【今回のまとめ】
1.米国株式市場は続伸
2.木曜日から始まるジャクソンホール・シンポジウムに注目
3.イエレン議長は金曜日朝10時に登壇
4.イエレン議長が何か新しいことをシグナルする可能性は若干後退した
5.インフレの兆候が無いこと、ウクライナ紛争がデフレ的であることがその理由
米国株式市場は先週も続伸
先週の米国株式市場はダウ工業株価平均指数が+0.7%、S&P500指数が+1.2%、ナスダック総合指数が+2.2%で終わりました。
ジャクソンホール・シンポジウムに注目
今週、最も重要なイベントは8月21日から23日にかけてワイオミング州ジャクソンホールで開催されるジャクソンホール・シンポジウムです。今年のシンポジウム・テーマは「労働市場の動向を再評価する」です。
現在のジャネット・イエレンFRB議長の考えは、2015年に入っても、ずっと現在の0~0.25%というフェデラルファンズ・レートの水準を当分の間、維持すべきだというものです。
シンポジウムではイエレン議長は単に参加者の一人として会議に臨むだけでなく、基調演説者の一人に名前を連ねています。彼女が登壇する時間は22日金曜日の朝10時(東海岸時間)です。
これはイエレン議長がスピーチを通じて、何らかの新しいスタンスを表明する可能性があることを示唆しています。実際、前任者のベン・バーナンキ元議長は、ジャクソンホール・シンポジウムでのスピーチで「QE2」「QE3」と呼ばれる非伝統的な緩和政策をほのめかしました。
ただ、足下の世界の動きを踏まえると、今回イエレン議長は何か新しいことを発表する可能性は、ほんの少し後退した観があります。それを以下、順を追って説明してゆきます。
米国の経済は思ったより強い
景気の強さという点では、既にアメリカ経済はかなり足腰がしっかりしてきています。下は失業率のグラフですが、ひところより著しい改善を見ています。
現在の米国の失業率は6.2%で、このところアメリカの失業率は12カ月ごとに0.9%というペースで改善してきました。このペースで行けば、2015年4月には失業率が5.4%に、6月には5.2%になることが予想されます。
この5.2%から5.4%という失業率のゾーンはFRBが完全雇用の水準だと考える目標水準です。
完全雇用とは、別の見方をすればノーマルな水準に他ならないわけですから、完全雇用が実現しているにもかかわらずゼロ金利政策をダラダラ継続していることはおかしいわけです。
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