【今回のまとめ】
1.米国株は天井圏から反落局面にある
2.今週の連邦公開市場委員会ではいよいよ利上げがほのめかされる可能性アリ
3.原油価格急落で石油会社のデフォルトが懸念される
4.しかし原油価格の下落は全体的にみればむしろプラス
5.12月特有の株の動きに注意を払うこと
6.テクニカル的には近く反発してもおかしくない
天井圏から反落する米国株市場
このところのアメリカ株を見ると天井圏から反落するチャートになっています。

このチャートを見ると、落ちてくるナイフを素手で掴むような状況となっていて、ちょっと尻込みしてしまいます。
連邦公開市場委員会に注目
そのうえ今週は16・17日に連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。いよいよ「とうぶんの間」利上げはしないという言葉が、声明文の中から削除され、実質的に来年の利上げをほのめかすことになるのではないか? と予想する市場関係者が多いです。
米国連邦準備制度理事会(FRB)が利上げをシグナルすると、マーケットはそれに敬意を表する格好で、一回は売られます。そこで米国の市場参加者は(今週出動すると、どうせFOMCで横っ面を張られるに決まっているから、動くのは少し待とう)と様子見を決め込んでいます。
原油価格の急落でデフォルト不安
これに加えて、このところの容赦ない原油価格の急落もシェール・オイルの探索・生産会社、オイル・メジャー、さらにロシア、ベネズエラ、ブラジルなどの産油国に大きなプレッシャーを与えています。

いずれ石油会社のデフォルトなどの悪いニュースが飛び込んでくるのではないか? という不安が、投資家をリスク回避のスタンスにさせているのです。
原油安は米国経済にとってプラス
しかし原油安のネガティブな面ばかりに目を奪われてはいけないと思います。原油安はプラス面とマイナス面を合わせて考えれば、むしろ差し引き米国経済にとってプラスだと思います。米国の製造業は操業コストの低下の恩恵をこうむりますし、消費者もガソリン代が下がるので手元にキャッシュが残るからです。

実際、先週発表された11月の小売売上高は前月比+0.7%と、市場予想+0.4%を上回る強い数字でした。
12月特有の動きに注意
アメリカ株がギクシャクした動きになっているもうひとつの理由はタックスロス・セリングの影響です。
タックスロス・セリングとは、今年一年の投資を通じて実現益がかなり出た投資家が、なるべくキャピタルゲイン税の負担を減らすために、手持ちのポートフォリオの中で一番損している銘柄を12月末までに損切り、実現損を出すことで実現益の金額を少しでも減らそうとする行為を指します。
例年、このような「損出し」の売りは12月15日前後にピークをつけます。
すると今はそのような売り物が一番出やすい時期なので、ここで弱気になって持ち株を処分してしまうと安値を叩くことになりかねません。
テクニカル的にも反発の可能性大
先週金曜日のプット・コール・レシオは1.15でした。プット・コール・レシオはプット・オプションの出来高とコール・オプションの出来高を比較し、そのレシオが1.10を超えると(=つまり弱気派が増えると)買いシグナルだという風に解釈します。
今年はプット・コール・レシオが極めて的確にマーケットのボトムを言い当てており、前回は10月13日、その前は8月4日、その前は4月10日と、いずれも大底の直前にプット・コール・レシオがピークを付けました。
つまり現在のプット・コール・レシオは、ほどなくアメリカ株が反発することを示唆しているのです。
今年最後の買い場を逃さないためにも、突っ込んだところは強気のスタンスで臨むことをお勧めします。
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