クレジットカード活用術

海外旅行保険はクレジットカードで十分か!?あまり知られていない補償内容の仕組みや「自動付帯」と「利用付帯」の違いを徹底解説!クレジットカードの海外旅行傷害保険を活用する方法(その1)

【第18回】 2014年7月16日公開(2022年3月29日更新)
菊地祟仁
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 7月に入り、そろそろ夏休みを取る人も増えてくる季節になりました。休みを利用して海外旅行の準備をしている方も多いのではないでしょうか? 

 海外旅行に行く場合、空港などで海外旅行保険に加入する方もいると思います。たとえ、クレジットカードに旅行保険が付帯していると知っていても、クレジットカードの海外旅行傷害保険だけだとなんとなく不安という方も多いのではないでしょうか。

 しかし、上手に使えば、クレジットカードに付帯している海外旅行傷害保険でも、補償内容、補償金額を充実させることが可能です。今回はクレジットカードの海外旅行傷害保険がどれほど使えるのかを、AIU等の海外旅行保険との違いを確認しながら解説していきます。

クレジットカードに付帯している海外旅行傷害保険と
保険会社に保険料を支払って加入する海外旅行保険の違いとは?

 まず、クレジットカードに付帯している海外旅行傷害保険とAIU等の保険会社に保険料を支払って加入する海外旅行保険の大きな違いは、「補償対象範囲と金額」と「治療費の支払い方法」です(今回はAIUの海外旅行保険を例にします)。

「補償対象範囲と金額」をよく見てみると、クレジットカードの海外旅行傷害保険では対応できないトラブルがあります。例えば、「疾病死亡」「緊急歯科治療費用」などです。

 旅行中に病気で死亡した場合は、クレジットカードの海外旅行傷害保険では補償されません。一方、AIU等の海外旅行保険の場合は、旅行中に病気で死亡した場合も補償の対象となります。

 また、治療費等の金額がクレジットカードの海外旅行傷害保険よりも高額に設定されている場合が多いのも特徴です。

「治療費の支払い方法」を比較すると、クレジットカードの海外旅行傷害保険の場合は、基本的には現地での治療費をいったんは建て替える必要があり、帰国後に請求しなければなりません。一方、AIU等の海外旅行保険の場合は、治療費を自己負担することなく治療を受けられる場合があります。

 これだけ見ると、やはりクレジットカードに付帯している海外旅行傷害保険だけではなく、別途、保険料を支払って海外旅行保険に加入したほうがいいなと思ってしまいますね。

 確かに、現地での治療費の立て替えをしなくて済むようにしたいなら、AIU等の海外旅行保険に加入したほうがいいのですが、「補償対象範囲と金額」についてはクレジットカードに付帯する海外旅行傷害保険でも十分だという見方もできるのです。

カードの付帯保険と保険会社の保険を徹底比較!
重要な補償はAIUの海外旅行保険のほうが高額な設定に

 まずは、旅行日程が10日までで、契約タイプが「傷害死亡時に3000万円」のAIU海外旅行保険の保険料と補償内容を調べました。「傷害死亡時に3000万円」の場合、支払う保険料は約1万円です。次に、年会費が1万円程度のクレジットカード「dカード GOLD」に付帯している海外旅行傷害保険の内容を確認しました。この2つを比較したのが次の表です。

  AIU海外旅行保険
AIU海外旅行保険サイト画像
dカード GOLD
dカード GOLDカードフェイス画像
 保険料/年会費(税込) 1万1480円 1万1000円
 保険期間 10日まで 90日まで
 傷害死亡 3000万円 1億円
 傷害後遺障害 最高3000万円 最高1億円
 傷害治療費用 無制限 最高300万円
 疾病治療費用
 救援費用 最高500万円
 緊急歯科治療費用 10万円
 疾病死亡 1000万円
 賠償責任 1億円 最高5000万円
 携行品 30万円 最高50万円
(自己負担額3000円)
 旅行事故緊急費用 5万円


 最初に書いたとおり、「疾病死亡」「緊急歯科治療費用」の項目が「dカード GOLD」に付帯している海外旅行傷害保険にはありません。また、予期せぬ偶然の事故によって負担した交通費や宿泊費等を補償する「旅行事故緊急費用」も付帯していません。

 しかし、あくまで個人的な感覚ですが、「疾病死亡」については、病気を患いながら海外旅行に行くこと自体が間違っていますので、10日間程度の旅行であれば(旅行終了日から30日以内に死亡した場合が対象)、疾病死亡補償があるかないかはあまり関係ないと思われます。

 続いて、「緊急歯科治療費用」についてですが、海外では歯科治療費が非常に高額です。しかし、こちらも10日間で治療が必要なほど痛むということは、それ以前からある程度の痛みがあるはずですので、治療してから行きましょう。もし、長期で海外に滞在することがある場合は、事前に虫歯治療などをしておくことをおすすめします。

 それ以外で大きな違いは、「傷害治療費用」「救援費用」でしょうか。無制限なのか上限が決まっているのかという違いです。例えば、海外で骨折して入院し、「傷害治療費用」「救援費用」が350万円かかった場合は、「dカード GOLD」の海外旅行傷害保険では上限が300万円と設定されているので50万円が自己負担となってしまいます。一方、AIUの海外旅行保険は「傷害治療費用」「救援費用」の支払限度額が無制限ですので、たとえ1000万円かかったとしても自己負担は0円です。

 また、他人を怪我させたり、お店の品物を壊してしまったりした場合の「賠償責任」についても、AIUの海外旅行保険が1億円なのに対し、「dカード GOLD」の付帯保険では5000万円と、2倍の開きがあります。最初に書いたとおり、AIU等の旅行保険のほうが重要な項目で補償額も大きく、安心ということがわかります。

クレジットカードに付帯している海外旅行傷害保険は
項目によっては保険金の合算が可能だ!

 それでは、「傷害治療費用」「救援費用」や「賠償責任」について、クレジットカードの海外旅行傷害保険を手厚くすることはできないのでしょうか?

 保険を手厚くする方法としては、2つの方法が考えられます。

 1つ目はAIU海外旅行保険でもう少し掛け金が低い保険に加入し、クレジットカードの海外旅行傷害保険と併用する方法です。しかし、これでは追加の費用が発生してしまいます。

 実はもう1つ、追加費用を支払うことなく、保険を手厚くする方法があります。それは、「1枚ではなく、ほかのクレジットカードの補償を利用する」というものです。

 意外と知られていませんが、クレジットカードに付帯している海外旅行傷害保険を詳しく調べてみると、複数のクレジットカードを保有している場合は、「傷害死亡」「傷害後遺障害」は保有している複数のクレジットカードの補償金額の最高額が適用されますが、それ以外の補償に関しては保障金額を合算することができるのです。

 例えば、「dカード GOLD」がメインカードで、サブカードに「楽天カード」を保有していたとします。「dカード GOLD」と「楽天カード」の海外旅行傷害保険を一覧にします。

  dカード GOLD
dカード GOLDカードフェイス画像
楽天カード
「dカード GOLD」と
「楽天カード」を
合計した最大値
 年会費(税込) 1万1000円  無料 1万1000円 
 傷害死亡 1億円 最高2000万円  最高1億円
 傷害後遺障害 最高1億円 最高2000万円  最高1億円
 傷害治療費用 最高300万円 最高100万円  最高400万円
 疾病治療費用
 救援費用 最高500万円 最高600万円 
 賠償責任 最高5000万円  最高2000万円  最高7000万円
 携行品
(自己負担3000円)
最高50万円  最高20万円  最高70万円


「傷害死亡」「傷害後遺障害」については「dカード GOLD」のほうが高く設定されているので、それぞれ「1億円」「最高1億円」の保険金が採用されます。

 しかし、「傷害死亡」「傷害後遺障害」以外の項目については、「dカード GOLD」と「楽天カード」の補償金額を合算することが可能です。つまり、「dカード GOLD」と「楽天カード」の2枚のカードで補償される金額は右端の「最大値」のようになるのです!

dカード GOLD」と「楽天カード」を合算できると、「賠償責任」はずいぶん手厚くなりましたね。「傷害治療費用」「疾病治療費用」も最高400万円まで増えるので、先ほど例に出した350万円の治療費でも自己負担がなくなります。

 ただし、クレジットカードの海外旅行傷害保険は、必ずしもそのクレジットカードを「保有していれば補償される」というわけではありません。海外・国内旅行傷害保険には「自動付帯」と「利用付帯」があるのです。

「自動付帯」とは、そのクレジットカードを保有していれば自動的に付帯される保険で、「利用付帯」とはクレジットカードで旅費の支払いを行わなければ補償を受けられないサービスになります。

次回は、「自動付帯」と「利用付帯」を上手に活用して、海外旅行傷害保険を手厚くする方法と、海外旅行傷害保険がお得なクレジットカードを紹介したいと思います。

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還元率
(※1)
カード年会費
(税抜)
旅行傷害保険補償額
(最高額)
カード
フェイス
国内 海外
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10%
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年会費無料

(26歳以上は
初年度無料、
2年目以降は
3000円
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(利用付帯)
3000万円
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※最短即日発行を希望してセゾンカウンターで受け取る場合は、ICチップ機能なしのクレジットカードになる(ICチップ機能は主にセキュリティ向上のために付けられているので、ICチップ機能が付いていなくてもクレジットカード決済することは可能)。
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還元率 年会費
(税込)
ブランド 電子マネー対応
(ポイント付与対象)
カード
フェイス

 ◆三井住友カード(NL)

0.5~7.0% 永年無料 VISA
Master
iD
三井住友カード(NL)の公式サイトはこちら
【三井住友カード(NL)のおすすめポイント】
券面にカード番号が記載されていない「ナンバーレス(NL)」なのが特徴(カード番号はアプリで確認可能)。通常還元率は0.5%と一般的なクレジットカードと同等だが、Apple PayやGoogle Payに「三井住友カード(NL)」を登録して「Visaのタッチ決済」または「Mastercardタッチ決済」を利用すれば、セブン-イレブン、ローソン、マクドナルド、サイゼリヤ、バーミヤンなど、対象のコンビニや飲食店では還元率7%に大幅アップ(※)する! さらに、獲得できる「Vポイント」は、dポイント、Pontaポイント、楽天ポイント、ANAマイルなどに交換できるほか、「1ポイント=1円」としてカード利用額に充当できるなど、ポイントの汎用性が高いのも魅力!
※ 一部店舗および一定金額を超える支払いでは指定の決済方法を利用できない場合、または指定のポイント還元にならない場合あり。iD、カードの差し込み、磁気取引による決済は7.0%還元の対象外。Google PayではMastercardタッチ決済は利用不可。
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 ◆楽天カード

1.0~3.0% 永年無料 VISA
JCB
Master
AMEX
楽天Edy
(楽天Edyへの
チャージ分は
還元率0.5%)
楽天カード公式サイトはこちら
【楽天カードのおすすめポイント】
楽天市場や楽天ブックス、楽天トラベルを利用している人はもちろん、楽天ユーザー以外にもおすすめの「年会費無料&高還元」クレジットカードの代表格。通常還元率は1.0%だが、楽天市場や楽天ブックスでは最低でも還元率が3.0%以上に! また、「楽天ポイントカード」や電子マネーの「楽天Edy」との併用で、楽天グループ以外でも還元率は1.5~2.0%以上になる! ゴールドカードの「楽天プレミアムカード」も格安の年会費で「プライオリティ・パス」がゲットできてコスパ最強
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 ◆イオンカードセレクト

0.5~1.0%

永年無料 VISA
JCB
Master
WAON
モバイルSuica
SMART ICOCA

モバイルSuicaと
SMART ICOCAへの
チャージ分は還元率0.25%)
イオンカードセレクトのカードフェイス
【イオンカードセレクトのおすすめポイント】
一般的な「イオンカード」ではポイントがつかない「WAON」チャージでポイントが貯まり、「ポイント2重取り」ができるのが最大のメリット。また、「イオンカードセレクト」の保有+月1回のカード(または搭載のWAON)決済+ネットバンキングに登録という3つの条件を満たすだけで「イオン銀行Myステージ」の「シルバーステージ」に到達し、「イオン銀行」の普通預金金利がアップするので、「イオンカードセレクト」以外の「イオンカード」保有者はすぐ切り替えよう! しかも「イオンカードセレクト」で年間50万円以上を利用すれば、年会費無料のゴールドカード「イオンゴールドカードセレクト」が手に入り、無条件で「イオン銀行Myステージ」が「ゴールドステージ」に! なお、2024年10月1日~12月8日に入会すると、カード発行後1カ月間は対象のイオンモール専門店での買い物が5%OFF(請求時)になるキャンペーンを開催中!
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還元率 年会費
(税込)
ブランド 電子マネー対応
(ポイント付与対象)
カード
フェイス

 ◆三井住友カード ゴールド(NL)

0.5~7.0%

5500円
(ただし、年100万円以上の
利用で次年度から永年無料
VISA
Master
iD
三井住友カード ゴールド(NL)のカードフェイス
【三井住友カード ゴールド(NL)のおすすめポイント】
券面にカード番号が記載されていない“ナンバーレス(NL)”のゴールドカード。年会費5500円(税込)だが、年間100万円を利用すると(※1)、次年度から年会費が“永年無料”になるうえに、1万ポイントが「継続特典」としてもらえるのが大きな魅力! さらに、通常還元率は0.5%と一般的なクレジットカードと同等だが、Apple PayやGoogle Payに「三井住友カード ゴールド(NL)」を登録して「Visaのタッチ決済」または「Mastercardタッチ決済」を利用すれば、セブン-イレブン、ローソン、マクドナルド、サイゼリヤ、バーミヤンなど、対象のコンビニや飲食店では還元率7%に大幅アップ(※2)するなど、ポイントも貯まりやすくてお得!
※1 対象取引などの詳細は、三井住友カードの公式サイトでご確認ください。※2 一部店舗および一定金額を超える支払いでは指定の決済方法を利用できない場合、または指定のポイント還元にならない場合あり。iD、カードの差し込み、磁気取引による決済は7.0%還元の対象外。Google PayではMastercardタッチ決済は利用不可。
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 ◆JCB CARD W(ダブル)

1.0~10.5%
(※)
永年無料 JCB QUICPay
JCB CARD W(ダブル)公式サイトはこちら
【JCB CARD W(ダブル)のおすすめポイント】
39歳以下の人だけが申し込める、年会費無料のうえに通常還元率1%のお得な高還元クレジットカード!(40歳以降も継続して保有可能)さらに「ORIGINAL SERIESパートナー加盟店」の「ポイントアップ登録(無料)」をすれば、Amazonやセブン-イレブンなどでは還元率2%、スターバックスでは「スターバックスカード」へのチャージで還元率5.5%、「Starbucks eGift」の購入で還元率10.5%に!
※貯まったOki Dokiポイントを「JCB PREMO」に交換した場合の還元率。
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「JCB CARD W」は、年会費無料で還元率1%以上のお得な高還元クレジットカード!「JCB CARD W」のメリット・デメリットを他のカードと比較して検証!
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JCB CARD Wの公式サイトはこちら

 ◆アメリカン・エキスプレス・ゴールド・プリファード・カード

0.3~1.5%
(※1)
3万9600円 AMEX
アメリカン・エキスプレス・ゴールド・プリファード・カードの公式サイトはこちら
【アメリカン・エキスプレス・ゴールド・プリファード・カードのおすすめポイント】
日本で最初に発行されたゴールドカード「アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード」の後継カードだけに、ステータス&付帯サービスは最高レベルで、カードが金属製という特別感もあって、一般的なゴールドカードとはケタ違い。たとえば、年間200万円(税込)以上を利用してカードを継続保有すると、国内40カ所以上の高級ホテルに無料宿泊できる「フリー・ステイ・ギフト」は、もはや一般的なプラチナカードすら凌駕するレベルの特典だ。さらに、高級レストランを2人以上で利用すると1人分が無料になる「ゴールドダイニング by 招待日和」や、世界1400カ所以上の空港ラウンジを年2回まで無料で利用できる「プライオリティ・パス」最高補償額1億円の「海外旅行傷害保険」が付帯するなど、もはや「ゴールドカード」の枠組みを大きく飛び越えている。また、家族カードは2人目まで年会費無料でお得(3人目以降は年1万9800円・税込)。
※貯まるポイントをマイルに交換した場合。1マイル=1.5円換算。
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