米国経済・株式市場が良好なことに加え、イタリアの政治リスクも低下していることを背景に、日経平均株価は急騰とはなっていませんが、「ジリ高」基調です。5月30日のザラ場に2万1931.65円まで下落した際に、75日移動平均線(5月30日現在2万1920.19円)が強力なサポートとして機能し、同日の終値は2万2018.52円でした。
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このように、75日移動平均線が強力にサポートしたことで、現在は、「上」を試す局面に入っているとの認識です。よって、当面の「押し目限界」は、75日移動平均線(6月11日現在2万2018.91円)とみておけばよいでしょう。
5月最終週の海外投資家は、
MSCIパッシブイベントの影響もあって大幅な売り越しに
ちなみに、海外投資家は、5月第5週(5月28日~6月1日)、現物を3076億円、先物(日経平均先物とTOPIX先物を合算)を2303億円、合計で5379億円と、大幅売り越しとなりました。
しかしながら、5月31日大引け値のMSCIパッシブイベントにおいて、日本株市場からおよそ3500億円の資金流出になったという特殊要因を考慮すれば、“真水(直接影響のある範囲)”の売り越し金額は、ザックリ2000億円程度とみられています。
なお、私は海外勢の現物・先物合計が買い越しになってこないと、日本株は「ジリ高」はあっても、「急騰」はないと考えています。
SQ値と25日移動平均線の両方を上回っている限り
日経平均株価はジリジリと上昇する見通し
一方、6月のSQ値2万2825.20円と25日移動平均線(6月11日現在2万2603.10円)の両方を上回っている間は、好需給を背景に、ジリジリと上昇していく見通しです。もちろん、5月21日の2万3050.39円はメドとして意識されるでしょうが、目先これを上回っていく展開があっても驚きはありません。
ただし、2万3000円付近は、昨年11月~12月にもみあったゾーンであり、今年1月下旬以降の急落後の天井圏であるため、相当な潜在的な売り圧力が発生することが予想されます。このため、踏み上げ相場的な急騰は見込んでいません。
しかし、今のようなジリ高は、売り方を「真綿で首を締める」ような感じです。現状のようなジリ高が続けば、徐々に売り方を追い詰めていくことでしょう。
不調が続く東証マザーズもついに2番底に
メルカリから始まるIPOラッシュによる資金流入に期待
なお、個人投資家の体感温度を表すとされる東証マザーズ指数ですが、私は2番底を打ったとみています。4月17日の1082.23ポイントが1番底、6月6日の1094.26ポイントが2番底です。
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2番底形成の主因は、フリーマーケットアプリで国内最大手のメルカリ(4385)の新規公開(6月19日上場)に伴う、換金売りが幅広い銘柄に広がったことだと考えます。同社の時価総額は4000億円強と、今年上場する企業としては現時点で最大で、マザーズ市場でもミクシィ(2121)を抜いて首位になる見通しです。
それだけに投資家の関心も高く、メルカリ相場に参戦するための資金捻出を急ぐ投資家が多かったと推察されます。
そして、メルカリの公開価格は6月11日に仮条件上限の3000円で決まりました。スケジュール的に、換金売りは一巡したとみてよいでしょう。
この特殊な売り要因がなくなったことに加え、メルカリを皮切りに7月10日上場のMTG(7806)まで、15社のIPOラッシュが始まります。前回も指摘しましたが、このIPOラッシュで、個人投資家の新興市場への関心が再び高まり、投資資金流入が加速し、且つ、市場エネルギーが増加することが期待されます。
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そうなれば、IPO銘柄のみならず、個人好みの新興銘柄のうち、ここ最近の高値からの下落率の高いものに対する押し目買いや、リバウンド狙いの買いも十分期待できるはずです。当然、個人の相場の体感温度も上がってくるでしょう。
今年は個人投資家の多くがマイナスに!
中には種銭を溶かして退場する人も?
市場関係者や知り合いの専業トレーダーへのヒアリングベースでは、今年、大部分の個人は損をしている、または、あまり儲かっていないそうです。特に、信用取引を活用して、新興市場銘柄など小型株をメインに売買する個人にとっては厳しい半年間だったようです。
1月下旬からの相場急落で痛手を被った後、日経平均株価が3月26日の2万0347.49円で底打ちし順調に戻ったにもかかわらず、新興市場が4月も5月も、そして6月初旬まで調整したことが大きく影響したようです。
専業では食べていけず就職する人や、種銭を溶かしてしまったのでいったん退場せざるを得なくなった人が、4月以降、それなりの数出たと聞いています。
なお、大型株中心に売買している個人や、1年に数回程度しか売買しない個人はそれほどやられていないようです。
また、ある友人の証券マンは、もう日本株を全く勧めておらず、米国株だけを勧めています。一般的に、個人が米国株を購入するには、外貨為替手数料に加え、現地手数料、国内取次手数料などがかかります。手数料の安い日本株をやらせるより、手数料の高い米国株をやらせるほうが、営業マンにとっては美味しいのでしょう。
それだけでなく、この半年間をみても、米国株は強く、日本株は弱かったので、米国株だけやっている投資家は総じて儲かっているので、彼の提案(乗り換え、新規買い、利食い売り等)を素直に聞き入れてくれるそうです。まあ、営業マンと顧客との間に「ウインウイン」の関係が出来上がっているようです。
また、日本の取引時間中は、相場を全くみる必要がなく、寝ている間に、お客さんの資金が増えていることが多いので、「ノーストレスで、結果オーライの毎日です」と、彼は笑いながら語っていました。
私は、今から米国株をやりましょうとお勧めしているわけではありませんが、今後同じようなことが起こったら、「日本株が冴えない時は、好調な外国市場に資金を逃がすのもありだな」程度の感じで、頭の片隅に置いておけばよいでしょう。
メルカリ上場をきっかけに小型の「サマーラリー」発生に期待
ただし、マザーズ指数の値動きには注意!
もちろん、米国株をやっている個人は本当に少数派でしょうから、今年はこれまでのところ多くの個人にとって受難の年になっていることは間違いないでしょう。ただ、私は、メルカリ上場をきっかけに、これまでの鬱憤を晴らせる相場がやってくる可能性が高まったとみています。つまり、「小型株のサマーラリー」の発生を想定しています。
なお、東証マザーズ指数が4月17日の1082.23ポイントを下回ったら、このシナリオは白紙にします。逆に言えば、これを下回らない限り、小型株については強気でOKだと思います。
正直、日経平均株価だけ強くて、多くの個人が白けている相場には辟易しています。ガッポガッポ儲けて、多くの個人が笑顔になる相場がきて欲しいものです。
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