バイオ医薬品は「次世代バイオ医薬品」の時代へ。新時代のバイオ業界を牽引する代表的な3銘柄を紹介!
ダイヤモンド・ザイでは、「10年続くテーマに乗る! 『超』成長株46」と題した特集を掲載。短期的に注目されてすぐに終息するテーマではなく、長期的な成長見込みの持てるテーマと、その関連銘柄を紹介している。
今回は、高齢化の進行とともに年々注目度が上がっているテーマ、「ヘルスケア」をピックアップ。ヘルスケアで長期的な注目を集めるのはバイオ医薬品メーカーだ。バイオ医薬品メーカーの注目株3銘柄も、ダイヤモンド・ザイから抜粋して紹介していこう。
2017年はバイオ株への投資の好機になる!
日本を筆頭に、今後は世界的に高齢化社会となり、ヘルスケア部門、特にその中心となる製薬銘柄の注目度はますます高まってくる。なかでも長期的に注目を集めるのは「バイオ関連」だ。
というのも、すでに世界の流れはバイオ医薬品に傾いている。2015年の世界全体の医薬品売上高上位10品目のうち、8品目がバイオ薬だったし、バイオ医薬品の全世界での売上げは、2010年に900億ドルだったが、2015年には後続品も含めて1900億ドルと、2倍以上に拡大した。8000億ドルから8910億ドルと、11%増にとどまった従来医薬品(低分子医薬品・説明は後述)とは勢いが違うのだ。
「2017年は、2020年代に活躍する次世代バイオ薬の主役が見えてくる年であり、そうした株に投資する絶好のタイミングです」
こう語るのは、SBI証券のシニアアナリスト、岩田俊幸さん。バイオひと筋17年以上のベテランアナリストだ。ただ、一口にバイオ関連と言っても、何に投資すればいいのだろうか?
「2000年頃から現在まで、バイオ薬品の主役は抗体薬品でしたが、2020年代以降は、特殊ペプチドを用いたものなど、次世代のバイオ薬品が主流になります。また、患者の遺伝子情報を基にした個別化医療がより重要になります」(岩田さん)
薬価を10分の1以下に下げる、次世代のバイオ薬が登場!?
バイオ薬には難しそうなイメージがあるが、要は「体内にある物質で作った薬」だ。体外の化学物質で作った低分子医薬品は、その名の通り、分子が小さいぶんだけ吸収されやすく、効果が高い。ただ、治療を必要としない組織や細胞も傷つける恐れがあり、副作用のリスクも高い。
その点、もともと体内にあるたんぱく質で作ったバイオ薬品は体に優しく、副作用が少ない。現在のバイオ薬品の主役は抗体薬。体の免疫システムの主役である抗体(糖タンパク分子)を主成分としたもので、従来のバイオ薬よりも効果が高く、副作用はさらに少ない。延命効果が高い画期的な抗がん剤として話題になった「オプジーボ」も、抗体薬だ。
ただ、抗体薬にも欠点がある。一つは高価な点。オプジーボを1年間使用すると、体重にもよるが3500万円以上もかかる。これが問題となり、2016年11月、国は同薬の薬価の50%引き下げを決めた。おかげで、オプジーボの販売元の「小野薬品工業(4528)」の株価は、ピーク時の半値水準で推移している。財政難の折、国は薬価の引き下げに本気で、「医療コストを低下させる薬でないと認可が下りない方向に来ています」(岩田さん)。
抗体薬の2番目の欠点は、分子が大きく細胞の中に入り込めないため、細胞内の標的(病気の原因となる物質)には手が出ないこと。「病気の原因の7割は細胞内にある」(岩田さん)ことから、この点は大きな欠点とされてきた。
しかし、2020年代以降に主役になってくる見込みの次世代バイオ薬品は、細胞内の標的にも効果を発揮するため、これまでは治せなかった病気も治せるようになる可能性がある。しかも、抗体薬の10分の1以下という安価で販売できるものもあるため、開発した企業の株価は大いに上昇期待が持てることになる。
「特殊ペプチド薬」が今後の医薬品業界の主流になる!
そんな夢のような次世代バイオ薬品を開発する企業に投資したいなら、「その会社の技術がどんな会社に評価されているかを見ればいい」(岩田さん)とのこと。
岩田さんのイチオシは、「ペプチドリーム(4587)」だ。「ペプチドリーム」の技術を用いて薬の共同開発契約を締結している企業は17社あり、その中には世界最大手のノバルティスをはじめ、全世界の医薬品の売上高上位20社中10社が含まれている。なぜ、それほどまでに注目されているのか?
「新薬の候補物質は、世界大手の会社でさえ数百万個しか持っていません。しかし、『ペプチドリーム』は、短時間で1兆個もの候補物質を作ることができます。2030年頃には、医薬品全体の3割程度が、同社の技術で作られた特殊ペプチド医薬品群になる可能性も。売上げに応じたロイヤルティも大いに期待できます」(岩田さん)
「遺伝子解析技術」「臨床試験」に強みを持つ2銘柄とは?
患者一人ひとりに的確な治療を施す個別化医療は、医療費の抑制にも貢献する。そこで必要となるのが、遺伝子解析の技術を持つ企業だ。その一つが「栄研化学(4549)」である。すでに結核菌の遺伝子診断キットを発売し、今後は全自動小型遺伝子検査システムに注目が集まる。
もう一つ注目したいのは、新薬候補の安全性や有効性を確認する前臨床試験の、日本における最古参かつ最大手である「新日本科学(2395)」。米国で、抗体薬の代替候補である「核酸医薬」の精度を高める技術を持つベンチャー企業を上場させて、含み益を増大させており、注目が集まっている。
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