2017年はシルバーウィークがカレンダー上では最大3連休と短かったですが、有給休暇などを取得して海外旅行に行かれた方も多いのではないでしょうか?
海外旅行というと、大きな出費になるのが渡航費用。ただ、近年はLCC (Low Cost Carrier、格安航空会社)も身近になり、渡航費用をグンと安くできるようになっていることは、ご存じのとおりです。
ただ、利用したことがない方からは「料金が安い分、乗り心地が悪いのでは?」「サービスが悪いのでは?」といった心配の声が、まだよく聞かれます。
そこで今回は、私自身のLCCの搭乗体験を踏まえ、LCCの魅力やメリット・デメリットについてご説明しましょう。
そもそもLCCとは何なのか? レガシー・キャリアとの違いとは?
現在、日本に就航している主なLCCとしては、Peach、ジェットスター、バニラエア、春秋航空、エアアジアX、イースター航空、済州航空などがあります。これらのLCCと、いわゆるレガシー・キャリア(従来の航空会社)は、何がどう違うのでしょうか?
実は、「この条件を満たせばレガシー・キャリアで、満たさなければLCC」というような明確な定義はありません。
定義はないものの、一般的に徹底したコスト削減の結果、レガシー・キャリアに比べて格安な料金で航空券を提供する航空会社のことを「LCC」と呼びます。
どれくらい安いかは、利用するエアラインや路線、季節などの諸条件により変わりますが、レガシー・キャリアの正規料金と比較すると、なかには半額近くまで下がるケースもあります。
LCCは安全性を守りつつ、どうやって安値を実現しているのか?
とはいえ、「安かろう悪かろう」というイメージもあり、「LCCって安全性は大丈夫?」と不安に思われる方も多いでしょう。
基本的に、安全性が低い航空機が空を飛ぶことは許されないので、LCCだからといって安全性に問題があるわけではありません。
それでは、なぜLCCは格安な料金で航空券を提供できるのでしょうか? 主な理由は、以下のとおりです。
【LCCが格安料金を実現するために取り組んでいることの例】
◆同一の機体を使用するで整備コストを削減する
◆座席数やフライト数を増やして効率を上げる
◆レガシー・キャリアでは一般的な無料サービスを有料のオプション制にする
◆荷物の預け入れに料金を設ける。あるいは、無料で預けられる荷物の重量制限枠をレガシー・キャリアに比べて軽くする
このようなコスト削減策によって、LCCは安値を実現しているわけです。安くすることで、安全面が損なわれているわけではない、とおわかりいただけるでしょうか。
そんなLCCのメリットとデメリットをまとめると、下図のようになります。
LCCのメリット | |
〇 | レガシー・キャリアに比べ、安価で利用できる |
〇 | シンプルなプランなので、従来のサービスで不要に感じていた過剰なサービスをなくせる |
LCCのデメリット | |
▲ | フライトスケジュールがタイト(空港に待機する時間をなるべく短くしている)なため、遅延や欠航が発生しやすい |
▲ | メジャーな空港でなく、郊外の空港を利用している場合がある |
▲ | 座席数を確保するためシートピッチが狭く、座席が狭く感じることがある |
▲ | エンターテイメントなどの機内サービスが設備に組み込まれていない場合がある |
▲ | 機内食やドリンク、毛布などが標準のサービスになく、必要ならオプションとして追加で支払いが発生する |
▲ | ウェブでの予約が中心で、会社によっては操作画面などがわかりにくい場合がある |
最大のメリットは、もちろん安いところ。値段が安くなった分だけ、サービスの充実度は低下するため、デメリットのほうが数は多くなっています。
しかし、安さは何にも勝る魅力。デメリットを確認した上で、「これくらいなら我慢できる」と思うのであれば、LCCを検討する価値は十分あるでしょう。
搭乗して実感!LCCのオプション付きシートは、やみつきになる快適さ
ここからは、私が「エアアジアX」を利用した際の体験談を紹介します。LCCの感想は人それぞれなので、一個人と意見として参考にしていただければと思います。
2017年5月、エアアジアXの成田-バリ(インドネシア)間の直行便就航による特別キャンペーンを利用し、チケットを購入しました。「片道最安料金9900円~」という驚異の低価格です。
一番安いのはスタンダードシートですが、往復ともに、オプションを付けてみることにしました。
往路は、プレミアムフラットベッド(約3.6万円)、復路はクワイエットゾーンのホットシート(最前列)を指定。空港使用料やクレジットカードの決済手数料などの諸費用込みで、往復料金は約5万5000円となりました。

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なお、プレミアムフラットベッドとは、倒すとベッドのように体をほぼ横にできるという、ビジネスクラスのような座席です。
また、クワイエットゾーンとは、10歳未満の子どもは利用できない、文字どおり静寂を重視したエリアです。ホットシートはスタンダードシートと同じ仕様ですが、足元がゆったりしていて、窮屈さはありませんでした。
これらのオプションを追加した座席の乗り心地は非常に快適で、過去に搭乗したレガシー・キャリアと比べても遜色はありませんでした。フライト時間は7時間程度でしたが、往路に関しては体を横にでき、眠っているうちに到着したため、疲労感は少なかったです。
過去に利用したレガシー・キャリアのエコノミークラスよりもずっとラクで、この価格(約3.6万円)というのは、かなりお得だったと言えるでしょう。今後またエアアジアXを利用するなら、ぜひプレミアムフラットベッドとホットシートを利用したいと思いました。
初心者はウェブ予約でつまずく可能性も。ミスしないように注意を!
座席以外に気づいた点も挙げておきましょう。
まず、モニターが目の前になかったのは、やや不便でした。レガシー・キャリアでも国内線などではほとんどモニターはついていませんが、長距離の国際線はついている場合が多いものです。長距離飛行のときに、モニターで映画などが観られないと時間を持て余すかもしれないので、タブレットに映画を取り込んでおくなどの事前準備がいりそうです。

機内食をオーダーしたのですが、レガシー・キャリアのビジネスクラスにあたるプレミアムフラットベッドでも、スタンダードシートの機内食と内容は同じ。味はおいしかったですが、ごく簡素なものでした。
また、飲み物などは機内で買うこともできるのですが、クレジットカードが使えずに不便さを感じることも。ただ、これらは支払った値段から考えると、大した問題ではないと言えるかもしれません。
LCC体験を通じて一番苦労したのは、私の場合、チケットのウェブ予約です。LCCのチケットはウェブ予約が基本です。電話で予約できる場合もありますが、コストが高くなります。
このウェブ画面、あくまで個人的感想ですが、オプションの付け方、外し方などがわかりにくく、誤って不要なオプションを追加してしまうようなこともありました。
また、キャンセル処理などのアフターフォローも、レガシー・キャリアに比べるとイマイチなところが多々あったので、ミスをしないように覚悟して臨んでいただきたいと思います。
LCCは万人向けではない!乳幼児連れや高齢者などには不向き
LCCが安くて良いといっても、不向きな人もいると感じます。具体的には、以下のようなタイプの人に向かないと言えるでしょう。
【LCCに向かないタイプとは?】
◆充実したサービスを重視する人
座席や機内食のグレードアップなどオプションを追加するうちに、レガシー・キャリアとそれほど変わらない価格になってしまうこともあるので、サービス重視の人は初めからレガシー・キャリアを選択しましょう。
◆出張や弾丸旅行などタイトなスケジュール
LCCは遅延が多く、遅延や欠航時の振替も原則としてありません。よって、渡航先で大事な会議がある場合や、渡航後にタイトなプランを組んでいる場合などには向いていません。
◆体力のないお年寄りなどを含むグループ旅行
空港によっては、LCCのタラップから搭乗口まで離れており、かなり歩くケースもままあります。お年寄りやハンディキャップを持つ方は注意が必要です。
◆小さな子どものいるファミリー旅行
LCCは乗り換え時間が短いことも多く、不測の事態で時間をとられがちな子ども連れの方は、フライトスケジュールに余裕のあるレガシー・キャリアのほうが安心かもしれません。また、子ども料金がなく、満2歳から大人一人分と同等の座席代が発生します。2歳未満の膝に乗せている乳児であっても、1500円程度の料金がかかる場合があります。

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重要なポイントは、航空会社を選ぶ段階で、旅の目的や内容、予算をはっきりさせることです。LCCとレガシー・キャリアのどちらがより適しているか、判断しやすくなるでしょう。
とはいえ、たくさんの航空会社からチョイスするのはなかなか難しいものです。私はまず、旅行の比較検索サイト「スカイスキャナー」で下調べをし、目星をつけたLCC各社のウェブサイトで検索を繰り返し、最安のプランを選ぶようにしています。
LCCによって、海外旅行は以前よりも確実に安価で身近になりました。ぜひ、LCCデビューを果たし、お得に旅を楽しんでください。
(取材・構成/麻宮しま)
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