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「つみたてNISA」と「iDeCo」、どちらをやるべき?
両方するのがベストだが、どちら一方なら…

2022年2月22日公開(2022年3月29日更新)
八木 エミリー
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 数年前からマネー誌や書籍などで「iDeCo」という文字を見かけるようになりましたね。よくいただくご質問で「つみたてNISAとiDeCo、どちらをやったほうがいいですか?」という質問をたくさんいただきます。今回は、「つみたてNISAとiDeCo、どちらをやるべき?」というお話です。

 まずは、iDeCoについて。iDeCoとは「個人型確定拠出年金」の愛称です。個人型確定拠出年金とは、自分で一定の掛け金を積み立て運用しながら資産をつくっていく方法のこと。つみたてNISAと似ていますね。

 しかし両者には大きな違いがあります。例えば、つみたてNISAは好きなときに自由に解約できるのに対し、iDeCoは60歳まで解約できません。また、つみたてNISAの投資の上限額は年間40万円ですが、iDeCoは職業によって14.4万円から81.6万円と幅があるのです。

iDeCoの掛け金は所得控除の対象となる

 加えて、所得控除の対象となるかどうかの違いもあります。所得控除とは、課税される所得の合計金額から、一定の金額を差し引くこと(控除)ができる制度です。大まかに、所得税は「(収入-経費-所得控除)×税率」で計算されます。所得控除が大きくなればなるほど、納める所得税額が低くなることがメリットです。iDeCoの掛け金は、この所得控除の対象となります。

 iDeCoは掛け金が全額所得控除の対象となるため、確定申告や年末調整によって税金の還付が受けられますが、つみたてNISAの掛け金は所得控除の対象にはなりません。両者には、このような違いがあるのです。

 聞けば聞くほど、どちらを選べばいいのかわからなくなる人も多いと思います。本当は両方やっていただくのがベストですが、どうしてもどちらかを選ぶとしたら、私ならつみたてNISAを選ぶでしょう。なぜなら、自由に解約できる点が魅力だからです。60歳まで引き出せない間に、もっとほかにいいお金の増やし方があるとわかったり、不測の事態があり大きなお金が必要になったときにはiDeCoに入れたお金を使いたくなります。

 一方、もしあなたが将来の年金を心配しているなら、iDeCoがおすすめです。そもそもiDeCoは資産形成というよりも「確定拠出年金」ですから、目的は自分で年金をつくることにあります。運用利益は非課税になりますし、掛け金は所得控除になるので、将来の年金の心配をしている方はiDeCoを取り入れたほうがいいでしょう。

■つみたてNISAの特徴

投資できる商品 :条件を満たす株式投資信託またはETF ※1
投資の形 :積み立てのみ
商品の買い替え :自由だが、新規の買い扱いになり、その分非課税枠が減る
新規に投資できる期間:2018年~2042年
非課税となる期間 :最長20年間
非課税となる投資額 :毎年40万円まで
節税のメリット :普通分配金、売った利益は非課税
投資額の上限 (累計) :2020年から始めれば290万円 (40万円×23年)
資金の引き出し (売却):いつでもできる (枠の再利用は不可)

■iDeCoの特徴

投資できる商品 :投資信託、定期預金、保険商品
投資の形 :積み立てのみ
商品の買い替え :何度でも自由
新規に投資できる期間:60歳未満 (条件あり)。2024年からは65歳未満
非課税となる期間 :受け取り開始まで (受取開始は60~70歳の間で選択) ※2
非課税となる投資額 :年14.4万~81.6万円 (職業などで異なる)
節税のメリット :運用益は非課税 掛け金分は所得税と住民税が非課税 受取時も税控除あり ※3
投資額の上限 (累計) :年14.4万~81.6万円×掛ける年数 (職業などで異なる) 最大40年
資金の引き出し (売却):60歳までできない

※1 条件は投信報酬が低いこと、販売手数料が無料、毎月分配型でないことなど。
※2 積み立てる期間が短いと受取可能になる時期が遅くなる。最も遅いと65歳から。また、2024年からは受取開始を75歳まで延ばせる。
※3 退職金や公的年金の額によって、元本部分を含めて課税されることもある。?

 つみたてNISAやiDeCoの紹介をしましたが、自分の環境で有利なものを徹底的に利用することも大切です。

 現在私は独立系のファイナンシャルアドバイザーとして、主に富裕層の資産運用のアドバイスや、企業のセミナーなどで講師をしています。とある一部企業の社員研修に講師として呼ばれ、その企業には社員が入ると10%の補助が出る持株会の制度がありました。持株会は、例えば毎月1万円を持株会に拠出すると1,000円の奨励金がもらえる仕組みで、10万円で持ち株を買うと評価額が11万円になります。

 しかし、この持株会というすばらしい制度をほとんどの社員さんが利用していませんでした。持株会の存在を知らなかったからです。この持株会を知らなかった社員さんのように、もったいないことをしている人は世の中にかなり大勢います。上場会社にお勤めの方は会社に持株会などの制度があるかを確認してみましょう。もしあるなら、すぐに利用することをオススメします。

 他にも自分の環境で有利に使えるものを投資に活かしていくという例として、自分の仕事の関係で詳しくなったことを、有利に使うのもひとつです。

働ぎ盛りの人はデイトレより自分の仕事に集中した方が稼げるかも

 例えば、私は証券会社時代に培った「金融の知識」と「営業スキル」で、7.5億円の資産を築きました。20代や30代の「今が働き盛り」の人は、デイトレーディングなどで儲けようとするよりも、自分の仕事に集中したほうが断然いいと思います。結局、一番稼げるのは自分自身の働きです。

 仕事を通してさまざまなビジネスモデルに接しながら自分の得意な分野を見つけ、それを投資に活かしたほうが着実に資産を形成していけるでしょう。私のクライアントさんの中には、主婦として子育て情報を発信して成功されていて、不動産や債券を購入して安定資産を築いた女性の方がいます。他にもタクシードライバーをしながら流行をキャッチし、その知識を活かして投資にも踏み切り、着実に資産を増やしている男性の方も。今の環境の中で有利に使えるものが必ずあるはずなので、ぜひ探してみましょう。

 今回は、つみたてNISAとiDeCoについて、お話をしました。つみたてNISAやiDeCoのファンド(投資信託)を選ぶ際、「元本を減らしたくないから、元本保証型のものにしました」や「危ないからリスク抑えたものにしました」と言う人がいます。「リスク」のことを「危険度」と捉えているのかもしれません。

 しかし投資におけるリスクとは、「振れ幅」のこと。リスクが大きいということは下がる可能性もあるけれど、上がる可能性もあるということです。自分の資産のほとんどを日本円で持っているのに、その唯一の運用先であるつみたてNISAやiDeCoでもリスクを抑えた運用をすると、ほとんど資産を増やすことができません。

 あなたの資産のうち、毎月つみたてNISAやiDeCoに回す2万円や3万円は、きっと微々たる金額のはずです。NISAやiDeCoではリスクは最大限に取り、両者を上手に活用していきましょう!

 

●八木エミリー 

投資家。野村證券に入社後、新人で東海地区の営業成績ナンバーワンとなり、最年少講師に。26歳で辞めた後は、不動産投資を開始し、7棟の不動産を所有(購入額7.5億円)。不動産投資の自己資金は徹底した節約で貯めたもの。現在はIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)として中立の立場で金融商品のアドバイスなども手掛けている。20代30代を中心に経済的自立を目指すお金ビギナーを救うためにメルマガ配信などで日々活動している。著書に『今からはじめれば、よゆうで1億ためられます!』。最新刊は書籍『元証券ウーマンが不動産投資で7億円』(ダイヤモンド社)。

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