10月31日、黒田バズーカ第2弾が発射され、日本株は急騰し、円安が急加速しました。長期国債の買い入れ額を30兆円、上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(REIT)の買い入れ額は3倍に増やすとという、このバズーカ砲は、賛成5人、反対4人という異例の僅差で決まりました。
このバズーカが発射されたことが市場に伝わったのが13時44分頃です。当時、1万5900円付近で推移していた225先物12月限が、これを受けグイグイ買われ、あっという間に、1万6500円付近まで上昇しました。
前回当欄で、「日本株は世界の景気敏感株。いまは日本株を買うタイミングではない!」としましたが、この日銀バズーカが炸裂した瞬間の2014年10月31日13時44分に、「日本株を買うタイミング」に大転換したのです。
当欄で、何度も指摘していることですが、相場の先行きを予測することは重要ですが、もっと重要なことは、予測が外れた時に、適切な対応をすることです。
「予測が外れたかな?」「失敗したかな?」と思ったらすぐに手仕舞いしろ、という意味の相場格言に、「しまったは手仕舞え」というものがあります。相場は、自分の都合や予測に合わせて動いてはくれません。間違ったら、すぐに素直に「ごめんなさい」して「損切り」してつまらない意地を捨てて冷静な対応をしていくべきなのです。
オプションは「売り」から入ることを避けるべし
特に、225オプションなどで、コールを売っている状況で、今回のような急騰を食らうと大変なことになります。
例えば、日経225の11月限の権利行使価格1万7000円のコール・オプションが1円から300円に急騰したことが市場の一部で話題になっています。1円のコールは1000円で買えます。これを仮に、1万円分(10枚)買って、300円で売り抜ければ、約300万円(300円×10枚×1000)の利益を得ることができます。逆に、1円で10枚売り建てていた投資家は、約300万円の損失を被ることになります。
オプション取引は、多くの個人投資家にとって、なじみの薄い取引でしょうが、あなたが、成り上がりたいなら、上手く活用するべきです。ザックリいえば、コールでも、プットでも、売りから入ることは避けるべきです。
具体的には、相場のボラティリティ低下時に利益が出るオプションを売り持ちにする「セルボラ戦略」や、相場が大きく変動しなければ、タイム・ディケイ(オプションの時間的価値が時間の経過と共に減少していくこと)を稼げる「ネガティブ・ガンマ(原資産の価格変化に対するデルタの変化額)戦略」は避けるべきです。なぜなら、これらのポジションは、他のヘッジを加えたとしても、「利益限定・損失無限」になることが多いからです。
成り上がりたいあなたが、求めるべき損益線は、「損失限定・利益無限」であるべきです。よって、相場のボラティリティ上昇時に利益が出るオプションを買い持ちにする「バイボラ戦略」や、タイム・ディケイは敢えて無視して、今回のように相場が大きく変動する場面で、爆発的な利益が出る「ポジティブ・ガンマ」だけを行うべきです。
なお、「セルボラ」や「ネガティブガンマ」は勝率は高いです。イメージとしては、10勝2敗です。逆に、「バイボラ」や「ポジティブガンマ」は2勝10敗です。よって、「バイボラ」や「ポジティブガンマ」をやるなら、ここぞという時にだけ、参加しないと、参加コストが高くつきます。
米雇用統計などの重要指標の発表、FOMC・ECB理事会・日銀の金融政策決定会合なの中央銀行の会合、主要各国の国政選挙、G20などの国際的な会合など、政治・経済のイベント前後で、相場は大きく動くことが多いです。このため、そういうイベントのあるときだけ、「バイボラ」や「ポジティブガンマ」で参加し、イベントが終われば、サッサと決済するという、「イベントドリブン戦略(イベントに基づいて、ポジションを取る運用手法)」は有効でしょう。
また、例えば、東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)が70%台に突入したり、信用取引を評価損益率がマイナス20%を超えて悪化したり、日経平均が25日移動平均線からマイナス10%超、逆乖離したりして、テクニカル指標が底値を示唆していると判断した時だけ、日経225のコール・オプションを買うとか・・・。
逆に、あなたが信頼するテクニカル指標から、明らかに過熱が示唆され、相場がピークアウトし、日経平均がナイアガラ状態になると予想した時だけ、プット・オプションを買うべきなのです。
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