FM軽井沢の経済金融番組でパーソナリティを10年間務めて思うこと
私がFM軽井沢で毎週放送している経済金融番組『軽井沢発!太田忠の経済・金融“縦横無尽”』が12月7日にちょうど10周年を迎え11年目に突入した。毎週土曜日の午後4時から生放送、日曜日午後9時から再放送を行っている。インターネットラジオも提供しているため、FM軽井沢のHPにアクセスすれば世界中どこからでも聴くことができる。また、生放送と再放送を聴き逃した場合はポッドキャスト(アップル、Google、Spotify)でも無料ダウンロードして視聴可能だ。
FM放送局で経済金融番組のパーソナリティを務めているのは全国でおそらく私だけだと思う。毎週のマーケット解説と来週への展望、金融業界のホットな話題、プロならではの深掘りして解説する興味深いテーマ、資産運用のアドバイス、生活クオリティ向上に役立つ話などなど、ジャズや私のピアノ演奏も織り交ぜながらの盛りだくさんの内容である。「経済・金融のエンタメ化」をモットーに520回もの放送を行ってきた。
思い返してみれば、10年前はまだ北陸新幹線が開通しておらず長野新幹線だった。毎週、東京から軽井沢に日帰りで通っているが、新幹線の交通費の累計を計算するとざっと800万円。JR東日本から表彰されてもいいくらい貢献しているのではないかと思う。
報われるか分からない中、情熱をもって挑戦し続けることこそ才能だ
私自身、この番組を振り返ると最初の1年目は一人で1時間喋るのに必死だった。ようやく余裕が出てきた2年目。「えっ? ひょっとしてこの番組誰も聞いていないのでは」と思い始め、3年目に「教えて、太田先生」というコーナーを作ってリスナーからの質問を募って探りを入れたが、結局ほとんど質問が来ずにコーナーは自然消滅した。何だか壁に向かってただ一人喋っているような気がして毎回虚しさだけが残った。その時、心の励みにしていたのが将棋の羽生善治九段の言葉である。
「何かに挑戦して確実に報われるのなら、誰でも必ず挑戦するだろう。報われないかもしれないところで、同じ情熱、気力、モチベーションをもって継続するのは非常に大変なことであり、それこそが才能だと私は思っている」
ひょっとしてリスナーなんてほとんどゼロかも知れない。では何をモチベーションにするか?
過去10年間で日経平均は2倍以上。利益が成長する限り株価は上昇する
私の場合はやはり資産運用だった。そもそもこの番組は資産運用の大切さを訴えて、リスナーに毎週役立つ話をする番組である。少なくとも私自身は大いに役立つ。番組スタート時の日経平均株価は1万7900円、それが今や4万円に近いレベルだ。私自身は35歳で「億り人」、45歳で「自由億」を達成した経験を持つが、FM軽井沢のパーソナリティ期間中も大きな飛躍を成し遂げることができた。10年間は非常に大きい。ということで、今回のテーマは長期投資である。
投資にはもちろんリスクがつきものだ。運用資産は経済や市況により変動する。しかしながら、長期投資の成果は大きく、投資期間を長く取れば取るほど運用成果が安定し、経済成長や企業成長の果実を享受することができる。経済成長があり企業の利益成長がある限り、株価は上昇していくことになる。「日経平均はもう4万円だからバブルだ」という無責任な論調をメディアでしばしば見かけるが、全く間違った考え方だ。株価を1株利益で割ったPER(株価収益率)は1989年のバブル時代は62倍だったが、今はほぼ同じ日経平均の水準で15倍である。すなわち、企業の利益が4倍になったからバブルどころか割安である。PER15倍のバリュエーションが維持されるとすれば、利益が将来さらに2倍になれば日経平均は8万円。株価は見かけ上はさらにバブルが膨らんだように見えるが、利益相応の評価である。こうして長期的には株価は上がっていく。
長期的な資産形成を非課税でできる新NISAを活用しない手はない
とは言え、長期投資を行っていれば度々大きな下落に見舞われる。2000年以降を振り返ると、あの「100年に1度」と言われた忌まわしきリーマン・ショックによる暴落があり、チャイナ・ショックやコロナ・ショック、そして今年は「令和のブラックマンデー」も起こった。だが、そうした市場の急落を乗り越えて、長期投資家は恩恵を享受できる。システマティックリスクと呼ばれる市場全体のリスクはピンポイントで見ればピンチだが、長期投資家にはバーゲンセールでありチャンスだ。こうしたことを分かっている泰然自若の投資家が長期投資におけるメリットの享受者である。そして今や個人投資家にとって長期的に資産形成が非課税でおこなえる新NISAという素晴らしい制度もできた。いい時代になった。
「今、お金がないから投資できないです」とか「いつかやりたいと思います」などと言う人がよくいるが、こういう人は10年後も資産運用に取り組んでいないだろう。「お金がないから」や「いつか」ではなく、「今、少額から」やることが大事だ。習慣化すればどんどんいい方向に進んでいく。一歩踏み出すか、踏み出さないか。答えは明白だ。踏み出さなければ永遠に「取り残された人」になってしまう。現金の価値が目減りするインフレ時代に…。
思い描く力こそ、将来の自分を切り拓く力になる。資産運用も無論同じ
ところで、私の番組は今後どうなるのか? 番組そのものへのモチベーションのアップは、経済金融のスペシャリストを招く特別ゲストのコーナーを作って番組の幅を広げたこと、そして、2022年2月からスタートしたポッドキャストだ。生放送や再放送を聴き逃してもリスナーは自分の好きな時に聴くことができる。これをきっかけに視聴者数が爆発的に増えた。落ち込んでいた私のテンションもすっかり改善されて、毎週土曜日を心待ちにしている。
皆さんもいろいろと報われないことがあると思うが、効果が実感できなくても同じ情熱、気力、モチベーションを持ち続けることができるかどうか、それが大事だと思う。私がこの10年間、FM軽井沢で学んだことはこれに尽きる。資産運用も同じだ。
最後に皆さまへのお知らせ。20周年の放送日は2034年12月2日。この時には日経平均は10万円達成、皆さんの運用資産は大幅増で「億り人」が続出、そしてすでに「自由億」の私の運用資産はさらに猛烈に大爆発。楽しくなりそうですねぇ~。
もう今から生き生きと私はイメージしている。皆さんも10年後の自分を生き生きとイメージして下さい。思い描く力こそ、将来の自分を切り拓く力だ。
いよいよ今週12日にラストセミナー開催。「億り人」への道を共に拓こう
太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言を行っている「勝者のポートフォリオ」。2大特典として毎月のWebセミナー開催とスペシャル講義を提供している。
今年最後となるWebセミナーは12月12日(木)20時より開催する。テーマは『好調な米国株vs軟調な日本株、現状の金融相場を点検する』。投資戦略だけでなくコラムではお話できない個別銘柄についても詳しく解説。さらにセミナー後半では皆さまからのすべてのご質問にお答えする。毎回300名を超える参加者で活況である。来年の橋渡しとなる重要なセミナーだ。会員限定だが10日間の無料お試し期間を使えば誰でも参加が可能だ。
動画によるスペシャル講義では『ポートフォリオ理論』に続いて、太田流『ポートフォリオ実践』がスタートしている。資産運用においてポートフォリオ運用のノウハウを知っておくことは必須であり、個人投資家に身に付けてもらうことを目的としている。最近はシステマティックリスク(株式市場全体のリスク)の講義を増やしており、「バブルの定義」「ヘッジファンドの実態」「恐怖指数の活用」「先物主導とは何か?」「SQバトルとは?」「裁定取引の影響」など個人投資家にとって知識が手薄になりがちな貴重なテーマの動画を続々とアップしている。資産運用を真剣にお考えの皆さま、「勝者のポートフォリオ」で一緒に大きく飛躍しましょう。ぜひ、ご参加をお待ちしております。
●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供によるメルマガ配信などで活躍。
※この連載は、ワンランク上の投資家を目指す個人のための資産運用メルマガ『勝者のポートフォリオ』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、メルマガ配信の他、無料期間終了後には会員専用ページで「勝者のポートフォリオ」や「ウオッチすべき銘柄」など、具体的なポートフォリオの提案や銘柄の売買アドバイスなどがご覧いただけます。毎月、生配信セミナーを開催。
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