世界投資へのパスポート

ウォーレン・バフェットが率いるバークシャー・
ハサウェイの年次報告書を解説! 事業会社にシフト
しつつあるバークシャー・ハサウェイの狙いとは?

2019年2月25日公開(2019年2月25日更新)
広瀬 隆雄
facebook-share
twitter-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事
印刷向け表示

バークシャー・ハサウェイが、
2018年の年次報告書を発表

 2月23日(土)、ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイ(ティッカーシンボル:BRK.B)が年次報告書を発表しました。

 それによると、2018年通年の売上高は前年同期比+3.3%の2,478億ドルでした。営業利益は248億ドル、GAAP(米国で一般に受け入れられている会計基準)による純利益は40億ドルでした。

バークシャー・ハサウェイの決算において
営業利益だけに注目すべき理由とは?

 バークシャー・ハサウェイの2018年度の利益は:

1. 投資先企業、クラフト・ハインツ(ティッカーシンボル:KHC)の暖簾代の毀損30億ドル
2. 投資ポートフォリオの売却によるキャピタルゲイン28億ドル
3. 新会計基準で206億ドルの含み益が「損金」扱いになった(下チャートの赤矢印)

などの一時要因を含んでいます。その関係で、見かけ上の数字は大幅に悪化しています。加えて2017年の利益は、税制改革法案成立による一時益(下チャートの青矢印)で嵩上げされました。

 新会計基準では、株式ポートフォリオの含み益・含み損を毎年値洗い(mark-to-market)しなくてはいけないため、来年以降もこうした荒っぽいブレが生じると思われます。このため、投資家は今後営業利益だけに注目した方が良いでしょう

 私は普通、決算発表を論じる際、1株当たり利益(EPS)や売上高のコンセンサス予想からの乖離を問題にします。しかし、ことバークシャー・ハサウェイに関する限り、この値洗いのブレによりアナリスト達が予想数字を掲げることが大変困難になっています。このため、コンセンサス予想からの乖離を論じることは意味がありません。

簿価を手掛かりとした評価では、
バークシャー・ハサウェイの実態は把握できない

 ウォーレン・バフェットは、「株主への手紙」の中で「これまでは簿価(Book value)をどう伸ばしたか、という基準で我々の働きぶりを評価して欲しいとお願いしてきたが、この尺度は、だんだんバークシャー・ハサウェイの経営の実態を把握する上で有効性を持たなくなってきているので、今後、それは止めて欲しい」と訴えています。

 その1番目の理由は、バークシャー・ハサウェイは近年、「投資会社」というより「事業会社」としての性格を強く帯びてきているため、簿価で判断するのは不適切だということです。

 2番目の理由は、バークシャー・ハサウェイが保有している上場企業の株式は上述の新会計基準により時価で評価されるのに対し、バークシャー・ハサウェイ傘下の事業会社は取得時の簿価で計上されるルールになったことです。これは、それらの事業会社の価値をとんでもない過小評価してしまうことになります。

 3番目の理由は、今後バークシャー・ハサウェイが自社株の買戻しを行った場合、市場で拾った株に関しては、簿価よりずっと高い水準で取得したと同時に、バークシャー・ハサウェイの内在価値(Intrinsic Value)からすれば下の水準で取得したことになることです。結果として、自社株買戻しによって、バークシャー・ハサウェイの内在価値は引き上げられる一方で、会計報告上、簿価はどんどん下がってしまうのです。

 ちなみにバークシャー・ハサウェイ株は、簿価の1.4倍で取引されています。これは、S&P500の3.1倍より遥かに低いです。

 なお、第4四半期中の自社株買戻し金額は、4.18億ドルにとどまりました。これは、第3四半期の実績である9.28億ドルを下回りました。これは、上に書いた事情を株主にしっかり説明してから自社株買戻しに取り組もうとした結果だと思います。

バークシャー・ハサウェイの将来を左右する
ウォーレン・バフェットの後継者は?

 ウォーレン・バフェットは、後継者問題に関し、年次報告書の中で「保険事業に関してはアジット・ジェイン、その他のすべての事業に関してはグレッグ・アベルを総責任者とする」と発表しました。

 ウォーレン・バフェットと彼の長年のビジネス・パートナーを務めてきたチャーリー・マンガーは、いつか高齢のため第一線を退かなければいけなくなるわけですが、その際、後任が誰になるかは今回のこの発表でほぼ固まったということです。

 今後、バークシャー・ハサウェイは、次世代経営陣との円滑な経営の引き継ぎを期すため:

1. 株主総会だけでなく各事業部責任者によるアナリスト・デーを開催する
2. 「株主への手紙」を他の経営幹部も共同執筆する
3. 配当を出す

などの措置を実行すべきだと思います。

保険事業:
GEICO、バークシャー・ハサウェイ・リインシュアランスなど

 バークシャー・ハサウェイは、ディスカウント自動車保険のGEICO(ガイコー)、損保・再保険会社のバークシャー・ハサウェイ・リインシュアランスなどの保険事業を展開しています。保険会社のビジネスがバークシャー・ハサウェイにとって重要である理由は、「フロート(float=投資に自由に使えるお金)」があるからです。

 フロートとは、保険加入者が払い込んだ保険料のうち、保険金の支払いに充当するための準備金など、すぐに出てゆくと思われる費用を差し引いた、残りのお金を指します。このお金は、運用に回していいのです。

 2018年末の時点で、このフロートは1,227億ドルでした。普通、われわれが「バークシャー・ハサウェイは膨大なキャッシュを持っている」と言った場合、この待機資金を指すことが多いです。現在、この資金の大半は、トレジャリー・ビル(短期国債)で運用されています。

鉄道事業:
バーリントン・ノーザン・サンタフェ

 バーリントン・ノーザン・サンタフェ(BNSF)は、全米最大クラスの鉄道会社で中西部、西海岸、南東部など28州をカバーしており、4万5千人の従業員がいます。

 2018年の売上高は、前年比+11.5%の239億ドルでした。うちボリューム増は+4.1%、価格・ミックスの改善は6.2%でした。

公益・エネルギー事業:
バークシャー・ハサウェイ・エナジー・カンパニー

 バークシャー・ハサウェイ・エナジー・カンパニー(BHE)は、490万戸に電力を供給しているほか天然ガス・パイプラインを持っています。

工業・サービス・小売業:
プレシジョン・キャストパーツ、ルブリゾルなど

 工業部門売上高は619億ドルでした。2017年は576億ドルでした。この部門の中には、次のような会社があります:

・プレシジョン・キャストパーツ/航空機向けパーツのメーカー
・ルブリゾル/自動車向けオイル添加物を作っている化学会社
・IMC(インターナショナル・メタルワーキング・カンパニー)/金属切断ツールのメーカー
・マーモン・ホールディングス/金属パイプ、鋼管、工業ファスナーのメーカー
・クレイトン・ホームズ/プレハブ住宅メーカー

バークシャー・ハサウェイが
巨額の資金を投じる上場企業は?

 バークシャー・ハサウェイが上場企業の株式に巨額の投資をしていることは、良く知られています。

 主な持ち株を挙げると、もっとも大きなポジションはアップル(ティッカーシンボル:AAPL)で、発行済み株式数の5.4%に相当する2.55億株を持っています。その時価価値は、402.7億ドルです。

 その次に大きいポジションはバンク・オブ・アメリカ(ティッカーシンボル:BAC)で、9.19億株。これは同行の発行済み株式数の9.5%に相当し、時価価値は226.4億ドルです。

 3番目に大きなポジションはウエルズファーゴ(ティッカーシンボル:WFC)の4.49億株で、同社の発行済み株式数の9.8%に相当します。時価価値は207億ドルです。

 その次はコカコーラ(ティッカーシンボル:KO)で4億株。同社の発行済み株式数の9.4%に相当し、時価価値は189.4億ドルです。

 その他、合計すると、1728億ドルのポートフォリオとなっています。

バークシャー・ハサウェイの業績まとめ

 最後に、バークシャー・ハサウェイの1株当たりの業績のチャートを掲げておきます。

 バークシャー・ハサウェイの年次株主総会は、5月4日(日)にネブラスカ州オマハで開催されます。

【今週のまとめ】
「事業会社」にシフトするバークシャー・ハサウェイは
今後大きな買収を行う可能性も!

 今回のバークシャー・ハサウェイの決算は、色んな特殊要因が重なっている関係で難解でした。バフェットは「今後は営業利益だけに注目してくれ」と言っているので、我々もバフェットの言葉に従い、営業利益を中心にこの株を追いかけてゆきたいと思います。

 バークシャー・ハサウェイは「投資会社」から「事業会社」へとシフトしています。今回発表された人事も、事業会社のトップをファンドマネージャーたちよりも上に持って来ました。

 その「事業会社」ですが、自動車保険のGEICO、鉄道会社のBNSFをはじめおおむね好調です。

 また、バークシャー・ハサウェイは1227億ドルもの自由になるお金を温存しているので、どこかでイッパツ大きな買収をやるかも知れません。

 これは全く私の「ドタ勘」に過ぎないのですが、たぶんマスターカード(ティッカーシンボル:MA)のような銘柄が、現在のバークシャー・ハサウェイの事業ポートフォリオにピッタリとフィットするのではないかな、と思います。

■バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)チャート/日足・6カ月
バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)チャート/日足・6カ月バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます。
拡大画像表示

【※今週のピックアップ記事はこちら!】
「配当利回りが高い株」ベスト10の中で、投資判断が"強気"な銘柄は? 配当利回りが7.7%で業績も好調な「スズデン」、6%超で割安な「日産自動車」に注目!

高配当+好業績を継続中の“地味な中小型株”3銘柄を紹介! 15期連続で営業増益中の「イチネンHD」、9期連続で増配予定の「たけびし」などに注目しよう!

【2019年8月1日時点】

「米国株」取扱数が多いおすすめ証券会社

◆サクソバンク証券 ⇒詳細情報ページへ
米国株の取扱銘柄数 取扱手数料(税抜)
5900銘柄以上 約定代金の0.2%
※最低手数料5米ドル、上限手数料15米ドル
【サクソバンク証券のおすすめポイント】
米国株は、取扱数が約6000銘柄と圧倒的に多いうえに、売買手数料が0.2%と業界最低水準なのが魅力。さらに、イギリス株が約1000銘柄、ドイツ株が約600銘柄、フランス株が約800銘柄と、他社では扱いの少ない欧州株に強いのも大きな特長だ。さらにCFDを使うことで外国株の売りポジションを取れるのもサクソバンク証券ならではの強み。外国株式もCFDもひとつのトレードツールで一元管理できるのも便利だ。外国株投資に力を入れたい個人投資家であれば、口座を開いておきたい証券会社だろう。
【関連記事】
◆【サクソバンク証券おすすめのポイントは?】海外株式に強みをもつ証券会社。米国株の売買手数料が0.2%と業界最低水準!
【米国株投資おすすめ証券会社】サクソバンク証券の公式サイトはこちら
◆マネックス証券 ⇒詳細情報ページへ
米国株の取扱銘柄数 取扱手数料(税抜)
3400銘柄以上 約定代金の0.45%
最低手数料0米ドル、上限手数料20米ドル
【マネックス証券のおすすめポイント】
米国株取引に力を入れており、取扱数3400銘柄以上! 成行注文や指値注文のほか、逆指値注文、連続注文、ツイン指値(OCO注文)など、多彩な注文方法が使えるのも魅力だ。取引手数料もお得で、米国株なら最低手数料0ドルから購入可能。さらに、外国株取引口座に初回入金した日から20日間は、米国株取引手数料(税抜)だ最大3万円がキャッシュバックされる。また、米国ETFの中で「ゼロETF」対象銘柄は実質手数料無料(キャッシュバック)で取引ができる。しかもNISA口座なら、日本株の売買手数料が無料なのに加え、外国株(海外ETF含む)の購入手数料も全額キャッシュバックされ、実質無料になるのもメリット!
【関連記事】
◆【マネックス証券おすすめのポイントは?】日本株手数料の低さ、ユニークな投資ツールが充実しているネット証券大手
【米国株投資おすすめ証券会社】マネックス証券の公式サイトはこちら
◆SBI証券 ⇒詳細情報ページへ
米国株の取扱銘柄数 取扱手数料(税抜)
2100銘柄以上 約定代金の0.45%
最低手数料0米ドル、上限手数料20米ドル
【SBI証券のおすすめポイント】
2019年7月の値下げにより、米国株は手数料が最低0米ドルから取引可能になった。あらかじめ設定した金額か株数(口数)で定期的に買付する「米国株式・ETF定期買付サービス」が便利。 NISA口座なら、日本株の売買手数料だけでなく、海外ETF(米国・中国・韓国)の買付手数料も無料に。また、米国株の情報入手には、各企業情報が1ページにまとまったレポート「One Pager」、米国株・米国ETFをテーマで検索できる「米国テーマ・キーワード検索サービス」、さらに銘柄検索やソートができる「米国株式決算スケジュールページ」が使いやすい。
【関連記事】
◆【SBI証券のおすすめポイントは?】IPOの多さ&夜間取引、銀行との連携など独自サービスも充実!
◆「株初心者&株主優待初心者が口座開設するなら、おすすめのネット証券はどこですか?」桐谷さんのおすすめは松井、SBI、東海東京の3社!
【米国株投資おすすめ証券会社】SBI証券の公式サイトはこちら
◆楽天証券 ⇒詳細情報ページへ
米国株の取扱銘柄数 取扱手数料(税抜)
2000銘柄以上 約定代金の0.45%
最低手数料0米ドル、上限手数料20米ドル
【楽天証券おすすめポイント】
米国株だけではなく、中国(香港)やアセアン各国(シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア)の株もラインナップ。海外ETFの取り扱い数も、米国ETF約300本を含む、約360本と業界トップクラス! 2019年7月の値下げにより、米国株式の取引手数料は最低0米ドルからになった。米国株式の注文は、最大90日先まで指値注文が有効で、「約定通知メール」サービスとあわせて利用すると便利。NISA口座なら買付手数料が無料(売却時の手数料は必要)なのもメリットだ。また、取引から情報収集までできるトレードツールの元祖「マーケットスピード」が有名で、数多くのデイトレーダーも利用。ツール内では日経新聞の記事を無料で読むこともできる。
【関連記事】
【楽天証券おすすめのポイントは?】トレードツール「MARKETSPEED」がおすすめ!投資信託や米国や中国株などの海外株式も充実!
◆【楽天証券の株アプリ/iSPEEDを徹底研究!】ログインなしでも利用可能。個別銘柄情報が見やすい!
【米国株投資おすすめ証券会社】楽天証券の公式サイトはこちら
本記事の情報は定期的に見直しを行っていますが、更新の関係で最新の情報と異なる場合があります。最新の情報は各社の公式サイトでご確認ください。

定期購読を申し込むと500円の図書カードをプレゼントキャンペーン開催中!
【クレジットカード・オブ・ザ・イヤー 2019年版】2人の専門家がおすすめの「最優秀カード」が決定!2019年の最強クレジットカード(全7部門)を公開! 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カードは、 本当は“ゴールド”ではなく“プラチナ”だった!? 日本初のゴールドカードの最高水準の付帯特典とは? 高いスペック&ステータスを徹底解説!アメリカン・エキスプレスおすすめ比較 おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
「アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード」付帯サービスはプラチナカード顔負け!最強ゴールドカード 実力を徹底検証 じぶん銀行住宅ローン SPGアメリカン・エキスプレス・カード 楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! ANAアメックスならANAマイルが無期限で貯められて還元率アップ! じっくり貯めて長距離航空券との交換を目指せ!
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

最強日本株76
サラリーマンの
副業トレード術

10月号8月21日発売
定価730円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

最強日本株/サラリーマンの副業トレード術

配当利回り4%超ゴロゴロ!最強日本株
・「10万円株の乱北の達人 VS オリンパスほか
・「
高配当株の陣ソフトバンク VS JTほか
・「
大型株の変ソニー VS 村田製作所ほか
世界景気は底打ち! 2019年秋以降に反転し、
日本株は買い場
株主優待の神桐谷さん推す株主優待

●忙しいサラリーマンの副業トレード
会社員が勝つためのキモは時間の上手な使い方 
・「2〜3カ月に一度の売買」は売り時を逃さない指値注文がカギ
株仲間を作ろう! 東京、大阪、名古屋、ほか
全国9カ所の「
株のオフ会」突撃取材! 

●そろそろ仮想通貨をはじめよう
●毎月分配型投信100本の本当の利回り
老後のおかねの設計図を作ろう
●自腹でガチンコ投資! AKB48「株」ガチバトル
●株入門マンガ/恋する株式相場! 
本誌崖っぷち部員の同時進行ドキュメント
定年退職までのロードマップ

【別冊付録】
元手0円で投資家デビュー! ポイント運用&投資
・6つのポイントの貯めワザ&増やし方! 

定期購読を申し込むと500円の図書カードをプレゼントキャンペーン開催中!


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!

>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

【法人カード・オブ・ザ・イヤー2019】 クレジットカードの専門家が選んだ 2019年おすすめ「法人カード」を発表! 山本潤の超成長株投資の真髄で、成長株投資をはじめよう!(ザイ投資戦略メルマガ) 一番売れてる月刊マネー雑誌ザイが作った「老後のおかねの教科書」

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報