【1】今日の株式相場早わかり!
半導体株がけん引し、一時3万6000円台回復
日経平均株価は4日ぶり大幅反発! 18日の米国市場で主要株価指数はそろって上昇。半導体受託製造大手のTSMC(台湾積体電路製造)の好決算やアップルの投資判断の引き上げを背景に、半導体株を中心にハイテク株が大きく上昇した。こうした流れを引き継いで日経平均株価は450円近く上昇して始まり、一時は3万6000円台を回復。円相場が1ドル=148円台後半まで下落する場面があり、円安も追い風になった。ただ、短期的な過熱感を意識した利益確定売りが根強く、その後は膠着感の強い展開が続いた。
アドバンテストが約半年ぶりに上場来高値を更新し、東京エレクトロンやディスコも上場来高値を付けた。また、米住宅メーカーの買収を発表した積水ハウスも好感した買いが優勢となった。なお、今晩の米国では1月のミシガン大学消費者調査などが発表予定。来週は日銀の金融政策決定会合などが予定されている。
【日経平均】35963.27円↑↑(+497.10円)
【グロース250】692.20↑(+6.30)
【NYダウ】37468.61ドル↑(+201.94ドル、18日)
【ナスダック】15055.648↑↑(+200.026、18日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
TSMC決算で高値更新が続出! 半導体株に注目
18日、半導体受託製造大手のTSMC(台湾積体電路製造)が決算を発表した。2024年12月期の売上高は前期比で約2割増加し、過去最高を更新する見通しだ。これを受け、今日の東京株式市場では上場来高値や昨年来高値を更新した銘柄が続出。ただ、株価が高値圏にあることで、今後は期待だけでなく決算で実態を確認していくことが求められそうだ。
TSMCの決算では特に先端品向けの需要拡大が目立った。先端向けでは、生成AI(人工知能)の拡大によりDRAM用テスタ(検査装置)の需要拡大が期待できるアドバンテストに注目。直近の決算で利益率の悪化が懸念されていたSoC(1つのチップ上に複数の機能を統合した半導体)用テスタも、AIスマートフォンの普及に伴うテスト時間の長期化が追い風になると指摘されている。
中小型では、後工程の樹脂封止装置で世界シェアトップのTOWAや、検査工程での計測器具を主力とする日本マイクロニクスに注目。生成AI向けの需要拡大を背景に、直近の決算でTOWAは四半期受注が前年同期比33%も拡大。日本マイクロニクスも四半期として過去最高の受注を達成した。生成AI向けの需要は2025年にかけて本格化する見込みで、業績に寄与する段階としてはまだ序盤に過ぎない。先行きに引き続き期待したい。
一方、材料系は生成AI向け需要の恩恵が製造装置ほどには期待しにくい。需給(需要と供給のバランス)の本格的な改善が2025年からとの予想もあるシリコンウエハーを手掛けるSUMCOは、2024年12月期の見通しに注意が必要だ。また、フォトレジスト(感光性材料)を主力とする東京応化工業は、“非”先端向けでの使用量が多いフラッシュメモリ用の販売回復が鈍いと考えられ、こちらも2024年12月期の見通しに注意したい。
■アドバンテスト株価チャート/日足・6カ月
【3】金曜連載「ザイアナリスト小林大純『ホットなテーマ!』」
月面着陸に臨む「SLIM」、宇宙関連銘柄に注目
三菱重工業は12日、種子島宇宙センター(鹿児島県)から「H2A」ロケット48号機を打ち上げることに成功。20日未明には、H2Aに搭載されていた小型月着陸実証機「SLIM(Smart Lander for Investigating Moon)」が日本初の月面着陸に挑む。SLIMプロジェクトの大きな目的は、小型探査機による重力天体への高精度着陸技術を実証すること。従来の「降りやすいところに降りる」探査ではなく、「降りたいところに降りる」探査への大きな転換を目指す。
2023年4月にはispaceが上場し、直後に日本初の月面着陸に挑むも失敗。ただ、昨年はispaceに続き、12月にはQPS研究所が上場するなど、宇宙ベンチャーへの期待が膨らんだ1年だった。ポップ調で「ムーンスナイパー」とSLIMを紹介するサイトからは、宇宙開発に対する国民的な理解を深めようとする宇宙航空研究開発機構(JAXA)の意気込みもうかがえる。SLIMの着陸成功が日本の宇宙開発の発展と、関心の高まりにつながることを期待したい。
下表では上記のベンチャー2社のほか、H2AなどのロケットやSLIMの製造・運用に携わる企業を取り上げた。三菱重工は今回のH2AやSLIMのミッションだけでなく、2月15日にH2Aの後継となる「H3」ロケット2号機の打ち上げが控えており、宇宙開発への関心が続きそうだ。ほかにIHIなどの重工・電機メーカーが並ぶ中、異彩を放つのが玩具のタカラトミー。JAXAと共同開発した超小型の変形型月面ロボット「SORA-Q(ソラキュー)」がSLIMとともに月に向かう。また中小型株ではあるが、そのSORA-Qのソフトウェア開発などに参加したセックも、かねて宇宙関連銘柄に位置付けられている。
小林大純
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
早稲田大学法学部卒、早稲田大学大学院ファイナンス研究科(現経営管理研究科)修了(MBA)。金融情報サービス会社などを経て現職。日本株アナリストとして各種メディアで活動中。
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