以前、本連載で「介護ロボット」をテーマに取り上げたことがあります。その記事では幅広くロボット全般について取り上げましたが、今回はもう少しテーマを絞り、作業支援ロボットの一種である「アシストスーツ」に注目しました。
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ダウンタウン・浜田雅功さんが出演した
「マッスルスーツEvery」のテレビCMが話題に!
「アシストスーツ」は、作業者の体に装着することで、荷物の上げ下ろしや中腰姿勢の維持などを“アシスト”し、作業者の身体的負担の軽減や作業効率の向上を行う作業支援ロボットです。「パワードスーツ」「パワーアシストスーツ」「サポートジャケット」などの名称でも呼ばれます。分類としては「作業支援型」や「歩行支援型」などのタイプに分かれます。
「アシストスーツ」のわかりやすい例としては、先日、ダウンタウン・浜田雅功さんが出演して話題になったテレビCMがあります。ご覧になった方も多いとは思いますが、浜田さんはCMで、イノフィスが開発した力仕事をサポートする「マッスルスーツEvery」を実際に着用。サポートされた筋力を使い、老人介護から怪獣退治まで、さまざまな人助けを行って “いい人” になる、というストーリー展開です。
「マッスルスーツEvery」は、中腰姿勢を続けるといった身体に負担のかかる作業をする際の動作をアシストし、作業負担を軽減させるとともに腰痛予防に貢献する作業支援型の「アシストスーツ」です。
人手不足の常態化が社会問題となる中、
作業員の負担を軽減する「アシストスーツ」の需要は急速に増加
高齢化が加速し、人手不足の常態化が社会問題となる中、特に3K(きつい・汚い・危険)といわれる現場作業の負担を軽減する取り組みのひとつとして、「アシストスーツ」に注目が集まっています。
また、女性活躍推進法の改正法が2019年5月29日に成立したことで、あらゆる業界において女性の社会進出が注目を浴びている中、一般的に体力的負担が大きい建設業界でも女性作業員が増加していくと思われます。そうした女性作業員をアシストする面からも、建築業界のような重労働環境における「アシストスーツ」の需要が増えていくことは間違いないでしょう。
価格面においても低価格化が進んでおり、例えば「マッスルスーツEvery」は10万円台と、これまで50万~200万円程度していた一般的な「アシストスーツ」の価格を大きく下回ってきました。こうした低価格化により、「アシストスーツ」の普及はますます加速していくと考えられます。普及拡大となれば量産化による製造コスト削減が可能となりますので、低価格であっても利益率の高い製品の投入が可能となるでしょう。
軽量化や低価格化などで人気のある、
「アシストスーツ」の開発企業をピックアップ!
「アシストスーツ」の関連銘柄ですが、介護・作業支援ロボットの分野では「HALシリーズ」を開発したサイバーダイン(7779)が有名です。サイバーダインは、「HAL介護支援用(腰タイプ)」「HAL作業支援用(腰タイプ)」などの製品を手掛けており、以前に、全日本空輸(ANA・9202)や日本航空(JAL・9201)の旅客手荷物ハンドリング業務を行う現場スタッフが装着して話題になりました。
ただ、「HALシリーズ」は価格が200万円超と高額なため、政府の補助金対象事業とはいえ、導入企業への負担が大きいのが弱点です。また、リチウムポリマー電池を搭載しており、重量が約3キログラムと重いこともネックになると思われます。「アシストスーツ」が本格的に普及するには、さらなる低価格化と軽量化が求められるでしょう。
こうした軽量化や低価格化といった「アシストスーツ」へのニーズを踏まえ、アシストスーツを製造している企業(販売のみを行う商社を除く)から、人気の高い製品を手掛けている企業をピックアップしました。人気については、「アシストスーツ」を扱っている販売サイトや比較サイトでの製品ランキングなどを参考にしています。
【菊池製作所(3444)】
グループ会社のイノフィスが「マッスルスーツEvery」を開発
菊池製作所(3444)は、金型製作や成形、板金・プレス加工、機械加工、装置設計製作などを手掛けています。サポート・サービスロボット分野における事業化のプラットフォームを構築しており、ベンチャー企業を支援する体制を構築。「マッスルスーツEvery」を開発したイノフィスもグループ会社のひとつです。株価は、9月の安値を底値にリバウンド基調が強まり、12月2日に944円まで上昇。その後は調整が続いていますが、75日移動平均線が下値支持線として意識されています。
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【ユーピーアール(7065)】
2010年よりアシストスーツ事業に取り組む
ユーピーアール(7065)は、物流施設などで使用されるパレットのレンタル・販売が主力事業になります。その関係から2010年より、作業者の負担軽減に向けた現場環境の改善を目的に「アシストスーツ」を開発しています。株価は10月半ば以降、上昇する25日移動平均線を下値支持線とした強い上昇トレンドを形成しています。足元では利食いの動きが見られますが、2200円近辺での底堅い値動きとなっています。
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【モリタホールディングス(6455)】
グループ会社のモリタ宮田工業が「ラクニエ」を開発
モリタホールディングス(6455)は、消防車で国内首位のメーカーであり、その他にも消火器・消火設備やゴミ収集車、産業機械を手掛けています。グループ会社であるモリタ宮田工業が、着るだけで腰の負担が楽になるサポートウェア「ラクニエ」を開発しています。株価は、11月6日の高値1939円をピークに足元では調整を見せていますが、75日移動平均線が下値支持線として機能しています。
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【朝日インテック(7747)】
子会社のトヨフレックスが腰アシストスーツ「Way-sist」を開発
朝日インテック(7747)は、「ガイドワイヤー」「ガイディングカテーテル」といったカテーテル治療に不可欠な医療機器を主力事業としています。その子会社であるトヨフレックスは、自動車や建材、OA機器、医療部材などさまざまな場面で使われるワイヤーロープを製造していますが、その技術を活かして、腰の負荷を軽減する腰アシストスーツ「Way-sist」を開発。無電力仕様なので充電の必要がなく、いつでもどこでも使用することが可能なスーツとなっています。株価は、8月の安値2239円を底値に、右肩上がりの25日移動平均線に沿った上昇トレンドを形成しています。
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【ジェイテクト(6473)】
重量物作業向けの「J-PAS(ジェイパス)」を開発
ジェイテクト(6473)は、軸受の大手3社の一角であり、電動パワーステアリングで世界シェアトップです。持続的成長の柱の新領域のひとつとして、パワーアシストスーツ「J-PAS(ジェイパス)」を開発、グループ会社である光洋機械工業が製造しています。強い力の出せる電動アシストタイプで、重量物作業での腰にかかる負担を軽減します。株価は、8月半ばにつけた安値1090円を底値に、11月には1488円まで上昇。その後は調整していますが、25日移動平均線付近での底堅い値動きが続いています。
なお、「アシストスーツ」に関しては、上場企業が主力事業として行うのではなく、関連事業のひとつとして取り組んでいたり、グループ企業が取り組んでいたりするケースも多いです。そのため、「アシストスーツ」関連銘柄が物色される局面では、誰もが認識しているメインの銘柄より、そうした“隠れた銘柄”のほうに市場の関心が集まりやすいと思います。
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