米国長期金利上昇による世界的な株価下落やトランプ政権の混乱で、相場の先行きがいつになく不透明になっています。為替の方向性を決める要因が大きく変わってきているのを、皆さんも感じているのではないでしょうか。こうした局面ではただ経済だけを論じていても、先行きは読めません。刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』が、政治・経済・金融などあらゆる素材を俎上に載せて、皆さんと一緒に考えます。
相次ぐ閣僚の辞任解任、強硬な通商政策…
トランプはいったい何を考えているのか!?
トランプ政権による強硬的な通商政策ですが、大きく分けて3つあります。
①最大600億ドルの中国製品に高関税を課す対中制裁
中国だけを対象にした通商法301条による制裁で1300品目に達する見込み。中国からの輸入品の約1割に25%もの高関税。中国も強力な対抗措置を繰り出すはずで、仮に米国産大豆が報復対象となれば大豆価格は4割値下がりするとも言われる。
②米通商代表部が中国を知的財産権の侵害でWTOに提訴
トランプ政権は中国に対して製品(モノ)と知的財産(知恵)の両面から攻撃を仕掛けた。
③鉄鋼に25%・アルミに10%の高関税をかける輸入制限措置発動
日本も対象に含まれている。カナダ、メキシコ、EU、韓国など包括的な通商条約が締結されている国が除外されているのは、通商条約そのものを米国有利に変更するつもりだから。
これにより世界経済が最も頼りにしている中国経済が大きく変調することは避けられません。OECDは米中欧が関税を引き上げると世界のGDPを1.4%下げると警鐘を鳴らしています。まだこの通りになると決まったわけではないものの、世界経済にとって大変に困った事態に陥るのは明らかです。トランプはいったい何を考えているのでしょう?
最近は週替わりで政権やホワイトハウスの大物が辞任もしくは解任されています。もはやペンス副大統領と娘のイバンカ顧問以外は、いつだれが解任あるいは辞任となっても驚きはありません。そして辞任もしくは解任された人物の後釜には、いずれもタカ派・超タカ派とされる人物が就任しています。
これらは、とりもなおさず「選挙対策」です。米国では今秋に中間選挙があり、下院全議席と上院33議席(総数100)が改選されます。また2020年には二期目の大統領選もあります。ロシアゲート疑惑やフェイスブック情報流出事件などの選挙戦に不利な難問を、強面を集めて一気に突破してしまおうという腹づもりなのかもしれません。
最近、共和党の地盤である2地区で行われた補欠選挙で民主党が勝利しました。危機感を高めるトランプ政権は、今後「もっと過激な政策」を繰り出してきそうな予感がします。
ドルは下落しやすい状況がすべて揃っている
市場の過剰反応でレンジを突き破る可能性も
第二次世界大戦後、米国が通商問題で講じた制裁措置の対象になった国は、そのほとんどが日本に対してのものでした。1995年はクリントン政権が猛烈なドル安政策も仕掛け、1ドル=79.75円という「当時の最円高」を記録しています。
この最円高の状態を終わらせたのは、財務長官に就任したロバート・ルービンでした。メキシコの通貨危機が米国に飛び火しないようドル高政策に転換したことで、1998年の1ドル=147.67円まで円安に振れています。
さて「米国がドル安政策を仕掛けた」「ドル高政策に転換した」と書きましたが、具体的に何をどうしていたのでしょう。実は、特に何もやっていません。政権担当者がことある毎に「ドルは強すぎる」「ドルはもっと上昇すべきだ」などと繰り返し言うだけで、それを聞いた市場参加者がそうなると思って為替を動かしていたのです。
それ以降の財務長官も、基軸通貨としてのドルの特権を維持するために「強いドルは国益に適う」と発言してきました。ところがトランプ政権のムニューシン財務長官は、いとも簡単に財務長官として言い続けなければならない「強いドルは国益に適う」を覆したばかりか、「貿易赤字縮小のためにはドル安も辞さない」とまで公言しまいました。
さらにリーマン・ショック以降、行き場のないMBSや米国債を押し込まれてとんでもない「水膨れ状態」にあるFRBが、資産の縮小を始めています。ドルは過去のどの時点に比べても下落しやすくなっていると考えるべきです。
トランプ政権内には経済音痴の小物しかおらず、ドルが大きく下落した時の対応などは到底期待できません。そのことが為替の変動幅をさらに大きくするでしょう。トランプ大統領の強硬の通商政策の行方は、間違いなくどこかの時点で急激なドル安とならざるを得ないのです。
リーマンショック以降(というより2010年代)の円相場は、1ドル=75~125円のレンジにありますが、円高/円安に振れた局面を分析すると、機関投資家の海外資産の取得・処分状況が相場水準を決めていることがわかります(例・2011年[円高]は東日本大震災で機関投資家が海外資産を処分する必要があった/2015年[円安]は量的緩和で円安が進むとみた機関投資家が円を売って海外資産を取得したため)。
トランプ政権による強硬な通商政策も、機関投資家が過剰反応することで意外な円高を招くことにもなりかねません。当面のレンジは1ドル=104.5~108円と見ますが、さらにそこからもう一段進んで1ドル=100~104.5円に入ってしまう可能性もあり得ます。
為替が1ドル=100円に迫れば日経平均の2万円割れも覚悟しなければならないところ(ただし、闇株新聞プレミアムは「その場合も比較的短期間で2万円を回復する」とも予想しています)。状況は流動的で、新たな展開があればそれに応じてシナリオを修正していく必要があります。刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』は、毎週5~6本の定期配信と速達便に加え、必要に応じて臨時版も発行して対応しています。
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