闇株新聞[2018年]

虎の子の半導体事業を売りに出した東芝が、
それでも株式市場の勝ち組である理由
闇株新聞が追い続ける巨大不適切決算企業の行方

2017年2月22日公開(2022年3月29日更新)
闇株新聞編集部
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問題続出の東芝(6502)が2月14日、決算発表を1カ月延期すると発表しました。政治経済に精通し独自の視点から解説する刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』では、不可解な三本立てIRを出した2015年5月8日から継続的に「東芝の闇」に切り込んできました。日本を代表する電機メーカーであるはずの東芝はどこへ向かおうとしているのか? そして、闇を知り尽くした闇株新聞が「それでも東芝は株式市場の勝ち組である」と言い切る理由とは!?

決算は独自予想、四半期報告もないため
「現時点では債務超過ではない」屁理屈

東芝が決算発表を延期したのは、債務超過転落や財務制限条項に抵触するのを先延ばしするだけの「時間稼ぎ」に過ぎません。やはりオール日本(政府、官邸、経産省、捜査当局、東証など)は東芝にどこまでも過保護に対応するようです。日米原子力協定があるのでどんなにボロボロになろうとも、原子力事業から撤退させるわけにはいかないのです。

参考記事:不自然なほど手厚く保護される「東芝(6502)」。命運を握るカギは「日米原子力協定」にあった!(2017年1月26日)

 予定された決算発表の代わりに東芝は「独自の予想決算」を出してきました。監査法人の承認がないので正式ではなく、また四半期報告書も提出できていないため「現時点では債務超過ではない」ことになります。よくも考えたものです。

 さて、その「独自の予想決算」によると、米国を中心に原子力事業で7125億円の損失が発生し、2016年4~12月期は4999億円の連結最終赤字、2016年12月末現在で自己資本が1912億円のマイナスになるとしています。また2017年3月期末における自己資本は1500億円のマイナスになるとも予想しています。

 原子力事業の損失(7125億円)は、2015年12月末に子会社ウェスチングハウスが買収したS&Wの「のれん」が想定していた105億円から6253億円に膨らんだ分と、子会社ウェスティングハウスの償却していない「のれん」を、まとめて損失として処理するようです。

 ただ、“あの”新日本監査法人から交替したばかりのPwCあらた監査法人が承認しなかった理由が、今ひとつはっきりしません。何らかの不適切行為があったか、この損失処理だけではまだ不十分である可能性も残ります。

半導体事業の売り出し限度が「20%未満」から
「過半数以上もあり得る」に変わった理由は?

 また「半導体事業を分社化、20%未満を売り出し資本増強に充てる」としていた再建案を修正し、「過半数以上の売却もあり得る」としています(100%売却してしまう可能性も排除していない点にも注目)。

 確かに支配権に影響しない20%未満の売り出しでは、買い手側にとっては魅力が乏しいかも知れません。それでも3000億円以上を出すところは複数現れたはずです。東芝自身が発表した「2017年3月末時点の自己資本は1500億円のマイナス」が正しいならば、それでも十分だからです。

 ここで慌てて「過半数以上を売却する」と発表すれば、「20%未満でもよい」と考えていた投資家は引っ込んでしまうでしょう。

 確かに「100%(まるごと)売却するなら1兆5000億円」と試算した半導体事業の価値を上回る2兆円以上で売却できるでしょうが、それでは唯一競争力のある半導体事業を海外に流出させてしまうことになりかねません。東芝はいったい何を考えているのでしょう?

 これらは主力銀行の「強い意向」としか考えられません。資本増強ができるまで残高維持に努めるということなのでしょう。2月14日以降、どこからともなく「半導体事業の売却は4月にずれ込んでもいい」との声も聞こえてきます。主力銀行も半導体事業を過半数以上の売却するなら間違いなく資金が回収できると踏んでいるのでしょう。

 主力銀行の面々はシャープの支援先選定で「鴻海に売却してくれれば(主力銀行の)貸付金は返済するし、優先株も額面価格で償還する」という郭会長の口約束に乗せられ、いまだ何一つ実行されていないことをすっかり忘れているようです。

 同様に東芝の「虎の子」である半導体事業は、東芝の事業でも(たぶん)日本の事業でもなくなってしまうでしょう。

東芝は損失底なしの原子力事業だけを
抱える「国策丸抱え企業」になる!?

 東証が東芝を「特設注意市場銘柄」に割り当てていることを心配する向きがありますが、東証はオール日本の面子の中でも東芝に対し最も過保護な組織であり、ここからも十分に配慮するはずなので心配は要りません。東証2部に割り当てるとか一時的に監理ポストに割り当てることはあっても、上場廃止にすることはありません。これだけでも、株式市場においては立派な「勝ち組」と考えるべきです。

 要するに、オール日本がよってたかって過保護にする結果、東芝は唯一競争力のある半導体事業を(たぶん)海外に売り渡し、これからどれだけ損失が出てくるかわからない原子力事業だけの「国策丸抱え企業」となるわけです。

 先週末(2月17日)の東芝の時価総額は7800億円ですが、そこから半導体事業を丸ごと売却すると(その是非はともかくとして)1.5~2兆円の現金が入ってきます。2017年3月末の債務超過を発表通りの1500億円とすると、半導体事業が1.5兆円でしか売れなかったとしても5700億円もの「おつり」がでます。

 抱え込む原子力事業では「向こう1年の予想損失」かもしれませんが、上場が維持されると考えるなら(そのはずです)鞘取り専門のヘッジファンドが東芝を買いに来てもおかしくはありません。

今回の「週刊闇株新聞」は刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』の人気コーナー「株式市場における今後の勝ち組・負け組を考える2017年冬版その2」から、東芝についてお伝えしました。ほかにもソフトバンク(9984)や、来週以降は「ワンマン社長がコンプライアンス重視の風潮で追放され負け組に転落しそうなあの会社」が登場するなど、勝ち組・負け組となる要素からさまざまな企業が紹介される予定です。メルマガ読者になると質問コーナーから個別銘柄やニュースに関する質問もでき、投資判断のセカンドオピニオンとしてご活用いただけます。
 

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