【今回のまとめ】
1.先週の雇用統計では米国経済の好調が確認された
2.17日の連邦公開市場委員会では「当分の間」という表現が消える?
3.ドル高は原油安要因
4.ドル高局面ではアメリカの投資家は「内向き」になる
5.ドットコム・ブームの時と同様、アメリカをオーバーウエイトすること
雇用統計では米国経済の好調が確認された
先週金曜日に発表された11月の非農業部門雇用者数は予想の23万人を大幅に上回る32.1万人でした。
これは最近の単月の数字としては2012年1月の36万人に次ぐ良い数字でした。また2014年通年の非農業部門雇用者数の累計という観点からは1999年以来の強い数字になります。
また9・10月の数字も上方修正されています。
失業率は10月と変わらずの5.8%でした。
民間部門の平均時間当たり賃金は$24.66で10月より9¢上昇しました。これは前年比+2.1%です。
次の連邦公開市場委員会では
「当分の間」と言う表現が消える?
今回の強い雇用統計を受けて12月16・17日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)ではいよいよ「当分の間(considerable time)」フェデラルファンズ・レートの利上げはしないという表現が声明文から削除されるのではないか? という観測が強まっています。
物価は安定しているので
慌てる必要は無い
その反面、物価は安定的に推移しており、慌てて利上げしなければいけない理由はありません。この背景には原油価格が急落していることがあります。
原油価格急落の主因は米国内のシェールオイル増産にあります。先ごろ石油輸出国機構(OPEC)が減産を見送ったことも原油価格の下落に拍車をかけました。さらにドルと原油価格は逆相関の関係にあり、最近のドル高も原油価格下落要因となっています。
ドル高局面では
アメリカの投資家は「内向き」になる
アメリカの投資家はドル高局面では海外投資に消極的になることで知られています。
欧州、日本、中国などの中央銀行が一段と踏み込んだ金融緩和を目指す一方で、米国の連邦準備制度理事会(FRB)は上に述べたように引き締めのタイミングを模索しており、両者の政策金利のベクトルは180度違う方向を向き始めています。
このことはドル高局面が継続することを示唆しており、アメリカの投資家による資金引き揚げのリスクが高まっています。
気まぐれな海外の資金への
依存度が高い新興国に注意
このような構図は、気まぐれな海外からの投資資金への依存度の高い新興国株式市場にとって苦しい展開だと言えます。
実際、前回、世界経済の中でアメリカだけが「独り勝ち」になったのはドットコム・ブームたけなわの1990年代後半でした。その当時はアジア通貨危機、ロシア・ルーブル危機など新興国市場が危機に次ぐ危機に見舞われました。
これらの事から、当面の投資戦略としては米国株をオーバーウエイトし、新興国をアンダーウエイトすべきだと思います。
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