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日経平均株価は「ダブル・トップ」を形成し、中期の下落トレンドを継続中! 「税還付狙い」の損切りの増加で、年末に向けては売り圧力の強い状態が続く!

2018年12月11日公開(2024年7月10日更新)
藤井 英敏
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 日経平均株価は、11月8日に2万2583.43円を、12月3日に2万2698.79円を付けて、チャート的に「ダブル・トップ」を形成したものの、それは「ダマシ」となり、現在は既に25日移動平均線を割り込み、再び「弱気相場」入りしました。

■日経平均株価チャート/日足・6カ月
日経平均株価チャート/日足・6カ月日経平均株価チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 ただし、これは短期の話です。中期の話では、日経平均株価の1番天井は今年1月23日の2万4129.34円、ネックラインは3月26日の2万0347.49円、2番天井が10月2日の2万4448.07円と、2万4000円オーバーで「ダブル・トップ」を形成しつつあり、2万4000円オーバーは信頼度の高い天井です。

■日経平均株価チャート/週足・2年
日経平均株価チャート/週足・2年日経平均株価チャート/週足・2年(出典:SBI証券公式サイト)
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 つまり、中期の下落トレンドは継続中との認識です。このため、短期的な戻りがあっても、それは単なる「アヤ戻し」となる可能性が高いでしょう。そして、「アヤ戻し」の限界は26週移動平均線付近です

 今後に関しては、12月3日のように一時的に上回ることがあっても、安定的に26週移動平均線を上回ることは難しいと考えます。その一方で、10月26日の2万0971.93円を下回らない限り、2万1000円前後は、相当堅い底値圏ともみています。

 このため、当面は、2万0971.93円を割り込まない限りは、2万1000円台前半~26週移動平均線との間での「保ち合い相場」が継続するとみています。ただし、割り込んだら、3月26日の20347.49円を試すでしょう。

米中首脳会談やハイテク分野を巡る米中の対立により
日米の株式市場は右往左往

 なお、日経平均株価が12月3日まで7連騰し、2万2698.79円を付けた主因は、1日の米中首脳会談で、米国が年明けに予定していた中国製品への追加関税引き上げなどを90日間猶予すると決めたことでした。

 しかしながら、その後、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)の副会長が、米国の要請を受けカナダ当局に逮捕されました。また、ナバロ大統領補佐官が、90日間の猶予期間中に中国との貿易問題が解決しなかった場合、関税を直ちに引き上げる考えを示しました。さらに、米連邦司法当局が、高度なサイバー攻撃を仕掛けたとして、中国政府系ハッカーに対する刑事訴追を早ければ今週にも公表する見通しと伝わっています。

 このように、米中貿易戦争及びハイテク分野を巡る米中の対立は沈静化するどころか、むしろ、ますます先鋭化し混迷の度合いが深まっています。

 確かに、12月3日までのように、この問題に対してポジティブなニュースフローがあれば、日米株式相場共に「ダマシ上げ」も実現します。逆に、ネガティブなニュースヘッドラインが並ぶと、10日までのような「大幅安」もあり得るのです。つまり、米中問題に当面の日米株式市場は翻弄され、右往左往することになるのでしょう

 実際、12月11日前場でも、「中国副首相と米財務長官が午前中に貿易問題で協議-中国商務省」とのヘッドラインが流れると、10時18分に2万1060円まで下落していた日経平均先物12月限が、2万1200円台まで一気に戻す場面がありました。

個人投資家にとって相場の体感温度は
いまだに低い状況が続く

 ところで、市場関係者へのヒアリングベースでは、対面証券の多くの個人客の口座はみるも無残な状況らしいです。日本株も、米国株も、そして、投信もほぼ全てが評価損になっているそうです。そして、営業の現場では、ソフトバンクのIPOで資金が固定され、身動きが取れず、毎日がお通夜のように、ドヨーンとした重苦しい雰囲気に覆われているそうです。

 また、知り合いの事情通によれば、(もちろん、この情報の出所及び真偽のほどを確かめようはないのですが)、12月10日のネット証券の追証発生件数は10月の急落時に匹敵する発生件数だったそうです。さらに、デイトレーダー仲間の多い、知り合いの専業投資家によれば、ここにきて、市場から退場を余儀なくされた、または退場しつつあり、就職を真剣に考えているデイトレーダーが増加しているそうです。

 このように、個人投資家にとっての相場の体感温度は、低い状況がいまだに続いています。

 この最大の原因は、多くの個人が損切りできず、持ち株を塩漬けにしているため、前向きな気持ちで相場に参加できていないことだと思います。だから、現在のように、日経平均株価が概ね2万1000円~2万2500円程度の「ボックス相場」となっているならば、2万2500円付近に戻った場面が、損切りを実行するチャンスだと思います。

個人投資家は、年内に評価損を損切りすることで
損益通算による税還付狙う

 それでもこれからは、年末の特殊要因で、個人の損切りが活発化するでしょう。なぜなら、多くの個人は実現益は積極的に積み上げているそうですが、多額の評価損は抱えたままだからです

 例えば、現時点での今年の実現益は300万円、一方、評価損は▲500万円、つまり、差し引きでは200万円のヤラレになっているような、個人が多いのです。この場合、特定口座(源泉徴収あり)で取引を行っている投資家は、税還付狙いで、ここから年内までに300万円までの実現損を出し易くなる見通しです。

 今年は個人投資家好みの銘柄群(新興株、仕手系材料株)は非常に弱い動きだったので、最短で12月のSQ前後まで、最長で年内受け渡し最終日まで、この税還付狙いの売り圧力は強い状態が続くのではないかとみています。おそらく、年末に向けてよほど環境が改善しない限り、「株を枕に年を越したい」と考える個人は少なく、可能な限り保有株式を減らして、安心して年末年始を過ごしたいという個人の方が圧倒的に多いのではないかと推察しています。

中長期の下落トレンドが発生中の今
買いから入れるのは「下がりきった場面」のみ

 日経平均株価が13週移動平均線、26週移動平均線、そして、52週移動平均線を全て下回っている状況は、どうみても「中長期の下落トレンド発生中」であり「売りの時代」です。買いから入って儲けるには、非常に難易度の高い相場局面であることは想像に難くありません

 このため、買いは十分に下がりきった場面のみということになります。所謂、「突っ込み買い」だけです。また、よほどの環境の劇的な改善がない限り、「上がったところは絶好の逃げ場(売り場)!」と考えて行動するべきだと思います。

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