日経平均株価が大きく上昇するなか、投資の機運がより一層高まっています。そこで、改めて注目したいのがiDeCo(個人型確定拠出年金)の制度。NISA(少額投資非課税制度)が何かと話題になっていますが、iDeCoも決まっている制度改正があるため、今一度チェックしておくべきでしょう。
そこで、今回はiDeCoの制度改正のポイントと、賢い活用法について解説します。
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iDeCoのメリット・デメリットを解説!
節税効果が高い反面、取り崩すタイミングに制限がある!
まずは、iDeCoの基本的な仕組みについて、改めて紹介しておきましょう。iDeCoは、国民年金や厚生年金といった公的年金に上乗せして、自分で老後資金を作る私的年金制度。公的年金が一生涯にわたって受け取り続けられるのに対し、iDeCoは自分が積み立てて増やした分を取り崩して使っていく“有期”の年金です。
ちなみに、一部の企業が従業員の福利厚生として導入している企業年金も、私的年金制度の一種。企業年金の場合、原則として企業が従業員の掛け金を負担しますが、iDeCoは個人で行うものなので、自分自身で掛け金を拠出します。毎月決まった掛け金を積み立てて、自分で選んだ金融商品で運用します。対象となる商品は、所定の投資信託、定期預金、保険です(金融機関によって、取り扱い商品は異なります)。なお、積み立てた資金は60歳以降にならないと引き出すことができません。
iDeCoの最大の特徴は、さまざまな税制優遇があることです。まず、拠出時は掛け金全額が所得控除の対象となるため、所得税と住民税の節税につながります。運用益については、通常なら約20%の税金がかかるところですが、iDeCo口座での運用益はすべて非課税(1.173%の特別法人税も現在は凍結)です。また、60歳以降に積み立てた資産を引き出す際にも税制優遇があります(NISAは、そもそも引き出し時に課税の対象ではないので、こちらは拠出時の節税効果とワンセットとという側面もあります)。
3つの税制優遇や、60歳まで下ろせないという特徴が、かえって「老後のための」資産運用という意味では、iDeCoの存在意義を高めています。特に、自営業者などで国民年金のみに加入している人は、公的年金だけでは心もとないと感じるかもしれません。iDeCoを活用すれば、ある程度は不安の軽減を期待できます。
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企業型DCの「マッチング拠出」拠出上限額が緩和!
「もっと資産運用に回したい」というニーズが叶いやすくなる
ここからは、今回のメインテーマであるiDeCoの制度改正について解説します。iDeCo周辺制度の改正は段階的な実施が予定されています。まず、2026年4月1日に企業型確定拠出年金(企業型DC)の変更が予定されているので、そちらを先に紹介しましょう。
2026年4月1日から適用されるのは「企業型DCのマッチング拠出上限額の緩和」です。企業型DCは企業年金の一種で、iDeCoのように自分で運用して将来受け取れる金額が決まるタイプの私的年金制度です。iDeCoと異なるのは、掛け金を会社が拠出する点です。そしてマッチング拠出とは、企業型DCに加入している人が、会社の拠出する掛け金に、自ら給与の中から拠出して掛け金を追加できる制度です。
従来のルールだと、マッチング拠出する金額は会社が拠出する掛け金を超えてはいけないことになっていました。たとえば、会社が拠出する金額が月5000円の場合、個人で上乗せできる金額も月5000円までになります。そのため「企業型DCのマッチング拠出より、iDeCoをやったほうがたくさん積立ができるな」と考えて、マッチング拠出は行わず、企業型DCとiDeCoの併用を検討している人もいるかもしれません。
しかし、2026年4月からはこのルールが撤廃され、会社の拠出額以上に掛け金を追加できるようになります。もっとも、掛け金の上限額は月5万5000円と決まっているので、追加できる金額は5万5000円から会社が拠出している金額を差し引いた残額になります(会社の拠出額が5000円なら5万円が上限)。
企業年金の制度を設けているのは大企業が多いため、主に大企業に勤めながら企業型DCを活用している人にとって、気になる改正といえるでしょう。勤務先の企業型DCの商品ラインアップに満足している場合、iDeCoが不要になる人もいるかもしれません。
2027年からiDeCoの掛け金上限額が引き上げ!
国民年金の加入者は60歳以降、iDeCoの継続が可能に
続いて、2027年から適用されるiDeCoの制度改正を紹介します。主要なポイントは以下の2点です。
●【掛け金上限額の引き上げ】
iDeCoの月々の掛け金には上限があり、属性によって異なります。たとえば、自営業者やフリーランスの場合だと「月6万8000円(国民年金基金の掛け金や国民年金の付加保険料と合算)」。企業年金に加入している会社員は「月5万5000円-他制度の掛け金相当額」、または「月2万円」のどちらか少ないほうが上限。企業年金に加入していない会社員や専業主婦(主夫)は「月2万3000円」が上限です。
今紹介したものは現時点(2026年1月)の上限であり、2027年1月(2026年12月相当分・2027年1月拠出分)からは大部分が引き上げられる予定です。自営業者などは「月6万8000円⇒月7万5000円」に。企業年金に加入している会社員は「月5万5000円-他制度の掛け金相当額⇒月6万2000円-他制度の掛け金相当額」に。企業年金に加入していない会社員は「月2万3000円⇒月6万2000円」に。専業主婦(主夫)のみ現状維持です。
特にインパクトが大きいのは、企業年金のない会社員が掛け金を大幅に増やせるようになった点でしょう。もちろん、必ずしも上限額まで拠出しなければいけないわけではありませんが、「運用額を増やしたい人が増やせる自由が広がった」という点で、重要な改正だと思います。
●【加入年齢の延長】
もう一点の改正ポイントは、iDeCoに加入できる年齢の変更です。2027年からは現在の「65歳未満」から「70歳未満」に引き上げられます。
原則として、iDeCoは公的年金の保険料を負担している人しか積立をすることができません(解約せず運用することは可能です)。国民年金の支払い義務があるのは60歳までなので、現状60歳を超えてもiDeCoに加入できるのは、厚生年金の加入者と、国民年金の納付期間を延長している任意加入被保険者だけでした。
しかし、自営業者などでできるだけ長くiDeCoの積立を続けたいというニーズもあるため、今回の改正では「公的年金の保険料を負担していなくても、年金を受給していなければ70歳までiDeCoでの積み立てを可能にする」という改正を実施します。
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iDeCoとNISAはどちらを優先すべき?
あえてiDeCoを選択すべき人の条件とは
iDeCoの改正点の全貌はつかめたでしょうか。ところで、老後資金の準備として、iDeCoと並んで話題になるのがNISAです。よく「NISAとiDeCoはどちらを優先して利用するべきか」と迷う声も聞かれます。
ほとんどの人にとって、まずはNISAを優先して利用するのがよいでしょう。なぜなら、NISAはいつでも引き出し可能で自由度が高く、投資できる対象も幅広いからです。また、iDeCoは節税効果は高いものの、口座の開設や維持に手数料がかかります。一方のNISAの場合、節税効果は値上がり益や配当などのみですが、口座開設や管理に手数料は不要です。
こうした特徴を踏まえると、結婚や住宅購入、子どもの進学など、近い将来に大きなお金が必要になるライフイベントが見込まれる人は、自由に動かしやすいNISAを優先し、その上でiDeCoを無理のない範囲で始めるのがおすすめです。
逆に、iDeCoを優先したほうがいい人もいます。まず、該当するのは税率が高い人。特に、年収700万円以上などで所得税率が20%と高い人の場合、所得税率が5~10%の人に比べてiDeCoの所得控除による節税効果は大きいため、メリットが大きくなります。また、資産運用に回せる予算が多い人(長期で考えるとNISAの1800万円の枠を使い切りそうな人)は、NISAとiDeCoを併用するといいでしょう。
「投資は怖い」「元金を絶対減らしたくない」という慎重派にも、iDeCoのほうが向いています。定期預金などの元本確保型の商品は、NISAのラインナップにはありません。たとえば、税率の高い人が「投資により資金を減らすリスクを負わず、減税を受けながら定期預金したい」という感覚で使う場合は、iDeCoのほうが安心できるでしょう。
このように、家計における投資資金の余裕やリスク許容度、年齢、将来のライフイベントなどをよく見極めた上で、iDeCoにするかNISAにするかを慎重に選んでください。
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(取材/麻宮しま)
一級ファイナンシャル・プランニング技能士。会社員だった26歳のとき、貯蓄80万円でありながら自宅用としてマンションを衝動買い。物件価格以外にも費用がかかることを知り、あわててお金の勉強と貯蓄を開始。年間貯蓄額を一年で6倍まで増やす。その後、自身の体験を活かしてマンション販売会社に転職。年間売上一位の実績を上げる。2013年、ファイナンシャル・プランナーとして独立。著書は『やってはいけない「ひとりマンション」の買い方 』(青春新書)、『マンガでカンタン!NISA・iDeCoは7日間でわかります。』(Gakken)など多数。日常の記録にお金の情報を織り交ぜる「FUROUCHI vlog」を更新中⇒https://www.youtube.com/c/FUROUCHIvlog/
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