米国市場では決算発表シーズンがスタート!
今週はメガバンクや投資銀行が中心
米国では、今週から2018年第4四半期の決算発表シーズンが始まります。今週の主な決算発表の予定とコンセンサス予想は、次の通りです。
| ■今週の主な決算発表の予定とコンセンサス予想 | ||||||
| 銘柄 (ティッカーコード) |
発表日 | 予想EPS (ドル) |
予想売上高 (ドル) |
|||
| シティグループ(C) | 1/14(月)寄付き前 | 1.58 | 184.7億 | |||
| JPモルガン・チェース(JPM) | 1/15(火)寄付き前 | 2.23 | 269.3億 | |||
| ウエルズファーゴ(WFC) | 1/15(火)寄付き前 | 1.18 | 217.1億 | |||
| バンク・オブ・アメリカ(BAC) | 1/16(水)寄付き前 | 0.64 | 225.8億 | |||
| ゴールドマン・サックス(GS) | 1/16(水)寄付き前 | 5.49 | 80.5億 | |||
| モルガン・スタンレー(MS) | 1/17(木)寄付き前 | 0.96 | 96.1億 | |||
| アメリカン・エキスプレス(AXP) | 1/17(木)寄付き前 | 1.79 | 105.5億 | |||
| アトラシアン(TEAM) | 1/17(木)引け後 | 0.21 | 2.83億 | |||
| ネットフリックス(NFLX) | 1/17(木)引け後 | 0.24 | 42.1億 | |||
見ての通り、メガバンク、投資銀行が中心です。
期中、マーケットのボラティリティーが高かった関係で、各行ともトレーディングは好調だったことが予想されます。その反面、今後の見通しに関しては、折からの連邦政府機関一部閉鎖の影響で、2019年第1四半期以降の引き受けなどのビジネスの見通しが暗転している可能性があります。
木曜日に決算発表をするアトラシアン(ティッカーシンボル:TEAM)は、ソフトウェア・エンジニアたちが好んで使うコラボ・アプリの会社ですが、これまでずっと良い決算を出し続けてきました。今回もそれが続くかどうかに注目したいと思います。
なお、アトラシアンの株価チャートは、アメリカの投資家が好む「カップ・ウィズ・ハンドル(持ち手付きの紅茶カップのような形)」を形成しつつあり、好決算なら一気に株価が上値を狙いに行く可能性もあります。
アトラシアン(TEAM)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます。
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米中貿易戦争などの要因により
S&P500のコンセンサスEPSが下がり始める
さて、過去1年を振り返ると、S&P500のコンセンサスEPSはずっと上昇してきたのですが、ここへきて逆にコンセンサスは下がり始めています。
その理由は、「米中貿易戦争により、見通しが不透明になっていること」、「中国、欧州などで景気に陰りが見えていること」、「米国における金利上昇で、住宅などの金利敏感なセクターがやや不活発になってきていること」、「原油価格の下落で、石油会社の収益予想が暗転したこと」などによります。
2019年のS&P500のコンセンサス1株当たり利益予想は、171.85ドルです。
先週末のS&P500指数の引け値が2,596.26なので、株価収益率(PER)は15.1倍という計算になります。これは過去10年の平均である14.6倍よりほんの少しだけ割高です。まずまずリーズナブルな水準と言えます。
なお、2020年の予想は190.82と大変強気な数字になっていますが、この数字はいずれズルズルと下がってくると思います。アナリストは遠い将来の業績予想に関し、得てして楽観的過ぎる数字を打ち出す傾向があります。そして、後になってすごすごと下方修正するのが常です。したがってこの数字は大幅に割り引いて考えた方が良いでしょう。
S&P500のEPS成長率が鈍化
4月くらいまでは10月の高値を更新できない見通し
むしろ我々が気をつけなければいけないポイントは、下のチャートのように2018年第3四半期に比べて、今回決算発表がある第4四半期はEPS成長率が前年同期比+14.3%とかなり減速する点です。
つまり、2018年第3四半期が業績変化率のピークだった公算が大なのです。
通常、このような業績の変化率のピークアウトが起こると、その後半年間は株式市場がモタモタすることが知られています。それを当てはめれば「ニューヨーク市場は、4月くらいまでは10月の高値を奪回できない」と覚悟した方がいいでしょう。
米国2年債の金利が低下したことは、
株式市場にとっては良い展開
一方、このところのマーケットの下落により安全な2年債へ避難する資金が増え、その関係で2年債利回りは2.92%から2.56%まで下がりました。
2年債により、ほぼ無リスクで3%近いリターンが得られるのであれば、わざわざ株を買いたいという投資家は減ります。去年の10月、2年債利回りがピークをつけた頃に株式市場が暗転した一因は、「短期債からの競争」が激しくなったからだという説明ができます。
その点、現在は、利回り低下で2年債の魅力が薄れています。これは株式市場にとって良い展開です。
【今週のまとめ】
今回の決算発表シーズンは二番底を模索する展開だが、
「底抜け」のシナリオは回避できる見通し
今週から、アメリカは決算発表シーズンに突入します。コンセンサス予想は下落基調であり、投資家は厳しい決算発表シーズンを織り込み始めています。
株式市場のバリュエーションはリーズナブルです。ただ、収益のモメンタムは失われてきています。
幸い2年債利回りは低下したので、「短期債からの競争」は和らぎました。これが株式市場を下支えすると思います。
今回の決算発表シーズンでは、厳しい決算を背景に、ニューヨーク市場は二番底を模索する展開になると予想します。しかし市中金利が低下したため、米中貿易戦争絡みでよほど悪いニュースが出ない限り、「底抜け」のシナリオは回避できるでしょう。
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⇒米国株投資で注意が必要な「為替」と「税金」とは?「特定口座(源泉徴収あり)」か「NISA口座」で投資をして、口座内に「米ドル」を残さないのがポイント!
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