証券会社比較

「一般信用取引の空売り」ができる証券会社なら、
低コスト&低リスクで株主優待・配当をゲット可能!
「空売り」に役立つ取引ツールの使い方も解説!

2017年4月7日公開(2022年3月29日更新)
久保田正伸
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 株式投資には、信用取引の「空売り(売建て)」と呼ばれる手法がある。空売りを行って、約定後に株価が下がれば利益になる。空売りの使い方に熟練すれば、株価の上昇局面だけでなく、下落局面も収益チャンスになるのだ。

 では、どんなときに空売りが使えるのだろうか? 実は、相場のタイミングによって、株価が下がりやすい状況が生まれることがある。

 例えば、株主優待や配当の権利を得るには「権利付き最終売買日」の1日だけ保有していればいい。そのため、権利を取った翌日(権利落ち日)には、売りが出て株価が下がるシーンがよく見られる。

 また、新規上場のIPO銘柄は、公開価格を大きく上回る初値をつけた後に、大きく下落するケースがある。下のチャートは、最近上場した4銘柄を無作為に選び、並べたものだ。このチャートのように初値が高騰したIPO銘柄は、その反動で、上場後に下落するケースがよく見られる。

最近上場したIPO銘柄のチャート(2017年3月27日時点)。どれも右肩下がりになっている
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 また、時価総額の小さな新興市場銘柄の場合、何らかのニュースが出て、株価が乱高下する場合もある。

 こういったケースは、空売りを利用して儲けるチャンス。値動きが激しいので慎重なトレードが必要だが、うまくやれば大きく儲けることができるのだ。

「制度信用取引」の空売りは
高額な「逆日歩」が発生するリスクが

 信用取引は、「制度信用取引」と「一般信用取引」の2種類がある。

 一般的には、制度信用取引のほうがよく利用されている。その理由は、多くの証券会社で取り扱いがあり、利用する際の金利が比較的低いからだ。

 一方、一般信用取引は、制度信用取引に比べると利用の際にかかってくる金利が高く、取り扱っている証券会社も少ない。

【関連記事】
【信用取引入門:第2回】信用取引3つのメリットと松井証券の手数料無料の新サービス「一日信用取引」を紹介!

 制度信用取引で空売りをするとき、ぜひ知っておいてほしい注意点がある。

 空売りは、株券を調達する会社(制度信用取引の場合は、証券金融会社)から株を借りることで、持っていない銘柄を売ることができる仕組みだ。そのため、空売り用に貸す株数が多くなると証券金融会社のほうで株不足になり、「逆日歩(品貸料)」と呼ばれる追加の株式レンタル料が発生する。逆日歩は、空売りの通常費用(貸株料)に追加される。

 逆日歩が厄介なのは、いつ発生するか分からず、場合によっては高騰して予想外の出費を迫られるケースがある点だ。約定した時点で逆日歩がついていない銘柄でも、後から高額な逆日歩が発生することがあるので油断はできない。

 具体的に、逆日歩が発生した銘柄の例を紹介しよう。

 下のチャートの4銘柄はいずれも逆日歩が発生している。信用取引のデータでは、信用売残(信用売りされている残高)が信用買残(信用買いされている残高)を大きく上回っている状況だ。

逆日歩が発生した銘柄の例(2017年3月16日時点)
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 図の右上、ヤマシンフィルタ(6240)は、このとき1株あたり36.80円の逆日歩が発生した。100株単位なので、1単元の空売りで、逆日歩発生日に3680円の追加費用が必要となる。もし300株空売りしていれば、出費は1万円を超える。

 これで株価が下がっていれば空売りによる利益が出るが、ヤマシンフィルタの場合は株価が上昇している。そのため、空売りしている人は、「株価の上昇」と「逆日歩」の二重で損失が膨らむ辛い状況に陥っていたことになる。

「一般信用取引」は、空売りしても
「逆日歩」が発生しないのがメリット

 それに対して一般信用取引であれば、どんなに人気の銘柄でも、仕組み上、逆日歩発生が発生しない。制度信用取引に比べれば、貸株料が若干高いものの、短期的な売買ならコスト差は気にするほどではないだろう。

 また、一般信用取引では、制度信用取引では取り扱っていない上場したばかりの銘柄や、新興市場の人気銘柄の取引ができる場合もあるのも魅力だ。下の画像はSBI証券の「一般信用売り銘柄一覧」の画面だ。逆日歩が発生している銘柄でも、一般信用売りが可能となっている様子がわかる。

SBI証券の「一般信用売り銘柄一覧」(2017年3月27日時点)
拡大画像表示

「一般信用取引」で空売りができる
証券会社はここだ!

 実は、一般信用取引で買建てに加え、売建て(空売り)もできる証券会社はそれほど多くない。下の表に、一般信用で空売りができる証券会社をまとめた。

一般信用取引で空売りできる証券会社(※2017年3月11日時点)
◆楽天証券⇒詳細情報ページへ
  サービス名 売建可能銘柄数 買方金利 貸株料(空売りコスト)
日計り いちにち信用 3004 1.90%(0.00%) 1.90%(0.00%)
短期 短期(14日) 0 3.90%
長期 無期限 180 3.09% 2.00%
【備考】「いちにち信用」の買い方金利、貸株料は300万円以上の約定で0%。「いちにち信用」では銘柄によって「特別空売り料」がかかる。
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◆SBI証券 ⇒詳細情報ページへ
  サービス名 売建可能銘柄数 買方金利 貸株料
日計り 日計り信用・HYPER空売り 1011 2.80%(0.00%) 2.00%(0.00%)
短期 短期(15日) 444 3.90%
長期 無期限 132 3.09% 2.00%
【備考】「日計り」の買い方金利と貸株料は、300万円以上の約定で0%。「短期」の日数は新規建玉の建日から起算。「HYPER空売り銘柄」については、別途「HYPER料」が必要となる。
【証券会社おすすめ比較】SBI証券公式サイトはこちら
◆カブドットコム証券⇒詳細情報ページへ
  サービス名 売建可能銘柄数 買方金利 貸株料
日計り
短期 売短(14日) 294 3.90%
長期 長期(3年) 1568 3.60% 1.50%
【備考】「短期」の日数は新規建玉の建日から起算
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◆松井証券⇒詳細情報ページへ
  サービス名 売建可能銘柄数 買方金利 貸株料
日計り 一日信用取引 846 2.00%(0.00%) 2.00%(0.00%)
短期
長期 無期限 842 4.10% 2.00%
【備考】「一日信用」の買い方金利、貸株料は300万円以上の約定で0%。「一日信用」では銘柄によって「プレミアム空売り料」がかかる。
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◆岩井コスモ証券⇒詳細情報ページへ
  サービス名 売建可能銘柄数 買方金利 貸株料
日計り
短期
長期 無期限 346 3.69% 1.90%
【備考】
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 表内の各スペックは、「日計り(デイトレードのこと)」「短期」「長期」の3つのサービスに分類されている。信用取引の場合、株を借りて取引をしているため、決まった期限内に返済しなければならず、この3つの分類はその返済期限を示している。

 「長期」「日計り」「短期」の順に金利が低く、「長期」のサービスで空売り可能ならば、一番低金利で取引ができる。

「一般信用取引」で空売りするときの弱点は
人気銘柄の在庫不足

 一般信用取引で空売りする場合にも注意点がある。一般信用取引で空売り用に貸す株券は、それぞれの証券会社が調達しているが、人気銘柄ではそもそも株の調達量が少なかったり、在庫切れだったりする場合がある。

 つまり一般信用取引では、逆日歩の心配がいらない分、株の在庫が常にあるとは限らないのだ。在庫切れ対策として、上記の表に掲載した複数の証券会社に口座を開いておけば、人気銘柄でも空売りしやすくなるだろう。

 SBI証券では、一般信用の空売り銘柄の在庫を利用者向けに公開している。先に紹介したSBI証券の画面では、空売り銘柄の在庫について「◎余裕あり」「▲残りわずか」「×受付不可」などと表示されている。在庫状況での銘柄検索や並べ替えも可能だ。

 一方、カブドットコム証券の場合、優待銘柄検索欄を使い、一般信用取引の空売り銘柄に絞った検索ができる。株券の在庫が少ないときは「数量制限あり」と表示され、抽選によって投資家に配分が行われる。

一般信用売りの活用法・その1
株主優待・配当狙いのリスクを抑える「つなぎ売り」

 一般信用取引の空売りは、配当や株主優待の権利取りに使うことができる。信用新規売りと現物株買いを同時に行う手法で、「つなぎ売り」「クロス取引」などと呼ばれる。

 買いと売りを同時に行うことで、値動きのリスクは帳消しにできる。さらに一般信用取引を利用することで、逆日歩発生のリスクもなくせる。一般信用取引の金利(貸株料)は少々高めだが、「つなぎ売り」を行う日数は短期間だし、株主優待は1単元だけ保有すれば権利が得られる銘柄が多いので、金利コストはそれほど高くはならない。

 証券会社のWebサイトで一般信用売りの株券の在庫を見つけられたら、低コスト・低リスクで優待品をゲットできるチャンスと言える。

 なお、「つなぎ売り」に関する詳しい手法は、下の記事で詳しく解説している。

【関連記事】
「値下がりリスクなしで株主優待をゲット!?ネット証券各社で使える「つなぎ売り」のやり方を徹底解説!」

一般信用売りの活用法・その2
上場直後のIPO株や人気の新興市場銘柄の空売り

 一般信用売りができる証券会社を使うと、通常では空売りができない上場したばかりのIPO銘柄や、人気の新興市場銘柄でも空売りできる場合がある。特に、日計り(デイトレード)向けのサービスでは、希少な株券が用意されており、通常金利に追加料金を支払うことで利用できる。

 例えば、松井証券では、最新の「プレミアム空売り銘柄」の情報がトップページに掲載されている。松井証券の「プレミアム空売り銘柄」では「プレミアム空売り料」がかかってくる。「プレミアム空売り料」は銘柄によって異なり、100円、200円程度の銘柄が多いが、1000円前後になる場合もあるようだ。

 最近上場したばかりで松井証券の「プレミアム空売り」で取り扱いがある銘柄と、それぞれ1日あたりの「プレミアム空売り料」は以下の通りだ。

■松井証券「プレミアム空売り」で取り扱いのある銘柄例 ※2017年3月28日時点
 銘柄名(コード) 上場日 空売り可能
になった日
プレミアム空売り料
ファイズ(9325) 2017/3/15 2017/3/28 13.5円
ビーグリー(3981) 2017/3/17 2017/3/27 7.7円
ジャパンエレベーターサービス
ホールディングス(6544)
2017/3/17 2017/3/27 5.8円

 一方、SBI証券の「HYPER空売り銘柄」では、「HYPER料」がかかる。

 SBI証券では、IPO銘柄について「最短で上場後翌営業日からすぐに取引できる」という。試しに、執筆時点で前日に上場したティーケーピー(3479)ズーム(6694)をチェックしてみると、確かに「HYPER空売り銘柄」となっていた。売建受注枠欄には「◎余裕あり」「▲残りわずか」などと表示されており、上場翌日からすでに空売りが可能だった。

ネット証券の無料ツールを活用して
空売り銘柄を見つけよう!

 ネット証券の無料ツールで、空売りのチャンスが来ている銘柄を探す方法を紹介しよう。

 ひとつは、チャートの形状から銘柄を検索する方法だ。使うツールは、SBI証券の「チャート形状検索」か、松井証券マネックス証券の「チャートフォリオ」で、どちらもほぼ同様の機能となっている。

 SBI証券の「チャート形状検索」では、売建可能銘柄に絞って銘柄検索が可能となっている。検索結果(下の画面)では、「無(無期限)」「短(短期)」「日(日計り)」「H(HYPER空売り)」などと信用取引の区分が表示されている。一般信用取引で空売りできる銘柄を見分けて、注文画面まですぐに遷移できるしくみになっている。

SBI証券の「チャート形状検索」の画面(2017年3月29日時点)。売建可能銘柄に絞った銘柄検索が可能だ

 さらに、デイトレードに適した銘柄の中から、一般信用売り銘柄を探す方法を紹介しよう。

 SBI証券の会員ログイン後のサイトでは「HYPER空売り銘柄一覧」が表示できるが、この一覧は並べ替えが可能だ。

 例えば、「ティック回数」の多い順番に並べ替えてみよう。「ティック回数」とは、約定回数のこと。ティック回数が多ければそれだけ頻繁に取引が行われている人気銘柄と考えられる。また、「騰落率」で並べ替えれば、高騰している銘柄を発見できる。こういった銘柄をチェックし、タイミングを見計らって空売りする投資法が考えられる。

SBI証券の「HYPER空売り銘柄一覧」でティック回数の多い順に並べてみた(2017年3月30日時点)。騰落率の高い順などで並べ替えて、空売りチャンスが来ている銘柄を発見しよう
拡大画像表示

 一方、松井証券の無料トレードツール「ネットストック・ハイスピード」では、最近、デイトレ関連のランキング情報が新設された。ランキング中で「プレミアム空売り」銘柄は「P」という文字が表示される。

松井証券の無料トレードツール「ネットストック・ハイスピード」では、「デイトレ適性ランキング」「寄り前気配ランキング」「Tick回数ランキング」の表示が可能(2017年3月29日時点)
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 トレードツールなので、チャートと同時に表示できるのもメリット。ランキングの中で空売りできる銘柄を絞り込んで、それぞれの値動きをチェックしていく、といった使い方ができそうだ。

「一般信用取引」で空売りする際は
リスクヘッジを忘れずに!

 ここまで、一般信用取引で空売りできる証券会社や空売りが利用できるシーンなどについて紹介してきた。

 ある銘柄が下落に向くパターンは、自分なりに調べてみれば、他にも色々見つかると思うので、信用売りに興味がある人は自分なりに研究してみるといいだろう。

 ただし、新興市場銘柄や上場直後のIPO銘柄などは、値動きが激しくハイリスクになりがちだ。想定外の値動きをした時にはすぐに損切りするなど、対処法をあらかじめ準備した上で、上手に下落局面を収益に結びつけていただきたい。

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※手数料などの情報は定期的に見直しを行っていますが、更新の関係で最新の情報と異なる場合があります。最新情報は各証券会社の公式サイトをご確認ください。売買手数料は、1回の注文が複数の約定に分かれた場合、同一日であれば約定代金を合算し、1回の注文として計算します。投資信託の取扱数は、各証券会社の投資信託の検索機能をもとに計測しており、実際の購入可能本数と異なる場合が場合があります。

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