5Gや光通信などの通信技術、4K・8Kなどの映像技術など、通信から放送までを網羅した展示会「通信・放送Week」が、2019年7月17日から19日まで東京ビッグサイトの青海展示棟で開催されています。
「通信・放送Week」は、「5G/IoT通信展」、「光通信技術展」、「4K・8K映像技術展」、「映像伝送 EXPO」の4つに分かれて開催される大規模な展示会です。出展社や来場者は毎年増えており、今年の出展社数は約380社、来場者数は3万名。出店する企業のうち約140社が「5G/IoT通信展」に出展します。
今回は、この中から「5G/IoT」に注目しました。光通信技術、4K・8K映像技術、映像伝送においても、カギを握るのは「5G/IoT」の技術革新となるからです。
あえて「5G/IoT」の中核銘柄を避け、
あまり取り上げられていない「隠れたお宝銘柄」を発掘!
「5G関連銘柄」は以前の記事でも紹介しましたが、今回は、アンリツ(6754)、村田製作所(6981)、太陽誘電(6976)といった名前の挙がることの多い銘柄ではなく、これまであまり取り上げられておらず、意外と知られていない銘柄を中心に発掘したいと思います。
【※以前の「5G関連銘柄」に関する記事はこちら!】
⇒「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の推進で株価上昇が期待できる銘柄は? 「DX」から「5G」や「デバッグ」などの派生テーマを連想して銘柄を探せ
具体的には、「5G/IoT通信展」の出展企業を中心に今期業績が増益見込みで、かつPBR(株価純資産倍率)が1倍を下回っている銘柄としています。また、株価についてもかなり重視し、足元でリバウンドみせている、もしくはリバウンド基調が継続している銘柄としています。
ある程度絞り込んだ後は、各企業のホームページや決算短信、決算説明会資料、ニュースリリース、さらには社長メッセージなどに目を通し、「5G/IoT」への注力度合いを見て判断しました。
そうしたリサーチの結果、最終的に注目したのが以下の5銘柄です。
【KIMOTO(7908)】
「デジタルツイン」の関連技術に期待
KIMOTO(7908)は、画像処理技術と表面加工技術をコア技術として、バーコードフィルム、光学用フィルム、導電性フォルム、スクリーン印刷用フィルムなどを手掛けています。「5G/IoT」の関連製品としては、機能性フィルムや「デジタルツイン(Digital Twin)」などがあります。
「デジタルツイン」とは、「現実の世界と仮想の世界を連動させる手法」のことで、例えば、現実の設備機器の稼働状況や環境の情報を細かく収集し、それを元に仮想空間上でモデルを構築してシミュレーションを行う、などの使い方が考えられます。現実世界と仮想世界をつなげることで現実に近いシミュレーションが可能となることから、「デジタルツイン」は次世代のモノづくりなどでの活用が期待されています。
KIMOTOは、そんな「デジタルツイン」を実現するための、あらゆるデータの取得・加工サービスを高品質で提供し、その活用法を提案しています。例えば、KIMOTOが創業以来の継続事業として展開している「3D空間ソリューション」は、3Dスキャナーで実空間を計測して3Dモデルなどのデータを作成する技術で、「デジタルツイン」では欠かせない技術となっています。
業績面については、5期連続で純利益はマイナスが続いています。一方で、IoT関連製品の粗利率は2016年3月期を底に、緩やかに上昇傾向にあります。株価は6月以降、リバウンドを継続しており、13週移動平均線だけなく、26週移動平均線も超えてきています。
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【指月電機製作所(6994)】
「5G/IoT」に欠かせない「フィルムコンデンサ」を生産
指月電機製作所(6994)は、自動車用フィルムコンデンサ、モータ運転用フィルムコンデンサ、パワエレ用フィルムコンデンサなどの「コンデンサ・モジュール」と、力率改善用機器、高調波抑制装置、瞬時電圧低下補償装置などの「電力機器システム」を手掛ける企業です。
「5G/IoT」に欠かせないコンデンサの生産を核として、電力・電気・電子の各種機器を単体で販売するだけでなくシステムとして商品化。省エネ対策のほか、電力の安定供給や機器の稼働状況の見える化に役立つ製品を提供しています。また、フィルムコンデンサについては、安全性が求められるハイブリッド車、電気自動車向けに高耐熱フィルムコンデンサなども手掛けています。
業績的には4期連続で営業減益が続いていますが、今期は増益を見込んでいます。株価は5月の安値を下値支持線とした底堅さがあり、足元でのリバウンドで25日移動平均線を超える動きも見られています。
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【大真空(6962)】
デジタル機器の内部で重要な役割を担う「水晶デバイス」を製造
大真空(6962)は、水晶振動子をはじめとした水晶デバイスを手掛けています。
水晶振動子とは、周波数温度特性に優れており、携帯電話や無線機などの通信機器に大量の情報を同時に素早く処理するための部品として使用されています。デジタル機器の内部で重要な役割を担う水晶デバイスは、非常に微細で精密な技術を必要とします。
業績を見ると、前期は産業向けの販売が増加したものの、通信機や民生向けなどの販売が減少した影響から大幅営業減益でした。しかし今期は、「IoT」の広がりや「5G」の商用化が期待されることから、V字回復の見込みです。株価は、上昇する25日移動平均線を下値支持線としたリバウンド基調が継続しています。
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【東京特殊電線(5807)】
「5G」の実現に向けて必要な「高性能同軸ケーブル」を販売
東京特殊電線(5807)は、電線やケーブル、精密コイルなどの開発・販売などを手掛ける企業です。温度変化に対する位相安定性に優れ、移動体基地局用アンテナなどの気温変化の大きな環境に最適な「高性能同軸ケーブル」を扱っています。
次世代のワイヤレスネットワークを支えるには、皮肉なことに膨大な量のワイヤー(ケーブル)が必要となります。なぜなら「5G」を実現するには多くの小型基地局が必要となり、それらをすべて有線でインターネットに接続する必要があるからです。そのため、「高性能同軸ケーブル」や「高速差動複合ケーブル」の需要の伸びが見込まれます。
東京特殊電線の今期業績は、増収増益を計画。株価は6月安値を底値にリバウンド基調が継続しており、26週移動平均線をとらえてきています。
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【菱洋エレクトロ(8068)】
「IoT」をキーワードにしたビジネスに注力
菱洋エレクトロ(8068)は、「半導体」「システム情報機器」「エンベデッド」の3つをコア事業とし、「IoT」をキーワードにしたビジネスに注力しています。
最近では、LoRaWAN(IoT向け無線通信技術を用いたネットワーク)とWi-Fi(無線LAN)に対応した「IoTシステムPoC用 Node Module」という製品を開発しました。この製品は、十数種類のセンサーに対応しているほか、汎用コネクターが搭載されており、接続するだけでセンシング動作が可能になります。菱洋エレクトロが取り扱う豊富な製品と合わせて、IoTのトータルシステムとしての提案が可能なるため、需要の伸びが期待できます。
足元の業績は、デジタル家電向け半導体やパソコン用ソフトウェアが堅調です。株価は順調なリバウンド基調が継続しています。
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中核銘柄ではない「隠れたお宝銘柄」なので、
長期的な目線で値上がりを期待しよう!
上記の5銘柄は「5G/IoT」の中核銘柄ではないため、投資テーマとして「5G/IoT」が盛り上がってきても最初の反応は弱いと思われます。しかし、今後「5G/IoT」の関連サービスが本格化して物色に広がってきたときには、出遅れ銘柄としての修正が期待できます。その意味では、やや長期目線で注目しておきたい銘柄と言えます。ぜひ参考にしてください。
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