トランプ政権は、9月17日、中国による知的財産権侵害に対抗した制裁関税の第3弾を同月24日に発動すると発表しました。中国からの約2000億ドル相当の輸入品に10%の追加関税を課し、税率は来年1月1日に25%に引き上げられます。この第3弾の発動で、約2500億ドルが高関税の対象となり、中国からの年間輸入実績の約半分に高関税が課されます。
確かに、このこと自体は相場にとって悪材料なのですが、既に事前報道で相場に織り込み済みの面もあり、短期的な相場への影響は限定的でしょう。
むしろ、日本株にとって重要なのは、9月21日にも開かれる日米閣僚級貿易協議(FFR)です。トランプ政権は、自動車への追加関税をちらつかせて対日貿易赤字の削減を迫っています。また、鉄鋼や自動車の輸入数量制限を乱発しているため、日本との協議でも懸念材料として意識されています。
この協議で両国が上手く折り合いをつけることができるようなら、日本株を取り巻く環境は一気に改善し、今まで売り越し姿勢だった海外投資家の日本株買いも十分見込めるでしょう。ちなみに、9月第1週(3~7日)の海外投資家売越額は5279億円で、2月第1週以来およそ7カ月ぶりの多さでした。
自民党総裁選によりアベノミクス継続が決まると
日本株にとってはポジティブな材料に
なお、9月20日投開票の自民党総裁選に関しては、各種報道によれば、安倍晋三首相が議員票で約80%を固めたとされ、選挙戦を終始優位に進めているようです。注目は、地方票の得票率に集中しており、首相が圧勝できるか、石破氏が善戦できるかどうかに関心は移っています。こうなると、「アベノミクス」は継続が濃厚です。継続なら、日本株にとっては、非常にポジティブな材料になるでしょう。
日経平均株価は「トリプル・ボトム」を形成
当面のターゲットは2万4152円に
テクニカル的に見ると、日経平均株価は、7月5日の2万1462.95円を1番底、8月13日の2万1851.32円を2番底、9月7日の2万2172.90円を3番底とする「トリプル・ボトム」を完成させました。
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というのは、9月14日の終値は2万3094.67円と、想定ネックライン(2つの戻り高値の中間値)である2万2990.75円を超えたからです。
【想定ネックライン】
(「7月18日の2万2949.32円」+「8月30日の2万3032.17円」)/2
=2万2990.75円
1番底の2万1462.95円、2番底の2万1851.32円、3番底の2万2172.90円の中間値を想定底値2万1829.06円とします。
【想定底値】
(2万1462.95円+2万1851.32円+2万2172.90円)/3
=2万1829.06円
想定ネックライン(2万2990.75円)から、想定底値(2万1829.06円)までの下落幅は1161.69円です。これを、想定ネックラインの2万2990.75円に足した2万4152.44円(=2万2990.75円+1161.69円)が当面のターゲットです。
東証マザーズ指数の週足MACDとシグナルが
ついにゴールデン・クロスを形成!
ところで、東証マザーズ指数ですが、週足MACDとシグナルがようやくゴールデン・クロスしました。9月18日前場段階では、MACD(12週-26週)がマイナス39.25、シグナル(9週)がマイナス41.21です。東証マザーズ指数が1月下旬以降、厳しい調整に入ってから、初めてのゴールデン・クロスです。
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日経平均株価に代表される大型株指数に対して、大幅に出遅れている新興市場銘柄などの小型株の出遅れ修正の動きが加速するサインとして注目しています。
ただし、日経平均株価がここまで上昇しても、東証マザーズ指数に買い転換の兆しが出ていても、現時点では、短期売買を好む多くの個人の収益状況や投資マインドはあまり改善していないそうです。友人の証券マンの話によれば、現状、短期売買を好む個人の持っている銘柄群は上がらず、持っていない銘柄群だけが上がっていそうです。これが個人の活性度が上がってこない主因なのでしょう。
ですが、これから大型株も小型株も一段高すれば、持ち株の評価損益率が改善し、それに連れて、活性度の上がってくるはずです。
中級以上の投資家になりたいなら
初級投資家とは逆に動け!
多くの個人は「売らないと損は出ない」、つまり「損とは実現損だけであり、評価損は損ではない」という考えを持っているようです。このため、今後、考えられることは、彼らが持っている銘柄のうち、評価損が消えて、ほぼ買い値に戻ったものから順に現金化(ヤレヤレ売り)する一方で、戻りの鈍い銘柄は「塩漬け株」まま放置するのでしょう。
つまり、彼らの考える損を少なくして現金化する一方で、彼らの考える大きな損は出さないということです。この結果、彼らのポートフォリオは弱い銘柄だけで構成されることになります。
もしあなたが、中級以上の投資家になりたのなら、この逆をやるべきです。評価損が消えて評価益に変わるような強い銘柄は強いグリップで握りましょう。逆に、全体相場が堅調なのに、一向に冴えない値動きを続ける弱い銘柄は、思い切って損切りしましょう。そして、あなたのポートフォリオを強い銘柄だけで構成するようにしましょう。
強い銘柄は弱い銘柄に比べて需給が良好なため、「上がり易く、下がり難い」ものです。大事な資金の資金効率を高めるコツは、「下がり易く、上がり難い」、弱い銘柄を一切持たず、その全てを「上がり易く、下がり難い」、強い銘柄だけに投入することだと思います。
相場全体が上向いてきた今、大胆な「外科手術」をして
ポートフォリオを改善する絶好のチャンス
正直、8月中旬までの新興市場の底入れ前後のタイミングでは、多くの短期スタンスの個人の評価損は、損切りを実行するにはあまりにも多額で、精神的に、切るに切れない水準だったのかもしれません。
実際、あの時期は、資金余力が乏しく、信用取引でレバレッジを効かせていた多くの個人は、常に追証発生リスクに晒されていました。そんな底値圏では、損切りをしたり、銘柄を入れ替えたりといった実現損(血)が出る「外科手術」をする勇気はなかなか持てないものです。
しかしながら、相場全体が上向き、底値時よりも評価損が減少し、投資元本が回復しつつある今こそ、その「外科手術」に踏み切るべきでしょう。
とにかく、投資資金の限られた少額個人は、資金効率を最優先にして行動するべきだと思います。本来、そのような外科手術は、(結果論としては)今年の2月にやっておくべきでした。しかし、仮に、その機会を逃したとしても、今回のように底入れ直後のタイミングも、今後の資金効率を高める絶好の外科手術実行の好機だと考えます。
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