闇株新聞[2018年]

マイナス金利で株価が上がりやすい銘柄とは?「配当利回り3%以上」と「自社株買い」に注目せよ!“闇株新聞”流のマイナス金利時代の投資戦略(1)

2016年3月11日公開(2022年3月29日更新)
闇株新聞編集部
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日銀のマイナス金利政策が曲がりなりにも定着してきたように見えます。経済のプロも購読し、その見方や判断を注目している金融メルマガ「闇株新聞プレミアム」、今回のテーマは「マイナス金利であぶり出された資金が今後どこに向かうのか!?」です。市場は常に正しい――先入観なく隅から隅まで見渡して探し出す答えがすべて、というのが変わらぬスタンス。闇株新聞が見つけ出した答えとは!?

 マイナス金利という日本(日銀)の歴史上初の金融政策で何が起こるのかを見極めるときは、頭で考えてはいけません。過去の経験も確立された理論もないのです。世界ではECBなど4つの中央銀行が先行して導入していますが、金融情勢や仕組みがそれぞれ違うためあまり参考になりません。

 こういうケースこそ市場で実際に始まる動きが答えのすべてです。本紙は基本スタンスとして「相場は常に正しい」と考えます。相場から現時点で有効な材料、あるいは使えなくなった材料を見つけ出して次に備えることが大切です。

 考え方のコツとしては、投資する側が(自覚しているかどうかはともかく)どのリスクを取るのかということに注目します。その上で追随するか否かは「そのリスクに見合った収益(利回り)が確保されているか」「不測の事態に陥ったときに逃げ出せるか」「そもそも不測の事態に陥っていることに気づくことができるか」などを判断することが重要です。

日銀による異次元の国債買い付けによる弊害
10年超国債の期間リスクはすでにバブル8合目

 現在もっとも大規模に資金移動が発生しているのは国債における「期間リスクの延長」です。わかりやすく言えば、今まで1年間の投資で確保できていた収益を、期間を延ばして得ようという投資です。 

 マイナス金利導入の発表前日1月28日の各年限国債利回りが、先週末(3月4日)どこまで低下(価格上昇)しているかを見てみましょう。

 年限  1月28日  3月4日  変動幅
 2年国債  -0.02%  -0.21%  0.19%低下
 5年国債  0.11%  -0.20%  0.31%低下
 10年国債  0.23%  -0.05%  0.28%低下
 20年国債  0.93%  0.42%  0.51%低下
 30年国債  1.20%  0.70%  0.50%低下
 40年国債  1.32%  0.82%  0.50%低下


 年限の長い国債ほど利回りの低下幅が大きく、価格上昇幅はもっと大きいことになります。ちなみに40年国債の利回りが0.50%低下すると価格は15%上昇しています。

 日銀が導入したマイナス金利とは、260兆円も積み上がった日銀当座預金のたかだか10兆円だけに-0.1%を適用するもので、210兆円には従来どおり+0.1%が支払われます。このマイナス金利が適用される当座預金残高は1年後でも10~30兆円しかありありません。それでも、短期国債を含め1000兆円にもなる国債発行残高の約85%に相当する残存年数10年までの国債をすべてマイナス利回りにしてしまいました。

 これは日銀が国債保有額を年間80兆円増加させる(買付ベースでは年間120兆円)ために国債を「異次元」に買い付けており、マイナス利回りでもお構いなしに買い付けているからです。現在の年間の国債残高純増額は30~35兆円しかありません。

 しかし、日銀の10年超国債(実際には20、30、40年国債)の買入れは月間6500億円~2兆円と発行額を下回っているため、プラス利回りを求めて国内機関投資家が争って買っていることになります。

 「プラス利回りの国債があるうちに買っておこう」という心境でしょうが、これはプラス利回りと引き換えに「膨大な」価格変動リスクを抱えていることになります。そもそも10年国債利回りまでマイナスになっているのは、仮に利回りがマイナスでも「もっとマイナス」で日銀が発行額以上を買っているため、投資損失となる可能性がほとんどないと考えられているからですが、その利回りを正当化する論理的根拠は希薄です。

 もともと日銀の買入れが発行額を下回っている10年超国債(実際は20、30、40年国債)利回りの論理的根拠はもっと希薄になります。しかしいつも書いているようにどこまで長期金利が低下しても資金需要が突然に出てくる心配もないため、急に長期金利が上昇する心配もなさそうで、これからもっと10年超国債利回りがオーバーシュートすることになりそうです。

 それだけ「弾ける」可能性も増加しタイミングも近づくことになり、10年超国債の「期間リスク」はすでにバブル八合目と考えます。これは明らかにマイナス金利の弊害です。

使途のない内部留保は自社株買いに充てられる
配当利回り3%超企業への投資は理に適っている

 マイナス金利と日本株の投資価値を比較していくとキリがないため、上場企業の自社株買いと配当支払いに絞って考えます。

 今年度(2016年3月まで)の自社株買い実施額は5兆円となりそうで、過去最高だった2007年度の4.6兆円を上回ります。本年に入ってからもNTTドコモが5000億円(うち3000億円はNTTからTOBで取得)、トヨタ自動車が933億円の自社株買いをすでに完了して新たに1500億円、ソフトバンクが5000億円、日産自動車が4000億円、新日鉄住金が1000億円など、大型自社株買いの発表が続いています。

 マイナス金利下では設備投資やM&Aなどで使う予定のない現金を多く保有している企業にとって、これら現金から得られる収益はほとんどなく、逆にコストがかかる可能性もあります。そのため自社株買いは(金庫株にするか消却するかで少し違いますが)資本効率をあげ、配当負担を軽減するため、大変に理に適ったマイナス金利対策となります。

 もちろん株価に直接働きかけて上昇させることにもなるでしょう。自社株買いはこれからも間違いなく増加し、そのうち低金利で外部から資金を調達して自社株買いの原資とする会社もでてくるはずです。ひいては株式市場全体の底上げにもなりますが、自社株買いを(予想も含めて)行う会社と行わない(行えない)会社の株価で二層化していくことになりそうです。

 また東証1部企業平均の予想配当利回りは2%に乗せており、業績が急降下する企業は別としてマイナス金利だからといって減配するわけにもいかず、配当利回りはこのまま高止まるような気がします。

 個別では先週末段階の予想配当利回り上位には、大塚家具(5.65%)、あおぞら銀行(4.65%)、三井物産(4.43%)、三井住友フィナンシャルグループ(4.13%)、住友商事(4.08%)、みずほフィナンシャルグループ(4.06%)などが並びます。銀行は揃って減配する可能性が強いと考えますが、それでもタダみたいな預金金利と比べれば大変な大盤振る舞いです(銀行はあとの劣後債のところでまた解説します)。

 もともと株式には価格変動リスク、減配リスクなどがあり、債権としての順位は最下位なので、配当利回りと長期金利(国債利回り)を比較することにあまり意味はありませんが、やはり高い配当利回りを求めて株式市場に向かう資金は間違いなく長期間にわたって増えるはずです。

 これは日本の株式市場の需給関係を長期間にわたって下支えするはずですが、同時に自社株買いをやらない企業や、少しでも減配する(例えば配当利回りを4%から3.5%に下げるだけでも)企業の株価は、売られてしまうことにもなります。ゆえにますます企業はマイナス金利だと言って減配できず、外部から資金を調達してでも自社株買いを行うようになり、長期的には企業体力を失ってしまうことにもなりかねません。これもマイナス金利の「弊害」かもしれません。

 ただ当面は株式投資のあらゆるリスクを考えても、配当利回りが3%以上ある企業への投資は理にかなっているような気がします。

次回は平均利回りが3.3%となっているREITや不動産、銀行の特約付劣後債等について取り上げます。いかなる時も市場をつぶさに見続けていれば、必ず答えは見つかります。情報に流されるのではなく、泳ぎ切る力をつけるために。圧倒的な情報量とほかでは読めない独自の切り口を持つ刺激的な金融メルマガ「闇株新聞プレミアム」がお役にたちます。

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