闇株新聞[2018年]

大暴落をもたらしかねない不吉な存在
相場に潜む「灰色のサイ」に警戒せよ
闇株新聞が警戒する巨大な「灰色のサイ」とは

2017年12月1日公開(2022年3月29日更新)
闇株新聞編集部
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最近「灰色のサイ」(a gray rhino)なる言葉を見聞きします。サイは普段は大人しいものの、ひとたび暴れだすと手が付けられず人々に甚大な被害を及ぼすことがあります。そこから「今は問題視されていないがいつか大暴落を引き起こしかねない材料」をこう呼ぶようになりました。好調な株式市場に潜む「灰色のサイ」とは!? 刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』が解説します。

大暴落をもたらしかねない不吉な存在。相場に潜む「灰色のサイ」に警戒せよ。闇株新聞が警戒する巨大な「灰色のサイ」とは

「灰色のサイ」は巨大化し頭数も増えた
投資家は警戒レベルを下げてはいけない

 「灰色のサイ」の比喩は2013年1月、ダボス世界経済フォーラムで米国人の学者ミシェル・ウッカーが、中国の不動産バブル、人民元引き下げ、不良債権の増加を指して使ったのが最初のようです。あれから4年――「灰色のサイ」は奇跡的に暴れませんでしたが、代わりに巨大化し頭数も増えました。

【編集部注】「灰色のサイ」に対比する用語に「黒い白鳥」(a black swan)があります。こちらは突然に襲ってきて世界経済や金融市場に大きなダメージを与える比喩です。2001年9月の同時多発テロや2011年3月の東日本大震災などが該当します。

  2~3年前までは「灰色のサイ」が現れると市場には緊張が走り、投資家も「暴れ出すのではないか」と身構えたものです。それによって株価には押し目が形成されました。しかし、そのうちにすっかり“慣れっこ”になって、現在ではビクともしなくなっています。

 しかし、「灰色のサイ」が暴れない性質になったわけではありません。むしろ息を潜め群れを成しているのが現状で、投資家はいつ暴走が始まっても対処できるよう、警戒レベルを高めておく必要があります。

普段は大人しいサイだが、ひとたび暴れだすと誰にも止められず甚大な被害を及ぼすことがある。今の相場には「灰色のサイ」がうじゃうじゃ集まっている。Photo by Irenegynnildponton at Morguefile.com

最大級の「灰色のサイ」は北朝鮮問題
習近平とトランプはどう対処するか

 日本にとって最大級の「灰色のサイ」は、やはり「北朝鮮情勢」でしょう。最近ではミサイルが発射されても、金融市場はほとんど反応を示さなくなりました。それはしかし、北朝鮮が警戒に値しない問題になったわけではありません。

 11月17日、中国は習近平国家主席の特使として、共産党対外連絡部の宋濤部長を訪朝させました。宋濤部長は朝鮮労働党の崔竜海副委員長と会談しましたが、一部に期待された金正恩との面会は実現していません。

 それもある意味では当然で、もし中国が本当に金正恩との面談を望むなら、劉雲山(先日の共産党大会で引退したNo.5の政治局常務委員)を送り込んだはず。つまり習近平は最初から、金正恩との会談などやるつもりがなかったのです。

 中国が北朝鮮をどうするつもりかは、習近平が(江沢民の利権だった)朝鮮半島と人民解放軍の北部戦区(旧・瀋陽軍区)を掌握できているかに左右されます。習近平は江沢民派を「お決まりの規律違反」で党中央軍事委員会メンバーから追放しましたが、もともと朝鮮系の馬賊・匪賊が多い北部戦区はまだコントロールできていない(つまり北朝鮮をどうするか決められない)と考えます。

 北朝鮮に対する中国のやる気のなさに不満を感じたか11月20日、トランプ大統領は北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定し、翌21日には北朝鮮と取引がある中国企業を経済制裁の対象にしました。これは北朝鮮国民にはかなりのダメージとなるはずですが、莫大な財産を隠し持つ金一族にはほとんど影響しません。

 トランプ大統領も現段階ではこれ以上は踏み込めず、まして軍部の反対を押し切って軍事攻撃などはできません(そのメリットもない)。ということで、北朝鮮という「灰色のサイ」はますます巨大化するものの、少なくとも年内は大暴れすることはないだろうと予想ができます。

日本経済にメリットのない物価上昇も
目が離せない「灰色のサイ」だ!

 もう1つ、暴れ出したら日本経済に甚大な被害を及ぼす「灰色のサイ」がいます。政府と日銀はずっと「物価上昇率2%達成」を政策の目標に掲げていますが、資源価格上昇や円安の結果としてこれを達成してしまうことです。この物価上昇は日本経済には何のメリットももたらさないどころか、消費を減退させ「不況」に陥れてしまいます。

 商品価格全般を現すCRB指数の動きは、6月22日の166.50をボトムに11月6日の192.56の高値まで上昇しています。まだ本格的な上昇トレンドとなっているようには見えませんが、原油価格(WTI)が1バレル=59ドル近くまで上昇したり、銅価格がトン当たり7000ドルに乗せるなど、もう一段の上昇がありそうな位置にいます。

 また10月の企業物価は前年同月比で3.4%も上昇、9月の消費者物価(生鮮食品を含む総合でも生鮮食品を除く総合でも)は前年同月比で0.7%の上昇であるものの、12月1日に発表される10月分はどちらも1%をこえる上昇となっているものと予想します。

 このままでは近いうちに(本当に物価が2%をこえて)日本にメリットのない物価上昇という「灰色のサイ」が大暴れすることになるでしょう。それを回避できる「かすかな希望」は、そろそろ円高のサイクルになりそうなことです。

 ドル円の水準分析と今後の動向については『闇株新聞プレミアム』で詳しく解説していますが、今は横ばいと続けながらだんだんとレンジを狭め、どこかで溜まったエネルギーが一気に放出され円高/円安のどちらかに大きく動くことになるはずです。

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世界を見回せばほかにもさまざまな「灰色のサイ」が集まっています。投資家にとって大切なのは、どこにどんな「灰色のサイ」がいるかを認識し、その様子を注意深く観察することです。刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』では、引き続きあらゆる市場にセンサーを張り巡らして「灰色のサイ」を見つけ、読者の皆様に最新の状況を報告していきます。

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