東京市場まとめ
1.概況
先週末の米国市場は主要3指数が揃って5日続伸となり、その流れを引き継ぎ、日経平均は64円高の50,318円と小幅に続伸で寄付きました。しかし、早々に下落に転じるとその後は下落幅を拡大する展開となりました。利益確定の売りが優勢となったほか、日銀植田総裁の発言を受け、国内金利が上昇し株式市場には重荷となり、846円安の49,407円で前引けとなりました。
後場は安値圏での推移となりました。49,200円から49,400円のレンジで推移し、下げ幅を縮小する材料に欠けた日経平均は終始横ばい圏での動きとなり、950円安の49,303円で5日ぶりに反落しました。TOPIXは40ポイント安の3,338ポイントで4日ぶりに反落しました。
新興市場では東証グロース250指数が16ポイント安の683ポイントで4日ぶりに反落となりました。
2.個別銘柄等
フジクラ(5803)は8.9%安の16,345円をつけ、大幅続落となりました。11月4日に上場来高値(21,680円)を付けてから調整が続いており、AIデータセンター向け電線の需要が旺盛で業績は好調であるが、株価は年初来で一時3倍以上、PBR(株価純資産倍率)も10倍以上になり割高感が意識されたことが売りを呼びました。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)は一時3.1%高の2,498.5円をつけ、株式分割考慮後の上場来高値を更新しました。日銀の植田和男総裁の発言を受けて市場では利上げ観測が強まり、国内債券市場では長期金利が上昇、利ざや改善期待から買われたほか、外資系証券が投資判断と目標株価を引き上げたことも買い材料となりました。
クボタ(6326)は一時4.1%高の2,346.5円をつけ、年初来高値を更新しました。11月28日、外資系証券が同社の投資判断を3段階で真ん中の「ニュートラル(中立)」から最上位の「バイ(買い)」に、目標株価を従来の1,910円から2,630円に引き上げ、これを材料視した買いが入りました。
半導体用の化学薬品を扱うトリケミカル研究所(4369)はストップ高水準となる18.0%高の3,295円をつけ、大幅高となりました。11月28日、2026年1月期の第3四半期決算を発表し、純利益が前年同期比24.6%増の40億円と市場予想を上回る実績を示したことが買いを呼びました。
料理動画アプリなどを運営するクラシル(299A)は2.0%高の1,345円をつけ、続伸となりました。11月28日、バーチャルユーチューバー(Vチューバー)事業を始めると発表し、成長領域への進出を好感する買いが入りました。
VIEW POINT: 明日への視点
日経平均は1.9%安で5日ぶりに反落しました。日銀植田総裁の発言から国内の長期金利が1.8%台後半まで上昇したことが株式市場の重荷となりました。
明日の材料には、11月の米ISM製造業景気指数があげられます。市場予想では、節目の50を下回る49.0が見込まれています。雇用など内容もさることながら、景況感に改善がみられた際には、FRB(米連邦準備制度理事会)の追加利下げ観測を強める可能性があり、発表内容に注目です。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)
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