1月29日の政策金融決定会合で日銀がマイナス金利導入を決定してから11日目の2月9日、長期金利の代表である10年国債利回りがマイナス0.035%と史上初めてマイナスになりました。テレビや新聞は評論家のわかったような解説ばかりですが「それではちっともわからない」という人のために、経済の闇に光を当てる刺激的な金融メルマガ「闇株新聞プレミアム」が直感的な解説をしています。
日銀によるマイナス金利導入は、黒田総裁が直前の衆議院予算委員会で明確に否定していた策であり、市場に大きな驚きとインパクトを与えました。
日経平均株価は発表前日(1月28日)終値の1万7041円から、発表翌営業日(2月1日)高値1万7905円まで約864円と急上昇。為替も発表直前の1ドル118円台から121円台半ばまで急騰し、一時は株高・円安のトレンドに向かうのかとも期待されました。
ところがそんな期待はすぐに剥落し、株安・円高が止まらない事態になっています。日経平均株価は本日(2月12日)終値で1万4952円と、発表直後の高値からわずか8営業日で3000円近くも下落。為替も本日一時111円台に突入するなど円高が止まらなくなっています。
この流れはいったいどこへ向かい、そしてどこで止まるのでしょうか!? 直接の事態の引き金となったのは日銀のマイナス金利導入で間違いありません。そして10年国債利回りがマイナスとなりその流れが決定的になりました。
なぜ長期金利がマイナスになると株価が下がるのか!? なぜ金利の付かない通貨に買いが殺到しているのか!? きほんのきほんから立ち返り、考えてみましょう。
10年国債利回りがマイナスになるってどういうこと!?
「日本国債」とは日本政府の負債であり、現金は日銀の負債です。日本においては国債は元本リスクがなく、現金とほぼ同等の存在と言えます。
「10年国債利回り」とは、現金を10年間元本リスクがないと思われる運用をして得られる利息あるいは利益の年率換算です。
「10年国債利回りがマイナスになった」ことで、日本では現金を10年間元本リスクなしで運用しても何の利息も利益も得られないことになりました。
元本リスクがある運用をすれば利息や利益が得られる可能性がありますが、10年後に元本が無事に返ってくる保証はありません。
日本では極端なリスクでも取らない限り現金を10年間運用しても利息や利益が得られない、つまり「現金を生かす有望なビジネスがない」のです。
また、この状態が容認されるということは、市場が「向こう10年間はプラス成長にならない」と、漠然と認識していることにもなります。
5年国債の利回りはマイナス0.25%で、10年国債の方が利回りが高くなって(マイナス幅が少ない)います。
これは「5年だとほぼ間違いなく損をするけれど、10年だとひょっとするとトントン近くになるかもしれない」という程度の理由です。
日銀のマイナス金利導入で市場が気づいてしまったこと
日本経済が縮んでいることを国債市場が漠然と認識しはじめたことで、株価は急落、相対的に現金(円)の価値が上がり円高になっています。
「国債利回りの低下は"異次元の量的緩和"を続けているからじゃないの?」というご指摘もあるでしょう。
しかし、日本経済が成長していれば資金需要はあるはずで、国債利回りが低下してもどこかで止まるはずです。
それがマイナスにまで低下してしまったということは「どこを探しても資金需要も、収益がプラスになるような投資案件(ビジネス)もなく、日本経済は全く成長する見込みがないと市場も諦めている」ということです。
「日銀が1月29日にマイナス金利導入を決めたのだから、国債利回りがマイナスになってもおかしくないだろう?」というご指摘もあるでしょう。
実は1月29日のマイナス金利導入とは、日銀当座預金のうち10兆円だけにマイナス金利を適用する「とんでもない誇大発表」だったのです。
しかし、それで1000兆円もある国債利回りが劇的に低下して、8割もの国債の利回りがマイナスになってしまいました。
日本経済に(予想だけでも)成長する見込みと資金需要があるならば、ここまで極端なことにはなりません。
マイナス金利の導入こそが、日本経済が縮んでいることが改めて認識されるきっかけになったはずです。
「いやいや、マイナス金利導入から10日ほどで、日本経済が縮んだわけではないだろう?」 はい、確かにその通りです。
その証拠に国債利回りは急激に下落したわけではありません。日本経済は以前からじわじわ縮んでいたけれど、マイナス金利導入でその認識が一気に広まってしまったのです。
マイナス金利の導入は国債利回りを低下させ、市場心理を悪化させ、日本経済は縮小が加速する「負のスパイラル」に入ってしまいました。またそういう漠然とした認識が、株安と円高を招いていることにもなります。
政府や日銀に、この流れを食い止める手立てはあるでしょうか!? 経済のプロも購読しネタ元にしていると噂の金融メルマガ「闇株新聞プレミアム」では、時折このような初心者にもわかりやすい解説記事も配信しています。株価や為替の上がった下がったばかりではなく「なぜこうなっているのか」「これからどうなるのか」を一緒に考えてみませんか?
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