先週のマーケットは調整局面
テクニカル的には上値を追える条件が整う
先週の米国株式市場は、2月に入ってからの軟調な地合いを引き継ぎ、週間ベースでダウ工業株価平均指数(NYダウ)が-5.2%、S&P500指数が-5.17%、ナスダック総合指数が-5.15%と続落しました。S&P500指数は一時高値から-10%を記録し、いわゆる「調整局面」が成立したことになります。
ダウ工業株価平均指数(NYダウ)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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S&P500指数チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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S&P500指数の200日移動平均線は、2539.26にあります。トレーダー達は、S&P500指数がこの水準を死守できるかどうかに注目していました。先週金曜日、S&P500指数はこの水準めがけて急落、そこから急反発しました。結局、大引けは下ヒゲで終了しています。
つまり、テクニカル的には、今週から上値を追ってゆける条件が整ったのです。
現在の米国株式市場で
投資家は何を見ているのか?
そもそも今回の急落局面は、賃金インフレに対する不安によってもたらされました。インフレ懸念は、米国10年債利回りの急騰をもたらしました。
米国10年債利回りチャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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おおまかに言って、米国10年債利回りが2.85%を超えると株式市場に売り物が殺到します。株価が急落すると、今度は株式市場から債券へと避難する資金により債券が買われ、その結果債券利回りが下がります。そして、債券利回りが2.7%台に低下すると、株式に対する売りプレッシャーが和らぎ、市場は反発モードに入ります。
ここ2週間のマーケットは、そういうことを繰り返しているのです。
株価の下落と企業の好業績により
株式バリュエーションは割高感が解消!
現在、2017年第4四半期決算の発表が相次いでいます。
これまでに67%の企業が決算発表を終え、その大半が事前コンセンサス予想を上回る好決算を出しています。その結果、来期以降の会社側ガイダンスも引き上げられるケースが多かったです。
このため、S&P500の2018年のコンセンサス一株当たり利益(EPS)予想は157.02まで上がってきました。
ちなみに去年のクリスマス直前は146だったので、わずか1カ月半で10ドル以上もコンセンサスEPS予想が伸びたことを意味します。つまり、企業業績は絶好調なのです。
この1)企業業績の好調と、2)過去2週間の株価の下げ、の2つの要因により、S&P500指数の株価収益率(PER)は16.7倍まで下がってきました。クリスマスの頃はこの数字が18.5倍だったことを考えると、かなり割高感は解消されたことがわかります。
ちなみに、過去5年間の平均PERは16倍、過去10年間は14.2倍です。
長期で見れば金利水準はまだまだ低い
しかし金利上昇の悪影響は当分出てこない
さて、米国10年債利回りの上昇が今回の株安の引き金になったことは冒頭で説明しましたが、1960年代まで遡って見ると、現在の金利水準はまだまだ極めて低いことがわかります。
金利の長期下落局面は、どうやら終焉したように見えます。したがって今後金利はだんだん上昇してゆくのかもしれません。しかし、その場合でも、金利上昇局面の初期段階では、上昇ペースが穏やかであることが過去の経験則で知られています。
したがって、急激な金利上昇で、消費者がクレジットカード債務の返済に困る、変動金利住宅ローンの金利上昇でローンが返せなくなる、などの悪影響は、まだ出てこないと思われます。
今が回の米国株式市場で
何を買うべきか
米国10年債利回りが現行の2.8%前後で、S&P500のPERが16.7倍なら、アメリカ株は「買い」だと思います。問題は、「何を買う?」ということです。
ひとつのアプローチとして、私は「好決算を出した株を、こういうチャンスに素直に拾う」という戦法をお勧めします。
今回の決算発表シーズンで、とりわけ印象に残った素晴らしい決算を出した企業には、フェイスブック(FB)、アマゾン(AMZN)、エヌヴィディア(NVDA)、スナップ(SNAP)などがあります。
【今週のまとめ】
米国株式市場に絶好の買いチャンスが到来!
素直に「好決算企業」を狙え!
米国株式市場は、高値から-10%の下げを演じ、「調整局面」に入っています。しかし、テクニカル的には200日移動平均線を死守し、下ヒゲを付けているので買い出動すべき局面です。
米国企業の業績はすこぶる好調で株価収益率(PER)はずいぶん下がりました。割高感は払しょくされたのです。今後も金利上昇はゆるやかだと思われるため、いまは絶好の買いチャンス到来です。
銘柄選定に当っては、足もとの決算で立派な数字を出した企業に注目したいと思います。
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