
弱気
【分析コメント】衛星測位システム(GNSS)の誤差を補正し、高精度の位置情報データを提供する。さまざまな産業のICT化で活用されそうだが、業績成長は緩やかで株価の過熱感が強い。
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19日  エキサイトホールディングス(5571・東S)
1340円 1700円
(+26.9%)
1267円 13.6倍
(3.07倍)
1600円
(1100円)
中立
【分析コメント】ポータルサイト「エキサイト」を運営。2018年に上場廃止し、経営を立て直した。既存の女性向けメディアなどに加え、SaaS・DXで新規事業も。ただ、再上場で人気は高まりづらい。
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20日  南海化学(4040・東S)
1740円 2533円
(+45.6%)
2403円 11.3倍
(1.11倍)
3000円
(1800円)
中立
【分析コメント】1906年創業の化学品メーカーで苛性ソーダが主力。業績は堅調だが初値高で割安感が薄れた。電気代上昇の影響も懸念。注力する廃硫酸のリサイクルを軸に、成長加速となるか注視。
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21日  楽天銀行(5838・東P)
1400円 1856円
(+32.6%)
1815円 11.6倍
(1.54倍)
2200円
(1400円)
中立
【分析コメント】ネット専業銀行トップ。公募・売出規模は2019年以降で最大だったが、3月に上場した住信SBIネット銀行の株価上昇を追い風に、堅調な発進。ただ成長期待は織込み済みの水準だ。
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25日  レオス・キャピタルワークス(7330・東G)
1300円 1730円
(+33.1%)
1472円 17.3倍
(3.38倍)
2000円
(1300円)
中立
【分析コメント】「ひふみ投信」は運用成績の低迷が指摘されるが、新NISAなどで需要取り込みに期待も。株価はひとまず海外の運用会社並みのPER水準に落ち着いた。業績動向を注視したい。
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26日  Ridge-i(5572・東G)
1750円 4445円
(154.0%)
3170円 106.4倍
(8.51倍)
5000円
(3000円)
中立
【分析コメント】AIを活用したコンサルやAI開発が主力。大手製造業向けが多い。ライセンス提供、人工衛星データ解析も。成長期待は強いが、株価に過熱感があり短期的な業績のブレも大きそう。
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※データは2023年5月1日時点。

アナリストが9銘柄の中で唯一”強気”と診断した1銘柄を紹介!
「トランザクション・メディア・ネットワークス」に注目!

 ここからは、4月のIPO株の中で、小林さんが唯一”強気”と診断したトランザクション・メディア・ネットワークスについて、さらに詳しく見ていこう。

 トランザクション・メディア・ネットワークスは、キャッシュレス決済サービスや決済端末を提供する企業。トヨタグループや三菱商事などの大手企業が多数出資し、国内初のクラウド型電子マネーサービスで事業を開始。加盟店は2023年1月末時点で1000社を超える。

 すでに2024年3月期の業績予想を開示済みで、売上高成長は過去5年の平均並みの2割超に復帰。PERは2024年3月期ベースで約60倍だが、類似企業と比べ、上値余地は十分ありそう。4月に解禁された給与のデジタル払いも追い風になりそうだ。
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2023 2022 2021
19社
52社
24社
47社
26社
80社
10%:1人1票の平等抽選
最大5%:「ステージ別抽選」
※1
345万
【ポイント】
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※1 預かり資産残高などによって決まる「ステージ」ごとに、別途抽選票数が割り当てられる。
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主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) ネット配分・抽選方法 口座数
2023 2022 2021
21社
91社
13社
89社
21社
122社
60%:1単元1票の平等抽選
30%:「IPOチャレンジポイント」順に配分
10%:知識・経験・資力と取引状況を踏まえて配分
1245万
【ポイント】
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