「勝者のゲーム」と資産運用入門

日銀が金融政策決定会合でYCCの柔軟運用を決定。市場は乱高下したが、金融正常化への道で心配不要。先読み「勝者のポートフォリオ」は爆騰街道を快走!太田忠の勝者のポートフォリオ 第95回

2023年8月1日公開
太田 忠
facebook-share
twitter-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

28日未明、日銀がYCC修正を議論するリーク記事が出て円高株安が進行

 日銀、金利操作を柔軟運用 上限0.5%容認案 ―。

 先週金曜日未明の午前2時。日経電子版で日銀の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)に関する容認案が同日午前から開かれる7月の日銀金融政策決定会合で議論されるとのリーク記事が出された。

 これに為替市場は激しく反応。発表前のドル・円相場は141円ちょうどのレベルで動いていたが、見る見るうちに円高・ドル安となり138円台後半まで進行した。また、1897年6月以来となる126年ぶりの14連騰記録がかかっていたNYダウは125ドル高から急に下げ足を早めて237ドル安の3万5282ドルで終了。結局13連騰で終わってしまった。とはいえ、13連騰でも1987年1月以来36年半ぶりの記録であるため、十分凄いことに変わりないのだが…。

前代未聞のスピードで行われた米国の利上げもいよいよ最終局面に突入

 日銀の実際の動きを点検する前にまずは先週水曜日に結果が出た7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)を見てみよう。シナリオ通り0.25%の利上げが発表され、政策金利は5.25%~5.50%へ引き上げられた。リーマン・ショック前のピーク水準を0.25%上回り、ドットコムバブルの崩壊前だった2001年3月以来の高水準である。しかも2022年3月のゼロ金利解除以降、きわめて短期間で5.25%に及ぶ引き上げスピードは前代未聞といってよいほどの事態である。

 公表された声明文において今回の0.25%の利上げについて「これまでの累積した利上げ効果や影響が経済に広がるまでの時間差を考慮する」という前回会合までの表現を踏襲した上で「追加の情報や、それが金融政策に与える示唆について検証を続ける」との文言が出された。前回6月のFOMCでは「今後2回の追加利上げ」の可能性を示唆していたが、今回7月FOMC後の米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の会見では「次回9月は利上げの可能性もあるし、据え置く可能性もある」とコメント。FRBはすでに経済のソフトランディングをかなり確信しているようであり、インフレ鈍化傾向も顕著なため、マーケット参加者の多くが考えているように今回の利上げが最後となる可能性が出てきている。仮に、あと1回利上げされたとしても「これで最後だ!」という明確なメッセージとして受け止められるため、米国の利上げはいよいよ最終局面に来たと考えてよいだろう。

今回のYCC修正は、国債の大量購入で金利を抑え込む歪んだ構図を解消か

 一方、我らが日銀である。YCC修正と言えば、2022年12月に黒田東彦前総裁がフォワードガイダンスなしに突然行った「長期金利の上限を従来の0.25%程度から0.5%程度に拡大」を皆さんは思い出されるだろう。「市場機能の改善を図るため」を名目にしたものだったが、その後実際に行われたのは、上限の0.5%を超える前に国債を大量に買い入れて金利を抑え込むという極めていびつな構図だった。リーク記事の修正案は「0.5%の上限を維持した上で市場動向によっては0.5%を超えることを認め、国債購入が過度に膨らまないようにする」であった。

 では実際、どういう内容が決定されたのか? 結果は事前報道通りの内容で、長期金利の上限は0.5%をメドとしたうえで、市場動向に応じて0.5%を一定程度超えることを容認するというものだ。とは言え具体的な上限は1.0%。すなわち指値オペの利回りを従来の0.5%から1.0%に引き上げた。国債の大量購入で金利を抑え込む従来の政策運営を柔軟にし、市場の歪みを和らげる狙いである。

発表直後の株式市場は乱高下したが、妥当な判断であり日本経済に追い風

 今回の政策変更はかなり市場に配慮した結論だと思う。金利そのものを大きく修正せずに市場のゆがみを和らげるのは市場と日銀にとってウィン・ウィンの結果をもたらすものだからだ。発表を受けて日経平均は一時500円近く上昇、ところがその後は850円も下落して切り返すという非常にボラティリティの大きな展開となった。ドル・円も同じく発表直後の1分間で何と3円もの乱高下を演じるという変動ぶりだった。外国為替証拠金(FX)のトレードをおこなっている投資家には容易に対応できない悪夢のような時間だったことは想像に難くない。

 7月18日のコラム「7月に日銀のYCC再修正の可能性高が高まる」で記した通り、YCCの再修正で株式市場は一時的には調整するかもしれないが、これは金融正常化への道であり逆風ではない。日銀はFRBや欧州中央銀行(ECB)のような急速な金融引き締め政策を取るわけではない。日本の場合はあくまでもマイナス金利からの脱却、すなわち「金融正常化」に向けたステップを踏むわけであり、これは日本経済にとってはプラスだ。金利のない世の中では経済は活性化しない。それはもうこの10年来我々が体験してきたことである。「ゼロ金利、給料横ばい、増税、希望のない社会…」は十分すぎるほど味わった。金融正常化は日本市場にとって逆風ではない。これは、とても重要な点である。

爆騰街道走る「勝者のポートフォリオ」。好調の秘密を8月2日セミナーで

 さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言をおこなっている「勝者のポートフォリオ」。先週は太田忠の「爆騰問題」が炸裂し、年初来高値は6銘柄となり日々&週間ベースで過去最高値を更新した。

 8月2日(水)20時よりWebセミナーを開催する。今回のテーマは『テンバガー(10倍株)を求めて』。来たるべき金融相場に向けて「勝者のポートフォリオ」ではすでにテンバガー候補の組み入れをスタートし、着々と準備を進めている。すでに多数のお申し込みをいただいており、ワクワクするセミナーになると思う。

 今回のセミナーでは、FRBの利上げは最終局面&日銀はどう動く?、着々と準備を進めている投資戦略、今後大きなパフォーマンスが期待される個別銘柄についても詳しく解説。セミナー後半では皆さまからのすべてのご質問にお答えする。会員限定だが、10日間無料お試し期間中でも参加可能。セミナー当日14時までのお申込み(15時URL配信)。誰でも参加できるのでぜひどうぞ。

●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもメルマガ配信などで活躍。

※この連載は、ワンランク上の投資家を目指す個人のための資産運用メルマガ『太田忠 勝者のポートフォリオ』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、メルマガ配信の他、無料期間終了後には会員専用ページで「勝者のポートフォリオ」や「ウオッチすべき銘柄」など、具体的なポートフォリオの提案銘柄の売買アドバイスなどがご覧いただけます。原則毎月第一水曜夜は、生配信セミナーを開催。

 

国内外で6年連続アナリストランキング1位を獲得した、
トップアナリスト&ファンドマネジャーが
個人投資家だからこそ勝てる

「勝者のポートフォリオ」を提示する、
資産運用メルマガ&サロンが登場!

老後を不安なく過ごすための資産を自助努力で作らざるを得ない時代には資産運用の知識は不可欠。「勝者のポートフォリオ」は、投資の考え方とポートフォリオの提案を行なうメルマガ&会員サービス週1回程度のメルマガ配信+ポートフォリオ提案とQ&Aも。登録後10日間は無料!

太田忠の勝者のポートフォリオ

10日間無料 詳細はこちら※外部サイトに移動します


「勝者のゲーム」と資産運用入門 バックナンバー

»もっと見る

auじぶん銀行の公式サイトはこちら!
最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

攻めと守りの5万円株
最新好決算株
チャート入門

7月号5月21日発売
定価950円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[攻めと守りの5万円株83]
◎巻頭特集
2025年後半に上がる業種・下がる業種は?
関税ショックで日本株どうなる?

●内需・円高耐性銘柄を狙え
●米中首脳会談実現で反騰へ
●年末に日経平均は4万円回復

◎巻頭企画
トランプ関税に動じない
最新好決算株44
●人気株15銘柄の最新売買診断も!
強気と買いが12銘柄!
今期増配予想の手堅い高配当株
株主還元強化株/連続増配株
バーゲンセール中の過去最高益株
トランプ政策がプラス!国内で稼ぐ株

◎第1特集
資金が少なくても度胸がなくても大丈夫!
攻めと守りの5万円株83銘柄
●5万円株の2大巨頭
NTT vs ソフトバンク今買うならどっち?
桐谷さん流暴落相場のしのぎ方&おススメ優待株
暴落3日間で買った全53銘柄を公開!
●<Part 1>守る!
利回り4%超がズラリ!鉄壁の高配当株
・堅実に成長または下がりにくい株
・財務健全で配当維持or増配期待株
・市場拡大期待のニッチ・DX株
●<Part 2>攻める!
高成長株から超割安株まで!驚異の爆騰株
・業界内で圧倒的な強みの内需株
・業績の勢いがスゴイ大幅増益株
・大復活が期待できる超お買い得株
●お宝株は地方にあり!スゴイ北陸株

◎第2特集
3回集中講座の第2回!チャート入門
●「チャートの形と買いタイミング」
◎第3特集
初心者がハマる9つのワナを解説
正しい知識を身に着けて暴落に振り回されない!

●相場が悪い時は積立をやめて様子を見るべき
●初心者はリスクが低い投資信託を選ぶべき

◎第4特集
今から準備して夏満喫!
ふるさと納税・夏カタログ50
【別冊付録】FXで長期&安定運用
レンジ&自動売買でコツコツ!

●初心者はリスクが低い投資信託を選ぶべきなど
◎連載も充実
●プロがこの先1カ月の日本株のポイントを解説&ガチ予測!
●3カ月先を読む「日本株」と「為替」の透視図
●10倍株を探せ!IPO株研究所2025年4月編
●ZAiのザイゼンがチャレンジ!目指せ!お金名人Vol.10
●17億円トレーダー・ジュンのFX成り上がり戦略Vol.05
●おカネの本音!VOL.35 川田修平さん
●株入門マンガ恋する株式相場!VOL.103
●マンガどこから来てどこへ行くのか日本国
●人気毎月分配型100本の「分配金」速報データ!


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!


「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報