足元の株式市場は、日米共に相変わらず強い動きを継続しています。
米国では、11月6日にNYダウ(ダウ工業株30種平均)、ナスダック総合株価指数、S&P500種株価指数の主要3指数が揃って過去最高値を更新しました。また、7日前場の日経平均株価は、一時2万2775.68円まで上昇。連日で年初来高値を更新し、バブル崩壊後の最高値である96年6月26日の終値の2万2666.80円を上回りました。
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良好なマクロ環境、主力企業の好業績、そして、財政・金融政策への信頼を背景に、日米共に株式市場への資金流入が継続しているのでしょう。
日米ともに、株式市場にとって強い追い風が吹く環境が続く
米国では、良好なマクロ指標を背景に緩やかなインフレ期待がある一方で、急激な金融引き締めはないとの安心感が強まっています。
トランプ米大統領は次期FRB議長に、イエレン議長と金融政策の考え方が近いとされるパウエルFRB理事を指名しました。このため、FRB議長が変わっても、現在のハト派的な路線が踏襲されるとの安心感が強まりました。また、トランプ政権の法人税改革への期待もあります。
その一方、10月の米雇用統計では、失業率は4.1%と、2000年以来の水準に低下したものの賃金の伸びは鈍化しました。また、10月のISM米製造業景況感指数は58.7と、前月の60.8からは低下したものの、依然高水準を維持しています。そして、10月のISM非製造業景況感指数は60.1と、前月より0.3ポイント上昇し、12年1カ月ぶりの高水準となった前月を上回りました。
一方、日本では、先日の総選挙で、与党が大勝したことでアベノミクス継続が確定し、来年4月に任期の切れる黒田日銀総裁の続投確率が高まりました。黒田総裁はブレずにリフレ政策を継続する見通しのため、日本株にとっては非常にポジティブな状況になっています。
また、トランプ米大統領が11月6日、安倍首相との首脳会談後の共同記者会見で、「両国の関係は特別のものだ。これほど密接な関係が両国の指導者にあったことはない」と述べるなど、日米関係が非常に良好な点も日本株への追い風です。さらに、主力企業の4~9月期の業績も総じて好調でした。
日本市場では、5週連続で外国人が買い越す一方
個人投資家は7週連続で売り越し
こんな状況ですので、目先的には、日本株が大きく崩れて本格的な調整に入る可能性は極めて低いとみています。
需給的に崩れるとしたら、外国人が売り越しに転じてくるケースですが、これも米国株が急落したり、外部環境が劇的に悪化したりしない限りなさそうです。ちなみに、外国人は、10月第4週(23~27日)まで5週連続で買い越しました。この間の買越額2兆4342億円にまで膨らみました。
一方、個人は10月第4週まで7週連続で売り越しました。この間の売越額の合計は2兆7893億円に達しています。相変わらず、個人は売り続けており、総じてこの上昇相場に上手く乗れていないようです。
なお、11月6日の東証マザーズ指数は、前週末比12.87ポイント(1.14%)安の1119.13ポイントでした。下落率は9月26日の1.21%以来、約1カ月ぶりの大きさでした。
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日経平均株価が連日で年初来高値を更新しているのとは、対照的な動きでした。マザーズ市場は東証1部に比べ個人の関与率が高いので、これはあまりよろしくない状況です。
主力の大型株の値動きがあまりに良好なため、マザーズ銘柄に代表される小型株への換金売り圧力が強まっています。そして、小型株の決算発表が本格化するのはこれからです。決算リスクを回避する動きも継続することでしょう。
こうなると、小型株への資金流入は、決算発表が一巡した後ということになりそうです。
今の時点で上昇相場に乗れていない個人投資家も
焦る必要はない
不思議なことに、相場全体が下落基調の時は、多くの個人は「皆も損しているから仕方がない。現状を甘んじて受け入れよう」と納得します。しかし、相場全体が上げ基調の時に、あまり儲かっていない、ましてや、損をしているケースでは、「皆が儲かっているのに、なんで自分だけ儲からないんだ?」と、思うようにならないことにフラストレーションが溜まるものです。そして、現状、そんな気分で相場に臨んでいる個人は相当数いると思います。
ですが、今の時点で相場に乗れてないにしても、焦ってはいけません。
相場全体がここまで暖まっているのです。上昇相場は当面続くでしょう。また、相場のステージも「金融相場」から「業績相場」に、ほぼ移行したとみてよいでしょう。
となると、素直に好業績銘柄を強いグリップ力で握っていれば、好パフォーマンスを叩き出せる可能性が高いということです。つまり、これから銘柄選定して、業績変化率の高い好業績銘柄に乗り直せば、いくらでもこれまでの後れを取り戻せるはずです。
バブル的な上昇相場では、小型株の逆張りを止め
素直に大型株を順張りしよう
多くの個人は、逆張りを好む傾向があります。この投資手法は、ボックス相場や下げ相場では有効です。しかし、上げ相場には向いていません。特に、「史上最高値」、「数十年ぶり」などの言葉が乱れ飛ぶような上昇相場では、機会損失が半端ないのです。
このようなバブル的な上昇相場では順張りを行うべきと、私は考えます。具体的には、「今日の高値は明日の安値」という気持ちで相場に参加するべきです。
ただし、そのような対応をするのは、国内外の機関投資家の買いが見込める大型株だけです。彼らがあまり参加しない小型株は対象外です。
とにかく、10月以降の上昇相場に上手く乗れていない個人は、やり方を変えるか、工夫するべきです。そうしないと、せっかくこんなにスケールの大きい上昇相場が到来しているのに、全く恩恵を受けることはできないでしょう。
スケールの大きい相場の原動力は巨額な資金、特に海外マネーの流入です。つまり、海外マネーが流れ込んでいる、または今後流れ込んでくる銘柄を持っていないと、現在の上昇相場に乗ることは難しいでしょう。
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