今世界では、ファイバー・レーザーによる
モノ作り革命が起きている!
いま世界ではモノ作り革命が起きています。それは「ファイバー・レーザー」という新しい技術を導入することにより、これまでより遥かに高品質で精密な加工が、超スピードで、しかも低コストで出来るようになっているからです。
これにより、いちはやくファイバー・レーザーを導入した企業の中には、劇的な生産性の向上を見る企業が出始めています。
ファイバー・レーザーとは、これまでのCO2レーザーに代わる最新の切断、溶接ツールです。従来のレーザーに比べると、線幅が細いので微細な加工に適しており、パワフルです。
たとえばEV(電気自動車)は大量のバッテリーを必要としますが、それを製作する際、従来よりも精密な切断や溶接が必要になります。
また、高速鉄道やクルマに、アルミをはじめとする軽量で薄い素材が使用されはじめると、精密な溶接技術が必要となります。
さらに、3Dプリンタで製造された部品の仕上げなどで3Dカッティングが必要になる場合にも、ファイバー・レーザーが威力を発揮します。
このほか、フラットパネル・ディスプレイの薄膜除去などの局面でもファイバー・レーザーが使用されます。
ファイバー・レーザーは
ロシア科学アカデミーで培われた技術
このファイバー・レーザーの生みの親はバレンティン・ガポンセフ博士です。
彼はソビエト時代にロシア科学アカデミーのラジオ・エンジニアリング・エレクトロニクス研究所で学び、その後、アメリカに渡り、51歳のときにマサチューセッツ州でIPGフォトニクス(ティッカーシンボル:IPGP)を創業しました。
ファイバー・レーザー市場は
着実に成長中!
金属加工ツールにおけるレーザー市場は26億ドルであり、そのうちファイバー・レーザーが56%(2018年の予想)を占めています。
中でも、6キロワット以上のハイパワーなファイバー・レーザーは、前年同期比+60%で成長しています。
その多くは、中国の家電メーカーに買われています。また、中国の自動車メーカーがEVの生産ラインを拡充する際、ファイバー・レーザーの導入を開始しています。
金属切断以外にもファイバー・レーザー市場の
ポテンシャルは大きい
現在、IPGフォトニクスのファイバー・レーザーは、切断への使用が50%、溶接への使用が25%、3Dプリンタに絡む3Dカッティングが5%という割合で使用されていますが、将来の潜在市場としては溶接の方が大きいです。
ただ、顧客により応用が異なるので、ニーズに合わせたソフトウェアなどの開発が必要となるので、まだ導入が端緒についたばかりというわけです。
この技術の応用範囲は広く、将来は医療など新しいマーケットが開拓されることが予想されます。
IPGフォトニクスの経営内容を分析
IPGフォトニクスのシステムの販売価格は、普及とともにだんだん下がっていますが、製造コストはそれ以上のスピードで下がっているので、利幅は拡大しています。現在の営業マージンは41.8%であり、将来的には50%を目指す考えです。
IPGフォトニクスには、殆ど競合がありません。光ファイバー関連の企業は沢山存在しますが、同社のようにファイバー・レーザーの製造のために垂直統合された体制になっている企業は他に無いので、納期が他社より圧倒的に短く、勝負にならないのです。IPGフォトニクスの場合、リードタイムは6週間程度です。
同社の製品は、直接販売される場合と、他のメーカーのシステムを構成するツールのひとつとして販売される場合がありますが、どちらの場合も、たいへん迅速に製品が出荷出来ています。
売掛金の回収に要する日数(DSO)は53日であり、この手の製品を売る企業としては短いです。これは顧客が同社の製品を心待ちにしていることの表れだと言えます。
下は、IPGフォトニクスの過去の業績のチャートです。
なお、中国の家電メーカーは、予算の費消の関係で1年に2回、まとめて工作機械を購入します。注文が集中する時期が過ぎたばかりなので、来期の決算では中国の売上成長が少し鈍化すると見られています。しかし、それは長期的に見てファイバー・レーザーの普及が飽和点に達したということでは決してありません。
【今週のまとめ】
モノ作りの世界でもっとも注目を集めている技術で
圧倒的なトップを走るIPGフォトニクスに注目!
ファイバー・レーザーは、いま「モノ作り」の世界で最も注目を浴びている技術のひとつであり、劇的な生産性ならびに品質の向上を実現しています。この市場はIPGフォトニクスの独壇場となっています。
工作機械は地味な市場ですが、その中にあってIPGフォトニクスはユニークなグロース・ストーリーを持つ銘柄だと思います。
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