新興市場を中心に、これまで主力の大型株に対して出遅れていた小型材料株に短期資金が回帰する可能性が出てきたとみています。その主因は、アンジェス(4563)急騰によるリスクオンムードの高まりと、識学(7049)を皮切りにしたIPOの再開です。
まず、アンジェスは、重症虚血肢を対象としたHGF遺伝子治療薬の開発を進めていましたが、2月20日、厚生労働省薬事・食品衛生審議会 再生医療等製品・生物由来技術部会にて審議され、条件及び期限付製造販売承認が了承されました。今後、正式に承認を得られれば、国内初の遺伝子治療用製品となります。
ちなみに、HGF遺伝子治療薬の販売に関し、アンジェスは田辺三菱製薬(4508)と国内及び米国における独占的販売契約を締結しており、田辺三菱製薬が販売を担当します。これが好感され、アンジェスの株価は急騰を開始しました。
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今年初のIPOとなった「識学」は
初値騰落率が+152.8%と好調なすべり出し
また、今年に入って初めてのIPOで、中小企業の経営者や幹部層を対象に、組織運営に関するコンサルティング業務を手掛ける識学が、2月22日、東証マザーズ市場に上場しました。上場初日は、取引開始から買い注文が殺到し、売買は成立しませんでした。初日の最終的な気配値は公募・売り出し価格1800円の2.3倍となる4140円買い気配でした。
なお、「識学」とは、ヒトの意識構造を分析し、行動を阻害する誤解や錯覚の発生原因を研究した、同社が独自開発した理論です。そして、識学は、ヒトの思考の癖から生じる誤解や錯覚の発生要因と解決策を体系化し、組織運営に活用することで組織の生産性を高めるということです。
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「サンバイオ・ショック」により急落したバイオ株が
アンジェス急騰により復活の兆しを見せる
アンジェスの株価が急騰を開始した2月21日、マザーズ市場でもジャスダック市場でも、バイオ関連銘柄の上昇が目立ちました。
バイオ関連に関しては、「サンバイオ・ショック」が記憶に新しいイベントです。今年1月29日、慢性期脳梗塞を対象として米国において開発中の再生細胞医薬品「SB623」のフェーズ2b 臨床試験について、主要評価項目を達成できなかったという解析結果の速報を得た、とサンバイオ(4592)が発表したことを背景に、同社株の株価が急落し、これが他の創薬ベンチャーなどバイオ関連株のナイアガラを発生させました。これが、かの有名な「サンバイオ・ショック」です。
ちなみに、サンバイオに関しては、この発表直前の1月21日、一時上場来高値1万2730円を付けた株価は、1月30日から連続ストップ安となり、2月5日ザラ場中にようやく2401円の底値をつけました。株価は、実に高値からほぼ5分の1に暴落したのです。
皮肉なことに、この「サンバイオ・ショック」が発生したことで、バイオ関連に関しては、短期的に投げるべき人が投げたことで、需給が改善していました。そこにきて、アンジェス急騰という、バイオ復活のきっかけが発生したのです。
小型材料株に資金が集まりつつあるものの
いまだ「病み上がり状態」なので注意が必要
バイオ株はボラティリティーが高いので、信用取引を積極的に活用して短期売買を好むアクティブ個人が大好きなテーマの一つです。これが復活の兆しをみせているため、彼らの手の内・マインドが好転する可能性が高いでしょう。そして、リスクオンとなり、バイオのみならず、他の小型材料株への物色への物色意欲を強めることが期待されます。
また、IPO銘柄も非常に値動きが激しいので、アクティブ個人が大好きな銘柄群です。今回の識学を皮切りに、2月は識学を含め5社、3月は15社のIPOが予定されています。このIPOラッシュが呼び水となり、これまで新興銘柄や小型材料株への投資を見送ってきた個人投資家の活性度が上がることが見込まれます。
以上のことから、3月相場は、小型材料株の大型株に対する出遅れ修正が十分期待できる環境が整いつつあるとみています。
ただし、「サンバイオ・ショック」や、その後の新興銘柄の「決算ナイアガラ」を経て、アクティブ個人の人数、運用資産は激減しているはずです。つまり、小型材料株市場は病み上がりの状態です。このため、まずは、「バイオ」、「IPO」、「5G」、「人材革命」などの人気の高いテーマ性を有する銘柄群に狙いを絞った投資を心掛けましょう。なぜなら、小型材料株全体の底上げを期待するのは時期尚早と考えるからです。
好調な大型株は、
米国株が大崩れしない限り力強い動きが続く
一方、主力の大型株ですが、米国株式市場が相変わらず非常に強い動きを続けているので、全く崩れる様子がありません。米国株式市場が堅調さを維持している理由は、米中貿易協議進展期待と、FRBのハト派的スタンスへの安心感です。
米中貿易協議に関しては、トランプ米大統領が2月24日、ツイッターで「3月1日の交渉期限を延期し、追加関税率の引き上げを見合わせる」と表明しました。
一方、2月20日公表された、1月29~30日開催のFOMC議事要旨では、保有資産を縮小する「量的引き締め」に関して、ほぼ全ての参加者が「終了時期は2019年中」とみていることが判明しました。つまり、「2021年から2022年にかけて」との当初の想定よりも、大幅に早く終結する見通しになりました。このFRBのハト派的なスタンスは、米株式市場を力強く下支えしています。
米国株が大崩れしない限り、日経平均株価も力強い動きを続けるでしょう。
日経平均株価の下値メドは「25日移動平均線」、
上値メドは「200日移動平均線」
2月25日の日経平均株価の終値は2万1528.23円と、25日移動平均線(25日現在2万0915.43円)を、大幅に、且つ、安定して上回って推移しています。また、75日移動平均線(同2万1155.32円)も上抜いています。
こうなってくると、上方に位置する26週移動平均線(22日現在2万1717.97円)、52週移動平均線(同2万1955.49円)、そして、200日移動平均線(25日現在2万2071.36円)などが、引き続き、当面の戻りメドとして意識される見通しです。
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以上のことから、25日移動平均線を上回って推移している限り、当面の日経平均株価の下値メド(押し目限界)は25日移動平均線で、上値メドは最大で200日移動平均線との見方を継続しておきます。
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