足元の日経平均株価は調整入りしています。12月1日に2万12.40円でピークアウトした後、15日に1万8562.51円まで急落しました。
18日に前日比515.52円高の1万9869.08円まで急激に戻す場面がありましたが、結局同日の終値は前日比366.76円安の1万8986.80円と、大幅なマイナス転換で取引を終え、再び1万9000円大台を割り込みました。そして、翌営業日の21日には1万8651.13円まで下落する場面がありました。
テクニカル的には、25日移動平均線(21日現在1万9507.23円)や、200日移動平均線(同1万9505.20円)が強力な抵抗となっている格好です。一方、下値は75日移動平均線(同1万8768.79円)がサポートとして意識されているようです。このため当面の日経平均株価は75日移動平均線~25日移動平均線のレンジが「メインレンジ」になる見通しです。
そして、調整期間中はこのレンジを上振れたら「売り」、下振れたら「買い」という感じで、「逆張り」的な対応をするべきでしょう。なぜなら、トレンドレスの相場である「ボックス相場」を想定するのなら、投資家が取るべき戦略は「逆張り」が基本と考えるからです。
12月18日の日銀金融政策決定会合後、
株式市場で何が起こったのか?
ところで、18日の日経平均株価先物3月物の高値は12時55分の1万9880円、安値は15時ちょうどの1万8940円でした。値幅は940円に達しました。まさに、「昇り龍」の如くの急騰した直後、アッという間に「ナイアガラ」が発生しました。
日銀が金融政策決定会合で、現在の金融緩和を補完するための措置を導入することを決めたことで、これを好感した買いが殺到し、売り方の損失覚悟の買戻しを巻き込み、先物価格は急上昇しました。しかし、よくよく日銀の発表内容をみてみると、この補完措置は物足りない内容との見方が急速に広がり、失望感が相場全体を覆い、買い方の手仕舞い売りが加速した結果です。
ちなみに、日銀は18日の金融政策決定会合で、現在の金融緩和を補完するための措置(<1>保有する国債の償還までの平均期間を7~12年程度に延長、<2>ETFの買い入れペースを3000億円増額、<3>REITの銘柄ごとの買い入れ限度額を発行残高の10%とし、従来の5%から引き上げる)を導入することを決めました。
米国のFOMC(連邦公開市場委員会)、日銀の金融政策決定会合、米国の18日の「クアドルプル・ウィッチング」という、クリスマス前の重要3大イベントが既に終了しています。このため、外国人投資家は、今週から本格的なクリスマス休暇入りします。
日本株市場における、外国人投資家の売買シェアは概ね60%~70%程度です。彼らがお休みに入ったら、残るのは国内勢だけです。国内勢は全体相場にトレンドは作れません。なぜなら、個人も、公的資金も逆張りだからです。
トレンドフォローワーの外国人投資家が休暇入りでは、相場全体にトレンドが出るはずもなく、また、ボリュームが増加することもなさそうです。よって、大納会に向けての私の相場観は、売り物薄の中での「掉尾の一振」の実現です。
順調だった2015年の相場で
多額の損失を出した個人投資家が多かった理由
2015年の大発会の始値は1万7325.68円です。年間安値は1月16日の1万6592.57円です。一方、高値は6月24日の2万952.71円でした。年足の陽線はほぼ確定です。これだけみれば2015年は非常によい相場でした。
しかし、私の周りでは、今年の相場は非常に難しく、多額の損失を出したままの投資家が多いのが事実です。それは、やはり、夏から秋に発生した「チャイナ・ショック」の影響です。
被害は8月19日~9月29日の1カ月強の期間に集中しています。8月19日の日経平均株価の高値は2万521.97円でした。これが9月8日には一時1万7415.61円まで急落しました。値幅は3106.36円、下落率は15.14%でした。その後、9月9日に前日比1343.43円高の急騰劇で、1万8770.51円まで戻す場面もありました。しかし、戻りもそこまで。再び売り圧力が強まり、9月29日に1万6901.49円まで叩き売られ、ようやく底打ちを果たしました。この下落過程において、投資元本を著しく毀損させてしまった投資家は数多いのです。
多くの投資家は、大きな損失を被ると、リスク許容度が著しく低下します。もうこれ以上、損をしたくないという気持ちが強くなり、相場にお金を突っ込むことが従来以上に怖くなるものです。だから、その後の郵政3社上場に伴う「上げ相場」にも上手く乗れず、納得のいかない、もしくは最悪のパフォーマンスで今年を終える投資家は多いと推察されます。
買いポジションに対して全体相場の下落で被る損失に
保険を掛ける方法とは?
今回、チャイナショックで、私の周りの人たちと同じような目にあった読者の方々には、今後検討するべき戦略として、「ヘッジ」をお勧めします。
具体的には、「指数連動ETFの空売り」、もしくは「先物のショート」です。私がお勧めするのは、あくまでも、市場の変動リスクを回避するためのものです。個別要因で株価が動く、個別株のショートはお勧めしません。
このヘッジを行う際には、実施する条件と、ヘッジを外す条件をあらかじめ決めておく必要があります。例えば、(1)日経平均株価が5日移動平均線と25日移動平均線を共に下回ったらヘッジを実行する、その後、(2)(1)の状況が続く限り、(さすがに戻るのではないかという自分の相場観は無視して)、ヘッジは続ける、ただし、(3)日経平均株価が5日移動平均線を超えたら(いやいや、まだ底入れしていないのではないかという自分の相場観は無視して)ヘッジは外す、などの条件を設定してヘッジを行うのです。
なお、私がお勧めしているのは、空売りで儲けましょうということではありません。あくまでも、買いポジションに対して、全体相場下落で被るであろう損失に対して、保険をかけましょうということです。
保険の掛け方には多種多様な方法があります。今後、あなたが相場を張るなら、いつも上げ相場ではありません。下げ相場の期間も当然あります。そのような下げ相場をどう上手く遣り過ごすか。この対応力の有無は、今後のあなたの資産形成に大きな差を生み出すはず。2015年の相場で、上手く対応できなかった方は、是非、自分なりの「下げ相場」への具体的、かつ、有効な戦略を練って、今後の下げ相場を上手く乗り切ってください。
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