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脳梗塞を防ぐ画期的な手術TCARを実用化した「シルク
ロード・メディカル」に注目! 潜在的なニーズが
大きいうえ、米中貿易摩擦の影響を受けないのも魅力

2019年5月27日公開(2019年5月28日更新)
広瀬 隆雄
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米国では脳梗塞予備軍が年間42.7万人増加し、
そのうち25.9万人は治療をせずに放置

 脳梗塞(のうこうそく)は、頚動脈(首の辺りの動脈)にプラーク(斑=はん)、つまりカスが溜まることによって引き起こされやすい病気です。脳梗塞で倒れると、言葉が上手く喋れなくなる、手足の自由が利かなくなるなど、深刻な状態になる場合があります。

 頸動脈にカスがたまっている状態、すなわち頚動脈狭窄(けいどうみゃくきょうさく)の患者数は全米で430万人いますが、彼らは脳梗塞予備軍と言えます。毎年、新たに42.7万人が頸動脈狭窄と診断されており、このうち16.8万人が治療を受けますが、残りの25.9万人は、とりあえず何もせず様子を見ています。

シルクロード・メディカルは、
脳梗塞予備軍を治療する画期的なデバイスを開発!

 脳梗塞が起きてしまうと体が不自由になるなどいろいろ重大な問題が起こるのに、なぜ頚動脈狭窄になりながら何もせず様子を見る患者が多いのか。それは、これまでの頸動脈狭窄を治療する手術が、大掛かりでリスキーだったからです

 頚動脈狭窄に対して、今までは65年も前に開発された「頚動脈内膜剥離術(CEA:Carotid endarterectomy)」という大掛かりな手術がなされてきました。この手術は、首を「ガバッ!」と切開し、いろいろな神経を避けながら動脈をキレイに掃除するという難手術であり、ひとつ間違えば大変なことになってしまいます。

 しかし、シルクロード・メディカル(ティッカーシンボル:SILK)は、頚動脈狭窄の患者に対して「経カテーテル頚動脈血行再建術(TCAR)」という手術を可能にする医療機器のセットを開発しました。これは、頸動脈をキレイに掃除することだけを目的に作られた専用デバイスで、すでに米国食品医薬品局(FDA)からも承認を獲得しています。

 TCARの手法を説明すると、まず鎖骨のあたりをちょっとメスで切り、そこから動脈にカテーテルを挿入。カテーテルからスッと血を抜いて、その血をろ過フィルターに通し、血に混ざっているカスをキレイに取り除きます。そして、最後にその血を太ももの辺りからもう一度人体にもどしてやるわけです。ある意味、「コロンブスの卵」的に簡単な発想の転換だと思います。

 シルクロード・メディカルの専用デバイス群は、「エンルート・ステント」、「エンルート・フローコントローラー」、「エンルート・フィルター」などから構成されており、手術を行うには一式を揃える必要があります。

 シルクロード・メディカルのデバイスを使ったTCARだと、従来の手術のように全身麻酔をする必要がなく、部分麻酔でオッケーです。また、手術時間が大幅に短縮できるうえに、手術後数時間で退院し、自分でクルマを運転して帰宅することができます。従来の手術では、回復まで一週間くらい病院に入院しなければいけなかったのとは大違いです。

シルクロード・メディカルの
マーケティング戦略とこれまでの業績

 これまでのTCARの治療実績は7千件で、マーケットシェアは3%です。

 シルクロード・メディカルは、まず前述の頸動脈狭窄の患者のうち、治療を受けると決断した16.8万人をターゲット市場と捉えており、その市場規模は6.65億ドルです。現在のシルクロード・メディカルの売上高は3500万ドルにすぎないので、当面、このターゲット市場に働きかけていくだけでも大きな売上増が見込めます

 すでに、医療保険の払い戻しのコードも確立しており、払い戻しの面での問題はありません。

 古いやり方である頚動脈内膜薄利術ができる外科医の数は2750人で、全米の750の病院で行われています。これは比較的少ない数なので、少人数のセールスマンにより啓蒙活動をしてゆくことが可能です。

 シルクロード・メディカルは、元ボストン・サイエンティフィックのメンバーが興した会社で、経営陣は経験豊かです。

 2018年の売上高は前年比+142%で成長し、手術数は+153%で成長しました。

IPO後の株価は順調に右肩上がりで推移!
決算発表も問題なくクリア

 シルクロード・メディカルはIPOしたばかりです。4月3日に20ドルで値決めされ、上場初日の4月4日にいきなり+80%の36ドルで引けました。その後も株価はじわじわと右肩上がりで推移しており、先週の金曜日、5月24日の引け値は45.06ドルでした。

 5月10日には、IPO後初の決算発表も無難にこなしています

 第1四半期決算はEPSが予想-32セントに対し-20.12ドル、売上高は予想1225万ドルに対し1280万ドル、売上高成長率は前年同期比+124.6%でした。EPSが予想を大幅に下回った理由は、転換優先株のフェアバリューの値洗いにまつわり、1571万ドルのノンキャッシュチャージを計上したためです。これは本業とは何の関係もない“みなし損”ですので、無視しても良いでしょう。

 2019年度の売上高は、予想5983万ドルに対し新ガイダンス5900万~6100万ドルが提示されました。また、シルクロード・メディカルのデバイスを使った手術数を8000回、デバイスを採用する外科医の数を500人と見込んでいます。

【今週のまとめ】
シルクロード・メディカルはライバル企業がおらず、
米中貿易戦争の影響からも無縁

 脳梗塞の予備軍である頚動脈狭窄の患者数は、全米で430万人おり、これは大きなターゲット市場です。

 シルクロード・メディカルが開発したTCARを可能とするデバイスは大変使いやすく、手術のリスクを大きく軽減し、外科医や保険会社からの評判も上々です。ライバル企業は居ませんし、アプローチしなければいけない外科医の数は限られているため効率よく営業することが出来ます。

 医療機器メーカーの株は少し地味かも知れませんが、今、株式市場の懸念材料となっている米中貿易戦争とはまったく無縁のストーリーであり、かえって投資家の資金はこのような銘柄に向かうのではないかと思われます

■シルクロード・メディカル(SILK)チャート/日足・2カ月
シルクロード・メディカル(SILK)チャート/日足・2カ月シルクロード・メディカル(SILK)チャート/日足・2カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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