酷い相場が続いています。
日経平均株価は、10月26日の2万0971.93円が1番底、11月8日の2万2583.43円が1番天井、11月21日の2万1243.38円が2番底、12月3日の2万2698.79円が2番天井、12月11日の2万1062.31円が、ここまでのところ3番底になっています。
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今後、1番底の2万0971.93円を割り込まなければ、再び自律反発が見込めるでしょう。ですが、これを割り込むようだと、3月26日の2万0347.49円をまずは目指すとみています。そして、これをも割り込むようだと、1月23日の24129.34円、10月2日の24448.07円との「ダブル・トップ」が完成するため、調整は一段と深刻化する見通しです。
大企業製造業DIや経済成長見通しが悪化
消費税の影響もあり先行きの見通しは暗い
日本株を取り巻く国内外のマクロ環境は悪化しています。
12月の日銀短観は、大企業製造業DIがプラス19と、前回9月調査から横ばいでした。しかしながら、3カ月先の大企業製造業DIはプラス15と悪化する見通しです。悪化の主因は、米中貿易摩擦に対する警戒感のようです。
また、政府は2019年度の経済成長見通しで、実質GDPの伸び率を、7月に示した1.5%から1.3%に下方修正しました。ちなみに、2018年度成長率見通しは、7月の1.5%から大幅下方修正し0.9%としました。
このように足元の景気が下振れし、先行きは消費増税の影響もあり、低成長となる見通しです。
米中貿易戦争や欧州経済のリスク増大など
海外のマクロ環境も心配
海外では、中国と欧州が特に心配です。
中国に関しては、トランプ米大統領が12月14日、「我々の貿易戦争が原因だ」とツイッターに投稿したように、米中貿易戦争の影響で経済成長の鈍化が鮮明になっています。中国の11月の小売売上高は前年同月比8.1%増えたものの、増加率は10月の8.6%から縮小し、2003年5月の4.3%以来15年半ぶりの低い伸び率でした。また、11月の工業生産高は前年同月比5.4%増えたものの、増加率は10月の5.9%から低下しました。
もちろん、中国共産党が7月の政治局会議で内需拡大方針を決めたため、その成果が今後出てくることへの期待はあります。しかしながら、やはり米中貿易協議の行方が中国経済の先行きを決めるでしょう。
一方、欧州に関しては、ECB(欧州中央銀行)が12月13日の定例理事会で量的緩和の年内終了を決めました。ただし、理事会終了後、ドラギECB総裁は「おおむね均衡しているが、リスクのバランスは下方に傾きつつある」と発言し、先行きの欧州経済のリスクの大きさを強く示唆しています。
実際、12月のユーロ圏のPMI速報値では、合成指数が前月比で1.4ポイント低下し51.3となりました。国別では、ドイツが52.2と4年ぶりの低水準となり、大規模デモの影響を受け、フランスは49.3と好不況の境目の50を割り込みました。
これ以上、米国株の下落や円高が進行すると
日経平均株価が「底割れ」する可能性も
日本株は世界の景気敏感株です。中国、欧州を中心に世界経済の成長鈍化リスクが強く意識されているうちは、日経平均株価の上値の重い状況が続くでしょう。
一方、下値に関しては、現時点においては2万1000円アラウンドでは押し目買いで非常に底堅い動きを続けています。ですが、今後、米国株が一段と下落したり、外国為替市場で円高が進むようなら、底割れする可能性が高まります。ちなみに、米国では、主要株価指数が今年の高値から10%超下げる「調整局面」に既に入っているため、米国株が一段安となるリスクは高まっています。
実際、バンクオブアメリカ・メリルリンチが12月14日配信したリポートによれば、12日までの1週間に、世界の株式で運用するファンドから390億ドルの資金が流出したそうです。週間では過去最大だということです。投資家のリスク回避的な動きが足元で加速していることは間違いないでしょう。
12月18~19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、今年4回目の利上げが確実視されています。しかしながら、市場が注目しているのは、米連邦準備理事会(FRB)の2019年以降の政策金利や経済見通しが下振れするリスクです。米国の景気下振れが意識される展開になると、米国発の世界同時株安も現実味を帯びてきます。
新興市場の景気悪化は一段と深刻に
明日上場のソフトバンクIPOの行方は要注目
日経平均株価も心配ですが、新興市場の方が事態は深刻です。
12月17日の日経ジャスダック平均株価は、年初来安値を更新し、2017年9月以来1年3カ月ぶりの低水準を付けました。また、東証マザーズ指数も、およそ1カ月半ぶりの安値に沈みました。
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そして、今年に新規上場した78社のうち8割弱にあたる60社の株価が、すでに初値比でマイナス圏にあるそうです。新興市場に関しても、直近IPO銘柄に関しても、個人の関与率が非常に高いため、足元で個人投資家の手の内が半端なく悪化していると推察されます。
また、明日12月19日には、ソフトバンク(9434)が東証1部に上場します。IPOに伴い売り出される株式の金額は最大で約2兆6460億円で、株式の9割は国内で売り出され、多くを個人投資家が購入したそうです。
売り出し価格は1500円。ソフトバンクは純利益の85%をメドに株主に配当を払う方針です。このため、高配当利回りが株価を下支えする見通しです。
しかし、初値示現後、株価が軟調に推移するようだと、個人の投資マネーが「塩漬け」という形でさらに拘束され、個人の投資余力がさらになくなることになるでしょう。逆に、堅調に推移するようなら、買い方の回転が効き出し、個人の関与率の高い銘柄群の需給環境も改善するとみています。その意味では、ソフトバンクのセカンダリーでの値動きは、今後の個人投資家の手の内・マインドを大きく左右する見通しです。
総合的に判断すると
今は株を買い持ちする時期ではない!
現状を総合的に判断すると、今は株を買い持ちするべきではありません。私は、投資環境が改善するまでは「ポジションはオールキャッシ」をお勧めします。
もちろん、腕に覚えがあれば、先物・オプション等を活用したり、個別銘柄の空売りで、収益獲得を目指すのもありです。でもまあ、リスクをあまり好まない投資家なら、敢えてこの相場に参加する必要はないでしょう。「休むも相場」を決め込むこともありだと思いますよ。
それにしても、2018年は日経平均株価が24000円を超える場面があったのに、このままだとアベノミクス開始以来で最悪の雰囲気で大納会を迎えることになってしまいますねえ。
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