先週(3月8日)、金正恩と面会した韓国特使から「5月に米朝首脳会談が実現する見通し」との発表がされました。成果が出れば市場の不安定要素が1つ解消されますが、本当に実現するかは不透明です。それよりもこの一件は、トランプ政権内の勢力図の変化と、それに伴う「米中関係」の先行きを暗示していると刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』が解説しています。
米朝会談を韓国特使が単独発表の奇
期待はできないが日本の立場が心配
前回本連載で報じた通り、トランプ大統領の最大の関心事は、今秋の中間選挙と再選がかかる2年後の大統領選しかありません。今後は大型減税、歳出上限拡大、輸入品に高率関税をかけるなど人気取りの政策を次々打ち出してくるはずです。
その結果、米国は「悪い長期金利上昇」「インフレ懸念の拡大」「悪いドル安」に見舞われるでしょう。しかし、今のところ米国株市場はこれを悪材料視しておらず、先週末(9日)のNYダウは25335ドルまで回復、NASDAQは7560ポイントで史上最高値を更新しています。
参考記事:米国の鉄鋼・アルミ高関税率導入の衝撃! トランプの俺様主義に世界が振り回される 闇株新聞が懸念する「保護貿易時代の再来」(2018.03.09)
さらに8日には、「米朝首脳会談実現か」のニュースまで飛び込んできました。実現すれば経済制裁が苦しい金正恩と、選挙を意識するトランプの双方に「意義があるイベント」となります。
しかし、この件が公にされた記者発表がホワイトハウスにも関わらず、韓国特使の3人だけで行われたことは、今後のゴタゴタを予見させます。北朝鮮が会談をカードに「来るの来ないの」「あれも呑め、これも条件に入れろ」とゴネるのは間違いなく、成果など期待するだけ無駄でしょう。
とはいえ、元々後ろ盾の中国、完全に取り込まれた韓国に加え、米国までもが北朝鮮との距離を縮めるとなれば、日本外交の孤立化が懸念されます。いつぞやのように、国際社会で何かにつけて日本が悪者にされるような展開になるかもしれません。
トランプの「俺様主義」は、日本にとって迷惑千万。政治経済あらゆる面でやっかいなことになりそうです。投資家は今から覚悟をしておかなくてはなりません。
米政権内で勢力構造に変化の兆しあり
米中関係がピリピリしてくる可能性も
そのホワイトハウスの勢力図は、ここへきて大きく変わりつつあるようです。政権内唯一の実力者だった国家経済会議(NEC)のゲイリー・コーン委員長が辞任して、経済・通商分野の閣僚はさらに手薄になりました。
後任には一時、対中強硬派でトランプ政権発足直前まで国家通商会議(NTC)委員長に内定していたピーター・ナバロの名前が挙がっていました。ところがこの内定は、中国を最大の顧客にもつヘンリー・キッシンジャーに潰され、以降トランプ政権では親中派が中枢に居座っていました。
ところが最近はキッシンジャーが影響力を失い、対中強硬派が大きく巻き返しています。1日に突然発表された「鉄鋼アルミ関税引き上げ法案」などは、明らかに中国を標的にしたものです。
参考記事:トランプ政権を手玉にとる危険な黒幕。もうひとつの「ロシアゲート」はキッシンジャー(2017.07.21)
米国の鉄鋼・アルミ高関税率導入の衝撃!トランプの俺様主義に世界が振り回される(2018.03.09)
そして今回、ゲイリー・コーンの後任に指名されたのは、著名な経済評論家ラリー・クドローでした。クドローは自由貿易派と思われていましたが、後任として名前が挙がった14日には鉄鋼・アルミの輸入制限に一定の理解を示しています。
つまり、米国の経済・通商政策を主導する国家経済会議(NEC)はこれまでよりも、保護貿易主義・反中国の傾向に進むのは間違いなさそうです。この上、まがりなりにも米朝首脳会談が実現すれば、米国は懸念していた北朝鮮問題で、中国の協力を得る必要もなくなります。
米中関係は経済問題を中心に、かなり緊迫した状況になっていくと考えられます。
中国でも指導部を引退していた王岐山が、事実上のナンバー2として復活しました。常務委員では(干され気味の李克強を除けば)唯一の経済金融通で、今後権勢を振るうものと見られます。中国ではここへきて人民元の対ドルレートが急激に切り上がり、人民元高に動いているのが気になります。さらに今後の円相場がどう動くのかなどは、今週の『闇株新聞プレミアム』で詳細に解説されています。
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