週明け1月30日の東京株式市場は、「弱い大型株・強い中小型株」という構図でした。
1月30日の日経平均株価は、4日ぶりに反落し、前週末比98.55円安の1万9368.85円でした。
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一方、日経ジャスダック平均は反発、終値は同17.59円高の2877.28円と、1月26日に付けた昨年来高値を上回り、2006年1月16日以来、約11年ぶりの高値を付けました。また、東証マザーズ指数の終値は同10.19ポイント高の1001.66ポイントと、2016年7月6日の1010.60ポイント以来、約半年ぶりに1000ポイントを回復しました。
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トランプ大統領の政策の影響で、大型株が下落
逃げ出した短期マネーが中小型株に流入
大型株が弱かった主因は、1月27日にトランプ米大統領が、米国への入国審査を厳格化するまでシリア難民の受け入れを停止するほか、イランなど7カ国の市民も90日間入国させない、といった内容の大統領令に署名したことです。
これを受けて、市場ではトランプ大統領の政策が内外に摩擦を生むことへの警戒感が強まり、リスクオフの円高につながりました。そして、この円高が嫌気され、大型株は総じて下落したのです。
一方、新興市場に代表される小型株は内需系銘柄が多く、円高の影響を受け難いため、短期マネーの逃避先として資金流入が加速したようです。
また、一部報道によれば、「中小型株のリサーチ力に強みを持つある国内証券では、昨年から欧米の機関投資家の新規顧客が増え始めた。」そうです。緻密な企業調査や分析に基づき、市場平均を上回る運用成果を目指すアクティブ運用を行う海外マネーの流入も、強い小型株の主因と観測されます。
日経平均株価の調整はひと段落するも
「トランプリスク」により楽観ムードは吹き飛ぶ
ところで、足元の日経平均株価は方向感が出ていません。日経平均株価は1月26日の上昇で25日移動平均線を上回ったため、テクニカル的に見て、調整はいったん終了しました。本来なら、調整期間終了のため、前週末の1月27日終了時点では、上振れが期待できる状況でした。
しかしながら、前述のトランプ米大統領によるシリア難民の受け入れ停止やイスラム圏7カ国からの入国禁止令を受け、トランプリスクが急激に高まり、楽観ムードは吹き飛びました。
ですが、国内外の激しい反発を受け、トランプ政権は若干譲歩、妥協をしています。1月29日、入国制限について前日の発表を覆し、永住者は適用を猶予すると強調しました。また、今後90日間で適切な政策を施した全ての国に査証(ビザ)の発給を再開すると発表しました。
確かに、トランプ政権が、テクノロジー企業が活用している就労ビザプログラムを見直す大統領令を起草していることはリスクであり、今後の「就労ビザ改革」の成り行きは警戒すべきではあります。しかしながら、過度の悲観に傾く必要は、現時点ではないと考えます。なぜなら、今回のように国内外で激しい反発が生じれば、政権は反発軽減を目的に現実路線に軌道修正するとみているからです。
ボックス相場に入った日経平均株価を「逆張り」で狙え!
日経平均株価については、1月5日の昨年来高値の1万9615.40円と1月18日の1万8650.33円のボックス相場に入っています。どちらかを明確にブレイクするまでは、力強いトレンドの発生はなさそうです。
ボックス相場が前提なら、投資戦略は「逆張り」です。車のブレーキペダルの遊びというか、アローアンス(許容部分)を200円程度に設定するとすれば、「概ね1万9400円から上は売り、1万8850円から下は買い」というスタンスになります。
そして、強気・弱気の分水嶺は25日移動平均線で、これより上ならボックス上限を目指し、逆に、下ならボックス下限を目指すとみています。
なお、ロスカットはショートポジションなら1万9615.40円上抜け、ロングなら1万8650.33円下抜けに設定するべきでしょう。
上昇トレンドの発生している中小型株は、強気の「買い」で
一方、東証マザーズ指数は、安定的に25日移動平均線(1月30日現在963.38ポイント)を上回り、昨年来高値圏で推移しています。日経ジャスダック平均や東証2部指数も同様です。
これら中小型株の株価指数は、25日移動平均線を挟んで上下している日経平均株価と違い、中小型株には強い上昇トレンドが発生しています。逆に、日経平均株価は「トレンドレス」です。
私は、投資の基本はトレンドに乗ることだと思っています。上昇トレンドなら「買い」、下落トレンドなら「空売り」、トレンドレスなら「何もしない」という具合です。
ただし、一般的な個人投資家は、「損失限定・利益無限」のポジションで勝負した方が賢明と考えていますので、原則的には「空売り」は避けるべきでしょう。例外的に、プット・オプションの買いは「損失限定・利益無限」であり、虎視眈々と買いチャンスを狙ってもよいでしょう。
となると、現在の局面で手掛けるべきは、上昇トレンドが発生している中小型株であり、投資スタンスは「買い」ということになります。少なくとも、東証マザーズ指数、日経ジャスダック平均、そして、東証2部指数が、それぞれの25日移動平均線を割り込むまでは、「強気」でよいとみています。
なお、小型株投資の醍醐味は、短期での値幅取りです。当然、ボラティリティーは非常に高く、値幅は上下に出ます。このような特性を踏まえ、狙うべき銘柄群は力強い上昇トレンドが発生している「強い銘柄群」です。
具体的には、足元の売買代金が増加傾向(流動性が高い)で、株価が昨年来高値付近で推移(株価モメンタムが良好)し、上場来高値更新中(青天井相場突入)なら、尚可です。
値動きの激しい中小型株では、徹底したリスク管理を
一方、この手の銘柄群を売買する場合は、リスク管理を徹底しないと致命的ダメージを被ります。一発逆転、サヨナラ満塁ホームランを狙うかのような、1銘柄集中投資などは避けるべきです。ましてや、「同じ銘柄を現物と信用取引で買う」といういわゆる「2階建て」は、絶対にやってはいけません。現物株の分散投資を心掛けるべきです。
また、大型株に比べて中小型株はボラティリティーが高いため、投資資金も少額に抑えるべきです。例えば、大型株1銘柄を100万円買う投資家なら、中小型株1銘柄は30万円程度にするべきです。中小型株は大型株に比べて流動性も乏しいし、値動きが激しいため、そうした対応が必要です。
また、ご自身の設定したロスカットルールは、厳密に行うべきです。中小型株は人気化すると「昇り竜」のように急騰しますが、人気が離散すると「急激なナイアガラ」が発生しますから。
「5日移動平均線」からの剥離率を注視しながら
逆指値で撤退ラインを設定しておこう
ちなみに、多くのナイアガラは「5日移動平均線からのプラスの乖離率が異常に拡大した局面」と「株価が下落し5日移動平均線を割り込んだ局面」とで発生します。
戦略的には、5日移動平均線を上回って推移している銘柄は、高値安値に合わせて、逆指値注文をリアルタイムに自動修正する機能を追加した自動売買である「トレーリングストップ」や、株価が指定した条件になれば指値もしくは成行で発注する「逆指値(自動売買)」を活用すればよいでしょう。
なお、株価が5日移動平均線を下回っている「弱い」中小型株は、基本「アンタッチャブル」です。私は、あくまでも「強い」中小型株だけを売買対象にするべきだと考えます。
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