闇株新聞[2018年]

トランプの強硬な通商政策が円高を招く理由。機関投資家の過剰反応で1ドル=100円もある!?闇株新聞が俯瞰する「ここからどうなる円相場」

2018年3月28日公開(2022年3月29日更新)
闇株新聞編集部
facebook-share
twitter-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事
闇株新聞プレミアムメールマガジン 20日間無料!

米国長期金利上昇による世界的な株価下落やトランプ政権の混乱で、相場の先行きがいつになく不透明になっています。為替の方向性を決める要因が大きく変わってきているのを、皆さんも感じているのではないでしょうか。こうした局面ではただ経済だけを論じていても、先行きは読めません。刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』が、政治・経済・金融などあらゆる素材を俎上に載せて、皆さんと一緒に考えます。

トランプの強硬な通商政策が円高を招く理由。機関投資家の過剰反応で1ドル=100円もある!? 闇株新聞が俯瞰する「ここからどうなる円相場」

相次ぐ閣僚の辞任解任、強硬な通商政策…
トランプはいったい何を考えているのか!?

 トランプ政権による強硬的な通商政策ですが、大きく分けて3つあります。

①最大600億ドルの中国製品に高関税を課す対中制裁
中国だけを対象にした通商法301条による制裁で1300品目に達する見込み。中国からの輸入品の約1割に25%もの高関税。中国も強力な対抗措置を繰り出すはずで、仮に米国産大豆が報復対象となれば大豆価格は4割値下がりするとも言われる。
②米通商代表部が中国を知的財産権の侵害でWTOに提訴
トランプ政権は中国に対して製品(モノ)と知的財産(知恵)の両面から攻撃を仕掛けた。
③鉄鋼に25%・アルミに10%の高関税をかける輸入制限措置発動
日本も対象に含まれている。カナダ、メキシコ、EU、韓国など包括的な通商条約が締結されている国が除外されているのは、通商条約そのものを米国有利に変更するつもりだから。

 これにより世界経済が最も頼りにしている中国経済が大きく変調することは避けられません。OECDは米中欧が関税を引き上げると世界のGDPを1.4%下げると警鐘を鳴らしています。まだこの通りになると決まったわけではないものの、世界経済にとって大変に困った事態に陥るのは明らかです。トランプはいったい何を考えているのでしょう?

 最近は週替わりで政権やホワイトハウスの大物が辞任もしくは解任されています。もはやペンス副大統領と娘のイバンカ顧問以外は、いつだれが解任あるいは辞任となっても驚きはありません。そして辞任もしくは解任された人物の後釜には、いずれもタカ派・超タカ派とされる人物が就任しています。

 これらは、とりもなおさず「選挙対策」です。米国では今秋に中間選挙があり、下院全議席と上院33議席(総数100)が改選されます。また2020年には二期目の大統領選もあります。ロシアゲート疑惑やフェイスブック情報流出事件などの選挙戦に不利な難問を、強面を集めて一気に突破してしまおうという腹づもりなのかもしれません。

 最近、共和党の地盤である2地区で行われた補欠選挙で民主党が勝利しました。危機感を高めるトランプ政権は、今後「もっと過激な政策」を繰り出してきそうな予感がします。

ドルは下落しやすい状況がすべて揃っている
市場の過剰反応でレンジを突き破る可能性も

 第二次世界大戦後、米国が通商問題で講じた制裁措置の対象になった国は、そのほとんどが日本に対してのものでした。1995年はクリントン政権が猛烈なドル安政策も仕掛け、1ドル=79.75円という「当時の最円高」を記録しています。

 この最円高の状態を終わらせたのは、財務長官に就任したロバート・ルービンでした。メキシコの通貨危機が米国に飛び火しないようドル高政策に転換したことで、1998年の1ドル=147.67円まで円安に振れています。

 さて「米国がドル安政策を仕掛けた」「ドル高政策に転換した」と書きましたが、具体的に何をどうしていたのでしょう。実は、特に何もやっていません。政権担当者がことある毎に「ドルは強すぎる」「ドルはもっと上昇すべきだ」などと繰り返し言うだけで、それを聞いた市場参加者がそうなると思って為替を動かしていたのです。

 それ以降の財務長官も、基軸通貨としてのドルの特権を維持するために「強いドルは国益に適う」と発言してきました。ところがトランプ政権のムニューシン財務長官は、いとも簡単に財務長官として言い続けなければならない「強いドルは国益に適う」を覆したばかりか、「貿易赤字縮小のためにはドル安も辞さない」とまで公言しまいました。

 さらにリーマン・ショック以降、行き場のないMBSや米国債を押し込まれてとんでもない「水膨れ状態」にあるFRBが、資産の縮小を始めています。ドルは過去のどの時点に比べても下落しやすくなっていると考えるべきです。

 トランプ政権内には経済音痴の小物しかおらず、ドルが大きく下落した時の対応などは到底期待できません。そのことが為替の変動幅をさらに大きくするでしょう。トランプ大統領の強硬の通商政策の行方は、間違いなくどこかの時点で急激なドル安とならざるを得ないのです。

 リーマンショック以降(というより2010年代)の円相場は、1ドル=75~125円のレンジにありますが、円高/円安に振れた局面を分析すると、機関投資家の海外資産の取得・処分状況が相場水準を決めていることがわかります(例・2011年[円高]は東日本大震災で機関投資家が海外資産を処分する必要があった/2015年[円安]は量的緩和で円安が進むとみた機関投資家が円を売って海外資産を取得したため)。

 トランプ政権による強硬な通商政策も、機関投資家が過剰反応することで意外な円高を招くことにもなりかねません。当面のレンジは1ドル=104.5~108円と見ますが、さらにそこからもう一段進んで1ドル=100~104.5円に入ってしまう可能性もあり得ます。

闇株新聞プレミアムメールマガジン 20日間無料!

為替が1ドル=100円に迫れば日経平均の2万円割れも覚悟しなければならないところ(ただし、闇株新聞プレミアムは「その場合も比較的短期間で2万円を回復する」とも予想しています)。状況は流動的で、新たな展開があればそれに応じてシナリオを修正していく必要があります。刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』は、毎週5~6本の定期配信と速達便に加え、必要に応じて臨時版も発行して対応しています。

闇株新聞PREMIUM

闇株新聞PREMIUM
【発行周期】 毎週月曜日・ほか随時  【価格】 2,552円/月(税込)
闇株新聞PREMIUM 闇株新聞
週刊「闇株新聞」よりもさらに濃密な見解を毎週月曜日にお届けします。ニュースでは教えてくれない世界経済の見解、世間を騒がせている事件の裏側など闇株新聞にしか書けないネタが満載。
お試しはコチラ

 

DPM(ダイヤモンド・プレミアム・メールマガジン)

●DPM(ダイヤモンド・プレミアム・メールマガジン)とは?

金融・経済・ビジネス・投資に役立つタイムリーかつ有益な情報からブログに書けないディープな話まで、多彩な執筆陣がお届けする有料メールマガジンサービス。
初めての方は、購読後20日間無料! 


世の中の仕組みと人生のデザイン
【発行周期】 隔週木曜日  【価格】 864円/月(税込)
世の中の仕組みと人生のデザイン 橘 玲
金融、資産運用などに詳しい作家・橘玲氏が金融市場を含めた「世の中の仕組み」の中で、いかに楽しく(賢く)生きるか(人生のデザイン)をメルマガで伝えます。
お試しはコチラ

堀江 貴文のブログでは言えない話
【発行周期】 毎週月曜日、水曜、ほか随時  【価格】 864円/月(税込)
堀江 貴文のブログでは言えない話 堀江 貴文
巷ではホリエモンなんて呼ばれています。無料の媒体では書けない、とっておきの情報を書いていこうと思っています。メルマガ内公開で質問にも答えます。
お試しはコチラ

 


ザイアナリストの2人がやさしく、わかりやすく、徹底解説!ダイヤモンドZAiのオンライン講座「株の学校」
【クレジットカード・オブ・ザ・イヤー 2023年版】2人の専門家がおすすめの「最優秀カード」が決定!2021年の最強クレジットカード(全8部門)を公開! 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

「株」全予測
人気株500激辛診断
優待年末年始

2月号12月20日発売
定価780円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[「株」全予測/人気株500激辛診断]
◎新春特別企画
2024年に儲けた株&損した株も大公開!
桐谷さんのゆく年くる年

2025年も全力優待ライフ
◎第1特集
2年目NISAの必勝法!
112人のプロに聞いた!
2025年「株」全予測&儲け方

●日経平均は5万円へ!日本株の高値・安値予測
●生成AIブームも半導体は苦戦!
上がる株・下がる株
●国内利上げで銀行・金融が有望!
上がる業種&テーマ
●中央銀行の買いが継続!金(ゴールド)
●トランプ政権下でも下落傾向!原油
●ドル円は年後半に140円台に!為替
●オルカンの次に買う1本も!投資信託

◎第2特集
買っていい10万円株は97銘柄!
<2025新春>人気の株500+
Jリート14激辛診断

●投資判断に異変アリ!
買いに躍進!》トヨタ自動車、ホンダ…など
強気に転換!》ソニーグループ…など
●儲かる株の見つけ方[1]旬の3大テーマ
通期で上ブレ期待/AI関連で恩恵他
●儲かる株の見つけ方[2]5大ランキング
PBRが低く改善に期待の株/アナリストが強気な株/配当利回りが高い株
●2025年新春のイチオシ株
10万円株/高配当株/株主優待株/Jリート
●気になる人気株
大型株/新興株/Jリート

【別冊付録】
増益割安株は1178銘柄
上場全3916社の最新理論株価

◎第3特集
トランプ政権下でどうなる!?
人気の米国株150診断
●S&P500指数をプロが大予測

●Big8を定点観測!GAFAM+αを分析!
●買いのオススメ株
トランプ株/高配当株
●人気の124銘柄を徹底診断
ナスダック/ニューヨーク証券取引所

◎第4特集
ザイクラブ拡大版!2024年はどうだった?
ザイ読者の悲喜こもごも&2025年の投資戦略
ザイ編集部員のプチ反省&自慢大会も!


◎連載も充実!

◆目指せ!お金名人
◆10倍株を探せ!IPO株研究所2024年10月編
◆おカネの本音!VOL.29兒玉遥さん
◆株入門マンガ恋する株式相場!
◆マンガどこから来てどこへ行くのか日本国
◆人気毎月分配型100本の「分配金」速報データ!


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!


「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

【法人カード・オブ・ザ・イヤー2023】 クレジットカードの専門家が選んだ 2023年おすすめ「法人カード」を発表! 「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報