AIを活用すれば、個人投資家もプロ並みの調査ができるように
AIのおかげで、今や個人投資家でもプロ並みの調査ができるようになりました。英語の年次報告書も、決算説明会の記録も、日本語でAIに頼めば、数分で読み解いて、要点をまとめてくれます。
[参考記事]
●【米国株・グローバル投資入門:ポール・サイの10の視点】第6回 専門家だけが持っていた分析能力はAIで民主化されつつある。個人投資家の時代が来た!
では、個人投資家はプロに勝てるようになったのでしょうか。
結論から言うと、情報の量と速さの勝負では、プロに勝てません。しかも、AIのおかげで誰もが同じ水準の情報を手に入れられるようになり、情報の優位性はますます失われてきています。
しかし、複数の人が同じ事実を見ても、同じ結論にたどり着くとは限りません。そこで効いてくるのは判断力です。分析と判断の優位性は、AIをフル活用する時代となっても、そう簡単に消えることはありません。
AIを活用すれば、個人投資家の強みはさらに大きくなる!
そして、個人投資家にはプロが持てない強みもあります。
このコラムでは以前、株式投資で個人投資家がプロに勝てる点として、(1)小さな会社に投資できること、(2)長く株を持てること、(3)誰にも説明しなくていい、という3つの点について書いてきました。
[参考記事]
●新NISAのメリットデメリットは? エヌビディアに早くから注目し、昨年60%近くのパフォーマンスを出せた理由とは?
●【米国株・グローバル投資入門:ポール・サイの10の視点】第1回 「時間」は最も平等に与えられた資産。時間を味方に株式へ長期投資しお金に働いてもらおう
●読みが当たっても、タイミングが外れれば批判を浴びる。ピーター・リンチの後継者世代、世界最大級マゼラン・ファンドの運用者ジェフ・ヴィニックの物語
●バフェットの「株主への手紙」だけじゃない。アマゾン、ジェフ・ベゾスの「株主への手紙」には個人投資家の参考になる知恵がいっぱい詰まっている
●長期目線のポートフォリオは2年半で140%上昇! 「米国株&世界の株」メルマガのポールさんが、「日本株」メルマガの太田忠さんのラジオ番組に出演
個人投資家が持つ強みはAIを活用することで、さらに強化される
イラスト:いらすとや
今回はそこへさらに3項目を加えて6項目とし、AIを使って、それぞれのことをどう拡大させていくかについて考えてみます。
まず、以前、挙げた3項目は、AIを活用することでさらに強化されます。
仮にあなたが英語をあまり読めないとしても、アナリストがほとんど調べていないような小さな会社の英語の資料でさえ、AIを使えば、数分で日本語で読むことができます。
その株を買った理由を書き残しておけば、決算のたびに、その前提が崩れていないかだけをAIに点検させられます。暴落したら買う会社とその条件も、冷静なうちにAIとやりとりしながら、書き出しておけます。
「判断力」「自分の業界の知識」「税金と売買の管理」も個人投資家の持つ強みだ
そして、新たに加える3項目は、「判断力」、「自分の業界の知識」、そして、「税金と売買の管理」です。
4つめは「判断力」です。
同じ資料を見たとしても、差をつけることができるのは、前回から何が変わったか、何が書かれていないかに気づける人です。AIには結論を出させるより、自分の判断の弱いところを突かせるほうが役に立ちます。
次に5つめは「自分の業界の知識」です。
仮に日本の電子部品メーカーで営業をしている人なら、客先の注文の増減や在庫の積み上がりを、決算より先に肌で感じていることでしょう。
その感覚を米国株につなげたくても、これまでは英語の年次報告書を読み、業界の地図を描くのに何週間もかかりました。今はAIに頼めば、顧客、競合、仕入れ先にあたる米国企業を並べ、どの資料のどこを読めばいいかまで示してくれます。
以前、このコラムでも書きましたが、私のエヌビディアへの投資も、パソコンのゲームとAIに関する講義を聞いた、という身近なところで得た知識から始まりました。
[参考記事]
●買い推奨したエヌビディア株がテンバガーに! 日常生活の観察は株式投資に活かせる!エヌビディアを知ったのも日常生活の中でだった
最後に6つめは「税金と売買の管理」です。
株をいつ売るか、いつ税金を払うかを自分で選べることは、顧客から解約が来れば、株を売るしかないプロのファンドマネジャーにはない個人投資家の自由な点です。
AIは弱みも拡大する。落とし穴にはまらないためには?
ただし、AIは弱みも拡大します。
売買が簡単になれば、個人の最大の強みである時間軸は削られます。判断までAIに任せれば、答えは平均に寄っていきます。
強みを生かすつもりでいたら、いつの間にかプロと同じ土俵に戻っている。これが一番の落とし穴だと思います。
結論はシンプルです。プロと同じ土俵で戦わず、自分の土俵で戦う。AIには調査を任せ、判断は自分の手に残す。それが、6つの強みを生かす一番の方法だと思います。
本稿では、6つの強みの枠組みを示すにとどめました。それぞれの強みをAIでどうやって拡大していくか、そのまま使えるAIへの指示文と、AIが間違えやすいところについては、毎週金曜日に配信しているメルマガ「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」に書きたいと思います。
●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査に12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語に堪能。米国株などの資産運用について助言するメルマガ「米国株&世界の株に投資しよう!」を配信中。著書『台湾系アメリカ人が教える 米国株で一生安心のお金をつくる方法!』発売中。
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