堅調な米国株式市場に加え、外国為替市場でのドル高・円安を受け、日経平均株価は底堅い動きを続けています。ただし、上値も重いため、上にも下にも放れることがない、「トレンドレス」・「保ち合い相場」となっています。
ちなみに、米国株が堅調なのは、1月のマクロ指標で、米国経済の好調さが確認できたためです。
一方、国内では、3月決算の主力企業の第3四半期決算が本格化しています。ですが、中国経済の減速などで、通期業績予想を下方修正する企業が相次いでおり、業績の先行きに対する警戒感が強まっています。
米雇用統計は、失業率は悪かったものの
雇用者数や平均時給など全般的には良好
1月の米雇用統計では、政府機関の一部閉鎖の影響もあり、失業率が、4.0%と0.1ポイント悪化しました。
しかしながら、非農業部門の雇用者数は前月比30.4万人増と、市場予想の17万人程度の増加を大幅に上回り、11カ月ぶりの大きな伸び幅となりました。また、平均時給は27.56ドルと前年同月比3.2%増と、6カ月連続で3%台に乗りました。そして、1月の米ISM製造業景況感指数は56.6と、大きく落ち込んだ前月から回復、前月の改定値から2.3ポイント上昇しました。市場の事前予想の54.0程度も上回りました。
このような良好な経済指標発表を受け、2月4日のNYダウは、ほぼ2カ月ぶりの高値で取引を終えました。
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また、2月4日のNY債券市場で米10年物国債相場は続落、利回りは前週末比0.04%高の2.72%で取引を終えました。これで、日米金利差が拡大するとの観測が強まり、外国為替市場で、ドル安・円高方向に振れています。
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サンバイオが4日連続のストップ安!
ただし、主力株をメインとする個人投資家への影響は軽微
ところで、2月5日、「松井証券のデータによると、松井の顧客の株式売却損は相場が急落した昨年12月だけで約350億円に達した。損失規模は13年以降で最大だ」、「個人は、相場全体が戻り始めた年明け以降にも、やけどを負った。典型例は、東証マザーズ上場のサンバイオ」と一部で報じられています。この報道が示唆するように、多くの個人の手の内・マインドが昨年10月から年末にかけて急激に悪化した後、年明けの相場全体の戻りにも上手く乗れていない様子が窺えます。
それにしても、サンバイオ(4592)は酷かったですね。
サンバイオは、1月28日、事業収益については大日本住友製薬(4506)と共同で行っている米国慢性期脳梗塞の開発協力金のうち、当期に計上を見込んでいた開発協力金収入一部が翌期の計上見込みとなったため、2019年1月期通期連結業績の下方修正を発表しました。ここで、「米国における慢性期脳梗塞フェーズ2b臨床試験及び日米で実施している外傷性脳損フェーズ2臨床試が順調に進捗したことから、研究開発及び製造に関わる費用が計画値を上回った」と記載されていました。
しかしながら、翌1月29日、サンバイオと大日本住友製薬、慢性期脳梗塞を対象として米国において開発中の再生細胞医薬品「SB623」のフェーズ2b 臨床試験について、主要評価項目を達成できなかったという解析結果の速報を得たことを発表しました。前日の「順調に進捗」という文言を信じて疑わなかった両社の株式ホルダーにとっては、まさに「青天の霹靂」だったはずです。特に、バリュエーション面で割高水準に買い上げられていたサンバイオホルダーにとっては、致命的な発表になりました。
このため、同社株は1月30日まで4日連続のストップ安売り気配で取引を終え、2月5日にようやく全株一致で寄りました。1月29日の終値が1万1710円。全株一致で寄った価格は2440円でした。下落幅9270円、下落率79.16%です。このサンバイオ株急落で退場者及び退場予備軍は相当数出たと観測されます。
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ただし、このサンバイオ株急落の影響は個人投資家のうち、イナゴを中心に短期売買を好む投資家層への影響にとどまる見通しです。大型の主力株をメインに投資している大多数の個人への影響は軽微でしょう。
海外投資家は、現物株を11週ぶりに買い越し!
日経平均株価が上振れする可能性も高まる
主力株については、需給環境が改善しています。例えば、1月第4週(21日~25日)の投資部門別株式売買動向では、海外投資家は11週ぶりに越しに転じました。このように、現物株を買い越してきたことは大きな変化です。
また、1月第4週(21~25日)の日経平均先物とTOPIX先物の投資部門別売買動向によれば、海外投資家は4週連続で買い越しました。今後、トレンドフォロー派の海外投資家が、先物だけでなく、現物も安定的に買い越してくるようなら、日経平均株価が上振れする可能性が高まる見通しです。
テクニカル的には、2月4日の日経平均株価は2万0883.77円と、25日移動平均線(2月4日現在2万0359.88円)を安定的に上回っています。引き続き、買い方優位の状況です。今後も、25日移動平均線を下回らない限り、堅調相場が見込めます。
そして、10月26日の2万0971.93円付近(2万1000円アラウンド)を明確に上抜けるケースでは、売り方の損失覚悟の買い戻し(踏み)で、最大で26週移動平均線(2月1日現在2万1891.46円)まで上昇するとみています。
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ですが、2万1000円ラインを突破し、安定的に上回って推移するためには、売り方が腰を抜かすような「ポジティブ・サプライズ」が発生することが必要との見方は不変です。つまり、そう簡単には突破できないし、サプライズなしで突破したとしても2万1000円オーバーは定着できないと考えます。
その最大の理由は、業績下方修正ラッシュによるバリュエーションの低下です。それでも、米国経済が強く、米国株式市場が堅調でドル高なら、日本株が崩れる要因も特に見当たらないため、当面の日経平均は2万円~2万1000円のレンジ相場になるとみています。
短期スタンスの個人投資家が好むような銘柄は危険
今は好業績の大型株を狙おう!
それにしても、心配なのは短期スタンスの個人の状況です。瀕死の状況になっている人数が、ここ数年で最大規模に達している感じがします。特に、信用取引を行い、そもそもの投資金額が小さい個人が厳しい状況に陥っていると考えます。
このため、時価総額が小さく、信用買い残が積み上がり、国内外の機関投資家の買いが見込めない銘柄のうち、値動きの鈍い銘柄は今後も相当深刻な調整を続けることでしょう。当面は、国内外の機関投資家の買いが見込め、短期スタンスの個人投資家の関与率が低い、好業績の大型株を中心に売買することを推奨します。
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