【今回のまとめ】
1.非農業部門雇用者数は強かった
2.平均時給の伸びが大きかった
3.6月17・18日の連邦公開市場委員会での利上げは無い
4.ただし利上げペースに関し、市場をなだめるコメントは出るかも
5.それが出れば市場はリスクオンになる
6.サイバーセキュリティ関連、バイオ関連に妙味
5月の雇用統計は強く、平均時給もアップした
先週金曜日に発表された非農業部門雇用者数は予想22.6万人に対し28万人と強い数字でした。
また3月の数字が3.4万人上方修正されました。
つまり懸念されたような雇用市場の減速は起こらなかったのです。
実際、5月(=黄色)の平均時給は8¢上昇しました。
6月17~18日のFOMCで利上げ発表の可能性は低い
これを受けて米国10年債利回りは上昇しています。
債券市場は、じゃぶじゃぶの流動性に慣れっこになっていたので、(ひょっとすると、そろそろ利上げかも)というムードが出ると、とたんにギクシャクします。先週の世界の株式市場は、そんな荒れ気味の債券市場に振り回されました。
ただ6月17~18日に予定されている連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが発表される可能性は低いと思います。むしろ今回のFOMCでは「将来、仮に利上げが開始されたとしても、そのペースは毎月0.25%という速度では無く、一回0.25%引き上げたら、次のFOMCでは引上げを見送り、その次で0.25%上げるというペースになる」というメッセージが打ち出されると思います。
別の言い方をすれば今回は2004年7月からの利上げ局面でのグラフの傾きの1/2程度の勾配(こうばい)になるのです。
そうやって、まず市場参加者の懸念を取り除いてから、利上げに着手するわけです。
FRBがそのことをシグナルすれば、市場参加者は歓迎すると予想されます。つまり6月18日のイエレン議長の記者会見後、市場はリスクオン(積極姿勢)に傾く可能性があるのです。
このことから、今はまだ弱気に転じるべきではないと思います。7月までにあと一回転、取れると思います。
いま注目しているサイバー関連の急成長株2銘柄とは?
それでは何に投資すれば良いのでしょうか? 私はハイテクやバイオなどの急成長株が好きです。
まずサイバーセキュリティ関連のセクターが良いと思います。具体的な銘柄ではサイバーアーク(ティッカーシンボル:CYBR)やパロアルト・ネットワークス(PANW)になります。
このところサイバー攻撃による個人情報の流出事件が相次いでいます。先週も米国の連邦政府に勤めている公務員400万人の個人情報が抜き取られる事件が報告されたばかりです。
議会は企業がサイバー攻撃に備えることをしやすくするため「サイバーネットワーク法案」と呼ばれる法律を立法化中です。この法案は4月23日に下院を賛成355票、反対63票で通過しました。
またこれとは別に「サイバーセキュリティ情報共有法案」が上院で練られています。こちらはサイバー攻撃の脅威に関する情報を政府と共有することで国全体としてサイバー攻撃への防御力を高めると同時に、政府と情報を共有した企業には、企業の過失でサイバー攻撃に遭ったときの損害賠償の負担を軽減するというものです。なおこれは個人情報の共有という意味ではなく、サーベイランス(脅威監視)情報の共有という意味です。
バイオ株にも大材料が目白押し。注目の3銘柄とは?
バイオ株では先週、ギリアド・サイエンシズ(ティッカーシンボル:GILD)が白血病治療薬ザイデリグ(Zydelig、別名イデラリシブidelalisib)のコンビネーション・セラピーの第三相臨床試験で良い結果が得られたことが報告されました。この臨床試験ではザイデリグと慢性リンパ性白血病治療薬オファツムマブ(ofatumumab)を同時に服用すると効果が高いことが証明されました。
一方、6月10日には米国食品医薬品局(FDA)がアムジェン(ティッカーシンボル:AMGN)のエヴォログマブ(evolovumab)を承認するかどうか発表します。エボログマブは抗PCSK9ヒト化モノクロナール抗体で、コレステロール低下薬です。もし承認されれば年間20億ドル程度の売上高が見込まれます。
なおコレステロール低下薬に関してはリジェネロン・ファーマシューティカルズ(ティッカーシンボル:REGN)がフランスのサノフィと共同して同じく抗PCSK9ヒト化モノクロナール抗体に基づいたアリロクマブ(alirocumab)を開発中です。こちらの承認も、目前に迫っています。
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