英国のEU離脱の是非を問う国民投票が23日に迫っています。日本時間24日午前6時頃から開票作業が始まり、午前10時~午後0時には大勢が判明すると思われます。ここのところ、英国の世論調査の動向次第で日本市場(為替・株式)が乱高下しています。はたして英国は本当にEUを離脱してしまうのか? 離脱が決まったら日本円や日本株はどうなってしまうのか!? 先行きの見えない相場に真価を発揮する刺激的な金融メルマガ「闇株新聞プレミアム」が、この先の展開を見通します。
なんでもタダ乗り大好きな英国人が
本気でEU離脱などするわけない!
前回の本連載でも述べましたが、もともと英国のEU離脱は100%「英国内の政治問題」です。残留派のキャメロン首相が自らの政治的立場を強化するため、2017年と公約していた国民投票をわざわざ前倒しして勝負に出たのですが、思わぬ造反が出てこのような混乱になっています。
もともと英国は、政治的にも経済的にも「タダ乗りできるものはすべて乗る国」です。せっかく通商面でタダ乗りできているEUから出ていく意味がありません。本当に離脱してしまえば、タダ乗りの最たるところであるロンドンの金融市場と領内のタックスヘイブンにも死活問題になるでしょう。
はたして離脱派はどこまで本気なのか!? 離脱派は「国民投票で離脱が多数となったら、2020年5月の次期総選挙までにEUとの通商協定の再交渉に目途をつけ、EU予算の削減やEUからの移民の削減などに関する法制度を整える」と、信じられないほど悠長な話をしています。
つまり、離脱派も本心では離脱してしまうと大変なことになるとわかっているので、こういう腰の引けた(受け入れられるはずのない)スケジュールを公表しているのです。
このような状況で国民投票の結果が「離脱」になるはずがないと思います。が、万一離脱となっても、困るのは英国であって日本ではありません。確かに英国に進出している日本企業の活動が阻害される恐れがあり、少なくとも対ポンドでは円高になりますが、それだけの話です。
英国のEU離脱問題で最も揺れているのが
日本の金融市場という皮肉
ところが、困ったことにこの問題に世界の金融市場が一喜一憂しており、いちばん過剰反応を示しているのが日本円・日本株であるという現実があります。投資家にとっては「とばっちり」としか言えませんが、残念ながらこの状況は6月23日の国民投票当日とその後しばらくは続くでしょう。
先週、市場の「軋(きし)む音」が聞えると書きましたが、日本の市場から聞こえる音が世界のどこよりも大きく、不気味に響いています。
参考:「EU離脱を問うイギリス国民投票目前! あの波乱相場の仕掛け人・ソロスが投資を再開」(2016年6月16日公開記事)
住んでいる建物から幾度も「軋む音」が聞こえれば住民は不安になり、ちょっとした微震でも外に飛び出してしまいます。また、実際にそれほど大きな揺れでなくとも、本当に建物が崩壊してしまう恐れも出てきます。
現在の状況は(特に日本における投資家心理は)まさにこの「軋む音」を聞いて不安になっているところです。
「軋む音」の正体はよくある微震か
リーマンショック級激震の前触れか?
これくらいの状況ならほとんど毎年あることです。最近でも昨年8~9月と本年1~2月に人民元下落・上海株式急落・中国経済への懸念拡大をきっかけに世界の株式市場が急落したことがありましたが、しばらくすると落ち着きを取り戻しました。
しかし、10年に一度くらいは、この状況から本当に建物が崩壊してしまう災害に襲われることがあります。1987年のブラックマンデー、1997~8年のアジア危機・ロシア危機・ヘッジファンドLTCM危機、2008年のリーマンショックに至る世界金融危機がこれに該当します。
現在の「軋む音」がそのままよくある微震なのか、10年に一度ある大激震の前触れなのかは誰にもわかりませんが、冷静に状況を分析すると後者である恐れは極めて低いと言えます。
というのも、これまで大激震の前夜には、決まって世界中の投資(投機)資金が特定の分野に集中し、そこで膨れ上がったバブルが何かのきっかけで弾け、そのショックが世界中に伝播するというのがお決まりのケースだからです。
ところが現在の状況は、金融緩和・量的緩和で世界中に投資(投機)資金が膨れ上がっているものの、世界的に経済成長が鈍化して有望な投資機会が乏しくなっていることもあり、特定部分にバブルが醸成されているようにも見えません。
つまり、現在の日本市場は「ちょっとした微震で外に飛び出してしまった状況」ではあるものの、そこから「本当に建物が崩壊してしまうほどの大激震」に見舞われるとは考えにくく、しばらくすると落ち着きを取り戻すと考えます。
英国がEUを離脱するかもしれないという歴史的出来事を前にして、ブレ幅が大きくなっている為替市場/株式市場ですが、こんな時こそ目先の値動きに翻弄されず大局を見据えた投資をしたいものです。政治経済の思惑、機関投資家の動向、相場のセオリー、歴史の教訓……etc. あらゆる材料を俎上に載せて「なぜこうなっているのか」「これからどうなるのか」を一緒に考えていきましょう。プロも愛読する刺激的な金融メルマガ「闇株新聞プレミアム」は、見通しの効かない相場で皆様の水先案内人を務めます。
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