世界投資へのパスポート

リーバイスを展開するリーバイ・ストラウスが、今週
NY証券取引所にIPO(新規上場)! ファッションの
カジュアル化のトレンドが、堅実な成長を後押し!

2019年3月18日公開(2019年4月15日更新)
広瀬 隆雄
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今週IPOするリーバイ・ストラウスは
地味ではあるが知っておくべき要注目銘柄

 世界で最も有名なジーンズのブランド、「リーバイス(Levi’s)」を作っているリーバイ・ストラウス(ティッカーシンボル:LEVI)の株が、今週ニューヨーク証券取引所に新規株式公開(IPO)されます。

 リーバイスの投資ストーリーは極めてシンプルです。業績は安定していますし構造的な問題も見当たりません。IPOとしてはやや地味かも知れませんが、知っておくべき株だと思います

ジーンズの元祖であるリーバイスの誕生は
カリフォルニアのゴールドラッシュがきっかけ

リーバイ・ストラウス公式サイト画像リーバイ・ストラウス公式サイトより

 リーバイスの歴史は、サンフランシスコの歴史でもあります。

 1847年にアメリカとメキシコが戦争し、メキシコはカリフォルニアをアメリカに譲り渡しました。その後、白人が広大なカリフォルニアに入植しはじめました。

 1848年1月に、ジェームズ・マーシャルという大工がたまたま川で金塊を発見しました。そして12月に、ジェームズ・ポーク大統領が「カリフォルニアで金が発見された!」と正式発表しました。

 当時、カリフォルニアには殆どアメリカ人は住んでおらず、土地は誰にも所有されていませんでした。そのため、早い者勝ちでカリフォルニアへ移住して土地所有権を主張すれば、一攫千金を狙えたのです。

 そういう事情により、10年間に25万人がカリフォルニアに押し寄せました。これがゴールドラッシュです。彼らは、1849年からカリフォルニアに住み始めたので「フォーティーナイナーズ(49’ers)」と呼ばれます。そして1850年10月に、カリフォルニアは31番目の州としてアメリカ政府に認められました。

18歳のユダヤ人青年が営む雑貨屋から
リーバイス神話が誕生

 リーバイ・ストラウスはドイツ生まれのユダヤ人で、18歳のときにアメリカに移住。ゴールドラッシュの噂を聞きつけて1854年にサンフランシスコで雑貨屋をスタートしました。

 1870年に、ネバダ州リノで仕立て屋をやっていたジャコブ・デービスは、テントなどに使用される丈夫なダック地でズボンを作り、ポケットなどの綻びやすい箇所に銅のリベット(鋲)を打つことで補強することを考案しました。

 しかし、彼はパテント申請料を工面することができなかったので、ダック地の仕入れ元であるリーバイ・ストラウスに「一緒にパテントを申請しないか?」と持ちかけます。こうして鋲打ちジーンズは、1873年5月に米国特許番号第139121号として登録されたのです。

 ゴールドラッシュから25年近くも後にジーンズが登場したわけだから「金鉱で働く鉱夫がブルー・ジーンズを穿いていた」というのは嘘です。しかし、ブランドを語るストーリーとして秀逸なので、この誤った認識を会社側はわざと訂正しなかったのです。ちなみに、ベストセラー「501」は1890年のデビューです。

 1960年代、ベビー・ブーマー世代は未だティーンエージャーで、彼らがいろんな社会変革をもたらしました。ヒッピーやベトナム戦争などが、その時代を象徴する出来事です。そして、彼らの間でジーンズが大変流行しました。

 そうした世相を背景として、リーバイ・ストラウスは1971年にニューヨーク証券取引所に株式を公開します。しかし、競争の激化で業績に陰りが見えたことから、1980年代に経営陣により非公開化され、それ以来、創業ファミリーであるハース家が同社を所有してきました。

現在のリーバイ・ストラウスは、
従来の「守り」の経営から「攻め」の経営に方針を転換!

 今日、リーバイ・ストラウスは、世界110か国で「リーバイス」、「ドッカーズ」などのブランドを販売しており、56億ドルの年商があります。リーバイ・ストラウスの製造拠点は、ポーランドと南アにあります。

 リーバイ・ストラウスは、2011年まで「守り」の経営が続けてきましたが、世の中がどんどんカジュアルなファッションへと移行していることを見て積極経営に転じ、プロクター&ギャンブル(P&G)からチップ・バーグをCEOとして迎え入れました。さらにバーグCEOは、ハイアットホテルからハーミット・シンCFOをスカウトしました。

 チップ・バーグは、以下の4つの戦略を打ち出しました:

1. 男性向け主体だった戦略を改め、女性ファンも積極的に取り込むこと
2. ジーンズだけでなく上着にも注力すること
3. 米国内だけでなく海外にも積極展開すること
4. 卸売だけでなく自社店舗、ネット通販などマルチチャンネル戦略を推進すること

 これらは、いずれも比較的無理なく実行に移せる成長戦略であり、成功する確率が高いと思います

 また、リーバイスのジーンズは「ホンモノ」のブランドとして広く認知されており、消費者から飽きられていません。

 現在、リーバイスのジーンズは、世界5万カ所の百貨店や小売店で売られています。地域別では、米国が55%、欧州が29%、アジアが16%です。

 商品別では、ジーンズが74%、Tシャツなど上着が20%。チャンネル別では、卸市場が65%、800店舗の自社店舗を通じた小売が31%、ネット通販が4%です。さらに、ブランド別ではリーバイスが86%、ドッカーズが7%、その他7%となっています。

 リーバイ・ストラウスの1株当たり業績は、下のチャートのようになっています。

 なお、今回売り出される株数は3666万株で、売出し価格は14〜16ドル、公開規模は、5.13億〜5.87億ドルです。主幹事は、ゴールドマン・サックスとJPモルガンです。

【今週のまとめ】
リーバイ・ストラウスは、当面の間
冒険をしなくても堅実な成長が期待できる!

 リーバイ・ストラウスは、「リーバイス」というオーセンチックなブランドを頑なに守って来ました。世の中のファッションの流れがどんどんカジュアルになっているということは、「リーバイス」にとって有利な環境です。

 チップ・バーグCEOは、理に適った成長戦略を打ち出しています。当座は、その戦略に従い、商品や販売チャンネルの多角化を図るだけで成長することが出来ると思われます。

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