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FAANG、GAFAの次は「お菓子メーカー」を買え!食品会社「モンデリーズ・インターナショナル」がディフェンシブ株の中でも注目銘柄である理由とは!?

2018年11月26日公開(2022年3月29日更新)
広瀬 隆雄
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下落基調にある米国市場において
投資家が求めるのはディフェンシブ株

 10月以降、米国株は下落基調にあります。これまで相場を引っ張ってきたフェイスブックアマゾンアップルアルファベットなどの銘柄の値動きは冴えません。そこで投資家は「何か新しい投資対象を見つけなければ」と感じ始めています。

 もし、アメリカの景気が今後鈍化するのであれば、景気後退局面に強い銘柄が好ましいです。それらの銘柄は「ディフェンシブ株」と呼ばれます。ディフェンスは「防御」という意味です。つまり「守り型」の銘柄というわけです。

 食品、ヘルスケア、日用品、公益事業などは、業績が景気に左右されにくいためディフェンシブ株だと考えられています。

「モンデリーズ・インターナショナル」は
「オレオ」「リッツ」などのブランドを展開する菓子メーカー

 今日は、そのようなディフェンシブ株の中で食品会社のモンデリーズ・インターナショナル(ティッカーシンボル:MDLZ)を紹介します。お菓子のメーカーです。

 モンデリーズ・インターナショナルという名前は日本の投資家には余り馴染みが無いと思いますが、もともとはクラフト・フーズ・インクという名前でした。

 クラフト・フーズ・インクは、チーズやアイスクリームなどの乳製品を基軸として、いろいろな食品会社を買収し大きくなりました。

 1988年に、たばこ会社のフィリップモリスがクラフト・フーズ・インクを買収。そのフィリップモリスが2000年にビスケットのナビスコを買収したことで、巨大企業となりました。

 そして2001年に、食品部門を別会社として新規株式公開(IPO)しました。さらに、2012年に、チーズなどから成る北米グローサリー事業をクラフト・フーズ・グループとしてスピンオフし、ビスケット、チョコレートなどのお菓子のビジネスはモンデリーズ・インターナショナルと社名変更しました。

 なお、クラフト・フーズ・グループは、その後2015年にケチャップのハインツを買収し、クラフト・ハインツ(ティカーシンボル:KHC)として今日に至っています。

 さて、今日採り上げるモンデリーズ・インターナショナルは、「オレオ」「リッツ」「LU」などのビスケット、「キャドバリー」「トブラローネ」「ミルカ」「コートドール」などのチョコレート、「トライデント」などのチューインガムを作っています

お菓子市場は、食品セクターの中でも
投資家にとって魅力的なカテゴリー

 お菓子は、グローバルの市場規模1.2兆ドルの巨大なカテゴリーです。お菓子市場は、食品セクターの中では比較的安定的に成長しています。また、マージンも余り激しく変動しないことで知られています。つまり、食品セクターの中にあって、投資家目線では魅力的なカテゴリーと言えるのです

 モンデリーズ・インターナショナルは、お菓子カテゴリーでネスレ、マースなどと並ぶグローバル・リーダーのひとつで、ビスケットやチョコレートなどのカテゴリーでの市場占有率は21%にもなります

モンデリーズ・インターナショナルは世界中に展開
特に新興国では順調に売上高を伸ばす

 モンデリーズ・インターナショナルの2017年の年間売上高は260億ドルで、そのうちビスケットが42%、チョコレートが31%を占めました。

 地域別、商品別の売上構成比は、下のチャートのようになっています。

 つまり、欧州ではチョコレートを中心に、北米ではビスケットを中心に事業展開しているというわけです。

 欧州の市場占有率は21%です。欧州のお菓子市場はまだまだ成長余地がある、と
モンデリーズ・インターナショナルの経営陣は考えています。

 北米は、81%がビスケットから売上げられています。市場占有率は21%です。「オレオ」が圧倒的な強さを示しています。

 アジア・中東・アフリカの市場占有率は22%であり、バランスのとれた商品ポートフォリオを展開しています。なお、中国やインド市場への食い込みはまだまだこれからであり、将来の成長余地は大きいです。

 南米の市場占有率は、30%です。こちらもバランスのとれた商品展開をしています。

 なお、新興国全体としては年間+6%前後で成長しています。つまり、売上成長のモメンタムはすこぶる良いというとこです

営業マージンはすでに十分高いので
今後は売上高を伸ばすことが経営目標

 新興国の売上の話が出たので、全社的に見たモンデリーズ・インターナショナルの経営目標がどうなっているのかを整理します。

 まず、売上高は+3%成長を、純利益は+8%の成長を目指しています。配当成長は、2桁成長を目指しています。そして、年間フリー・キャッシュフローは、30億ドルをターゲットに置いています。

 モンデリーズ・インターナショナルは、クラフトと決別して以来、主に利幅を改善することを経営目標にしてきました。過去5年の間に営業マージンは着実に拡大し、現在営業マージンは16%となっています。営業マージンはもう満足のゆく水準まで改善したので、今後は売上高を伸ばすことに経営の焦点をシフトしてゆく考えです。

 お菓子は、カテゴリーそのものが他の食品より高い成長を示しているので、売上高成長率を出しやすいです。

 北米市場では商品のイノベーションを加速し、新製品を積極的に投入することで売上成長を出してゆきたいと考えています。

 実際、クッキーの「オレオ」の強味を生かした新製品「オレオ・チョコレート」は、市場の反応も好評で、リピート顧客がついています。米国のチョコレート市場は、マース、ハーシーなど巨大企業がガッチリと市場を占有している関係で、競争が激しく、普通のやり方ではシェアを伸ばしにくい状況です。そのため「オレオ・チョコレート」は、ニッチ的な展開を目指しています。

【今週のまとめ】
フェイスブックやアップルなどのハイテク株の次は
景気に左右されにくい銘柄に注目しよう!

 ネット株、ハイテク株が軒並み値を消しているので、アメリカの投資家は新しい投資先を模索しています。そんな中、ディフェンシブ株が次に人気になりやすいセクターだと思われます。

 今回取り上げたモンデリーズ・インターナショナルは、お菓子という健全に成長しているカテゴリーにおけるリーダー企業です。

 特に経営上の問題があるわけではなく、大きなテコ入れやリストラは必要ありません。いままで通りのやり方で、堅実に経営していれば自然に成長できるというストーリーがモンデリーズ・インターナショナルの魅力と言えます。

■モンデリーズ・インターナショナル(MDLZ)チャート/日足・6カ月
モンデリーズ・インターナショナル(MDLZ)チャート/日足・6カ月モンデリーズ・インターナショナル(MDLZ)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト) ※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます。
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