世界投資へのパスポート

危機感の薄い“ボンヤリ投資家”が急増中!9月は再び、欧州発の急落に備えよ!

【第229回】 2012年9月3日公開(2025年5月30日更新)
広瀬 隆雄
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【今回のまとめ】
1.このところの米国市場は小動き
2.相場が静かなので投資家は慢心している
3.欧州危機は一見すると鎮静化したように見える
4.市場は既にECBによるスペイン国債買い支えを織り込んでしまっている
5.予定表には難関がずらりと並んでいる

小動きのマーケットに潜む罠

 先週(8月27日~8月31日)のニューヨーク市場はダウ工業株価平均指数が-0.5%、S&P500指数が-0.3%、ナスダック総合指数が-0.1%でした。

 このところのニューヨーク市場は、市場参加者がバケーションを取るシーズンだったということもあり、動きに乏しかったです。

 このため市場参加者の心の中には慢心が忍び込んでいます。下は「ブルベア指数」と呼ばれる、投資家のセンチメント(市場心理)を示す指標です。このところ急速に「強気観(青)」が台頭している点が注目です。

 このブルベア指数の使い方ですが、同指数は典型的な「逆指標」であることに注意してください。つまり強気が増えれば増えるほど、マーケットが下がる危険が高まると解釈すべきなのです。

 これはどうしてでしょうか?

投資家の慢心

 なぜなら、「そもそも強気の投資家なら、すでに株を買ってしまっている」からです。無限に投資資金を持っている人は別として、大半の投資家はひとたび株を買ってしまえば、次にできる行為はその株を処分、つまり売ることだけなのです。

 つまり「自分は強気だ」という相場観とはウラハラに、次に自分が取れる行動は売りしかないのです。つまりブルベア指数は「気持ち」ではなく、「次に取れる行動の選択肢」を表した指標だと言えます。

 なお、ブルベア指数はタイミング・ツールとしての価値はあまりありません。むしろ大掴みに、今、投資家全般が慢心しているか、ピリピリ緊張しているかの大局観を得るためのツールです。

 現在の水準はボンヤリ者の投資家が増えていることを示唆しています。こういう時は、突発的な悪いニュースに対してマーケットがもろい局面であると言えるでしょう。

 それでは今後、悪いニュースが出る余地はあるのでしょうか?

危機が喉元を過ぎれば、すぐに統制を乱す欧州

 今後の悪材料ですが、これは大いにあります。とくに欧州から悪いニュースが出てくる可能性が高いです。なぜなら欧州の特徴として、危機になると一致団結しやすいけれど、危機が喉元を過ぎれば、すぐに各国が勝手気ままなことをはじめるという傾向が強いからです。

 今、欧州の5年債の利回りを見るとスペインもイタリアも利回りが下がり(=債券価格は上昇)、政府の借り換えコストの上昇に対する不安は沈静化しました。

 自力で借金を借り換えられる可能性が少しでも高まると、すぐ「EUからの援助は、口出しがウルサイから、要らない」という国内世論が台頭します。現在のスペインもまさしくそういう状態です。これは欧州のリーダー達の間での話し合いを困難にすると思います。

 ただ、本当にスペインが危機を回避できたのかどうかは、まだわからないと思います。下のグラフにあるように、スペイン経済の鈍化はここへきて再び顕著になっています。

ECBはすでに「必要なことは何でもやる」と約束してしまっている

 またスペインでは、10月末に200億ユーロにのぼる国債の償還が控えています。これは今後借り換えのニーズが激増することを示唆しています。

 8月は、たまたま新発の国債発行額が31.3億ユーロと極めて低い水準だったので、それが需給を圧迫しなかったという見方もできるのです。

 すでにマリオ・ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁は、スペイン、イタリア国債を購入することをほのめかしているので、9月6日の政策金利会合と記者会見でその具体的な方法に関する言及がなければ、市場が落胆することも考えられます。

9月12日が鬼門

 また、9月12日(水)も2つの面で重要な日です。1つはドイツの憲法裁判所が欧州安定メカニズム(ESM)が合憲であるかどうかの判断を示す日だからです。

 これまでのドイツ憲法裁判所の判断の実績からすると欧州連合のイニシアチブに協調的な立場を表明することが多かったので、今回も合憲であるという判断を下す確率が高いと思います。ただこの判断の発表前に市場の不安が高まるというシナリオは覚悟すべきでしょう。

 9月12日のもう1つのイベントは、オランダの第二院(下院)選挙です。最近の投票意向調査では、EUによる南欧諸国救済に対して批判的な立場を取っている社会党が大幅に躍進すると見られています。(下の円グラフ中、外側の紫色部分に注目)

 このように予定表には難関がずらりと並んでいます。現在の米国や欧州の株価水準はこれらの懸念を正確に反映していないと思います。

 大きな調整に備えて、整理できるポジションは整理し、なるべくキャッシュを積み上げておくことをおすすめします。

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