2023年4月に新規上場した「IPO株」9銘柄のうち、アナリストが「強気」と診断した「トランザクション・メディア・ネットワークス」に注目!
ダイヤモンド・ザイ7月号の連載「10倍株を探せ!【IPO株】研究所」では、IPO株の専門家であるダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチの小林大純さんが、2023年4月に新規上場した「IPO株」全9銘柄を「買い」「強気」「中立」「弱気」「売り」の5段階で評価している。
今回は、その中でも小林さんが「強気」と高く評価した銘柄をピックアップしているので、投資の参考にしてほしい!
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4月に新規上場した「IPO株」は全部で9銘柄!
短期目線の投資家が集まり、値動きが荒い銘柄が増えているので注意!
2023年4月は9社が新規上場。公開価格に対する初値の騰落率は全般に好調で、平均+108%、つまり2倍超に上った。公募・売出規模が大きかったトランザクション・メディア・ネットワークス(5258)や、満を持しての登場となった超大型IPOの楽天銀行(5838)、「ひふみ投信」の運用会社としておなじみのレオス・キャピタルワークス(7330)も、堅調な出足となっている。
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海外銀行の破綻に端を発した金融不安が4月後半にいったん後退し、日経平均株価も上昇。市場心理と個人投資家の資金余力が改善したことが、IPO株の取引にも波及したようだ。もっとも、3月の1社に続き、4月も3社が上場中止を発表。米国市場で金融不安が再燃する火種もあり、まだ予断を許さない。
さらに「短期目線の投資家が多く、値動きが荒いことが気がかり」と話すのは、IPO株に詳しいダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチの小林大純さんだ。
「値動きが軽い株に物色が集まっています。そうした銘柄は初値が大きく伸びますが、何かネガティブな材料が出ると一気に値を下げます」(小林さん)
それがもっとも顕著に表れたのが、4月12日上場のispace(9348)の例だ。ispaceは国内初の宇宙ベンチャーで、民間企業初の月面着陸への挑戦が話題に。初値は公開価格の4倍近くまで上昇したが、その後、同社が月面着陸に失敗すると、2日間にわたって取引時間中に売買が成立せず、ストップ安となった。
ispaceは公開株の指定先販売(親引け)が多く、市場流通株が少なかったことも株高の要因だが、信用買いが目立っていた。楽天銀行も信用買い残の増加が顕著で、短期取引の活発化が見て取れる。
小林さんは「公開価格比の初値の騰落率と、初値後の株価の騰落率を見ると、きれいな逆相関になっている」と指摘する。要するに、初値が大きく上がった銘柄は、その後に大きく下落するリスクが高いのだ。
「足元の株価は、ひとまず妥当な水準まで調整した銘柄が多いのですが、今後の業績成長から、株価の伸びしろを探ることが重要です」(小林さん)
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2023年4月の【IPO株】9銘柄を徹底診断! |
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上場日 | 公開価格 | 初値 (騰落率) |
株価 (5/1) |
PER (PBR) |
今後1年の 高値予想 (安値予想) |
投資判断 |
4日 | ◆トランザクション・メディア・ネットワークス(5258・東G) | |||||
930円 | 1388円 (+49.2%) |
1228円 | 58.0倍 (9.74倍) |
2000円 (1000円) |
強気 | |
【分析コメント】キャッシュレス決済サービスや決済端末を提供する企業。すでに24年3月期の業績予想を 開示済みで、売上高成長は過去5年の平均並みの2割超に復帰。PERは2024年3月期ベースで約60倍だが、類似企業と比べ上値余地は十分ありそう。 | ||||||
12日 | ◆ispace(9348・東G) | |||||
254円 | 1000円 (+293.7%) |
1046円 | ー (ー) |
1500円 (500円) |
中立 | |
【分析コメント】月面へ荷物を輸送するサービスの契約料、およびスポンサー企業から得るロゴ使用権などの対価が現在のビジネスの中核。今後はデータサービスの確立も見込む。4月に民間企業として世界初の月面着陸に挑戦した。株価は上場前の増資時の評価額である約1200円が一つの目安とはなるが、開発先行で当面赤字が続く見込みで、落としどころを見出しづらい。2024年には月面着陸に再挑戦する計画のため、押し目買 いの機会となる可能性も。 | ||||||
14日 | ◆日本システムバンク(5530・名M) | |||||
1880円 | 1700円 (-9.6%) |
1500円 | 8.0倍 (0.96倍) |
1700円 (1400円) |
中立 | |
【分析コメント】土地所有者にコインパーキング運営や駐車場機器の供給・メンテナンスなどのサービスを幅広く提供する。足元の株価に過熱感はないが、地方市場への上場とあって取引がやや低調。 | ||||||
18日 | ◆ジェノバ(5570・東G) | |||||
470円 | 2106円 (+348.1%) |
1203円 | 41.5倍 (7.18倍) |
1600円 (650円) |
弱気 | |
【分析コメント】衛星測位システム(GNSS)の誤差を補正し、高精度の位置情報データを提供する。さまざまな産業のICT化で活用されそうだが、業績成長は緩やかで株価の過熱感が強い。 | ||||||
19日 | ◆エキサイトホールディングス(5571・東S) | |||||
1340円 | 1700円 (+26.9%) |
1267円 | 13.6倍 (3.07倍) |
1600円 (1100円) |
中立 | |
【分析コメント】ポータルサイト「エキサイト」を運営。2018年に上場廃止し、経営を立て直した。既存の女性向けメディアなどに加え、SaaS・DXで新規事業も。ただ、再上場で人気は高まりづらい。 | ||||||
20日 | ◆南海化学(4040・東S) | |||||
1740円 | 2533円 (+45.6%) |
2403円 | 11.3倍 (1.11倍) |
3000円 (1800円) |
中立 | |
【分析コメント】1906年創業の化学品メーカーで苛性ソーダが主力。業績は堅調だが初値高で割安感が薄れた。電気代上昇の影響も懸念。注力する廃硫酸のリサイクルを軸に、成長加速となるか注視。 | ||||||
21日 | ◆楽天銀行(5838・東P) | |||||
1400円 | 1856円 (+32.6%) |
1815円 | 11.6倍 (1.54倍) |
2200円 (1400円) |
中立 | |
【分析コメント】ネット専業銀行トップ。公募・売出規模は2019年以降で最大だったが、3月に上場した住信SBIネット銀行の株価上昇を追い風に、堅調な発進。ただ成長期待は織込み済みの水準だ。 | ||||||
25日 | ◆レオス・キャピタルワークス(7330・東G) | |||||
1300円 | 1730円 (+33.1%) |
1472円 | 17.3倍 (3.38倍) |
2000円 (1300円) |
中立 | |
【分析コメント】「ひふみ投信」は運用成績の低迷が指摘されるが、新NISAなどで需要取り込みに期待も。株価はひとまず海外の運用会社並みのPER水準に落ち着いた。業績動向を注視したい。 | ||||||
26日 | ◆Ridge-i(5572・東G) | |||||
1750円 | 4445円 (154.0%) |
3170円 | 106.4倍 (8.51倍) |
5000円 (3000円) |
中立 | |
【分析コメント】AIを活用したコンサルやAI開発が主力。大手製造業向けが多い。ライセンス提供、人工衛星データ解析も。成長期待は強いが、株価に過熱感があり短期的な業績のブレも大きそう。 | ||||||
※データは2023年5月1日時点。 |
アナリストが9銘柄の中で唯一”強気”と診断した1銘柄を紹介!
「トランザクション・メディア・ネットワークス」に注目!
ここからは、4月のIPO株の中で、小林さんが唯一”強気”と診断したトランザクション・メディア・ネットワークスについて、さらに詳しく見ていこう。
トランザクション・メディア・ネットワークスは、キャッシュレス決済サービスや決済端末を提供する企業。トヨタグループや三菱商事などの大手企業が多数出資し、国内初のクラウド型電子マネーサービスで事業を開始。加盟店は2023年1月末時点で1000社を超える。
すでに2024年3月期の業績予想を開示済みで、売上高成長は過去5年の平均並みの2割超に復帰。PERは2024年3月期ベースで約60倍だが、類似企業と比べ、上値余地は十分ありそう。4月に解禁された給与のデジタル払いも追い風になりそうだ。
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【2024年11月1日時点】
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◆SMBC日興証券 | ||||
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) | ネット配分・抽選方法 | 口座数 | ||
2023 | 2022 | 2021 | ||
19社 52社 |
24社 47社 |
26社 80社 |
10%:1人1票の平等抽選 最大5%:「ステージ別抽選」※1 |
345万 |
【ポイント】 大手証券の中でもIPOに力を入れており、例年、主幹事数・取り扱い銘柄数ともに全証券会社中でトップクラス! また、国内五大証券会社のひとつだけあり「日本郵政グループ3社」や「JR九州」「ソフトバンク」などの超大型IPOでは、主幹事証券の1社として名を連ねることも多い。10%分の同率抽選では、1人1単元しか申し込めないので資金量に関係なく誰でも同じ当選確率となっているのがメリット。さらに、2019年2月からは、預かり資産などによって当選確率が変わる「ステージ別抽選」がスタート。平等抽選に外れた人を対象にした追加抽選で、最高ランクの「プラチナ」だと1人25票が割り当てられて当選確率が大幅にアップする。 ※1 預かり資産残高などによって決まる「ステージ」ごとに、別途抽選票数が割り当てられる。 |
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◆SBI証券 | ||||
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) | ネット配分・抽選方法 | 口座数 | ||
2023 | 2022 | 2021 | ||
21社 91社 |
13社 89社 |
21社 122社 |
60%:1単元1票の平等抽選 30%:「IPOチャレンジポイント」順に配分 10%:知識・経験・資力と取引状況を踏まえて配分 |
1245万 ※ |
【ポイント】 ネット証券にもかかわらず、主幹事数、取扱銘柄数ともに大手証券会社に引けをとらない実績を誇る。特に取扱銘柄数がダントツで、2023年は全96社中91社と約95%のIPO銘柄を取り扱った。つまり、SBI証券の口座さえ持っていれば、ほとんどのIPO銘柄に申し込めると考えていいだろう。個人投資家への配分の100%がネット投資家へ配分されるのも魅力。1単元1票の抽選なので、多くの単元を申し込むほど当選確率は高くなる。当選確率がアップする「IPOチャレンジポイント」が、資金量・取引量と関係なく、IPOに申し込み続ければ誰にでも貯められるのもメリットだ。また、スマートフォン専用サイトでIPOの申し込みや情報確認ができるのも便利。 ※SBIネオトレード証券、FOLIOの口座数を含んだSBIグループ全体の口座数。 |
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※ 主幹事数、取扱銘柄数はREITを除く。口座数は2023年12月末時点。 |