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地方移住をすると「月10万円で暮らせる」は本当か?住宅費や水道光熱費、教育費、自動車関連費用など、地方移住に関する“お金の注意点”をFPが詳しく解説!

2020年11月3日公開(2022年3月29日更新)
ザイ編集部
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地方移住で心配な「お金」の問題を、移住FP&移住アドバイザーがわかりやすく解説!

発売中のダイヤモンド・ザイ12月号では、特集「【地方移住&2拠点生活】のリアルレポート」を掲載! コロナ禍でテレワークを導入する企業が増加したことから、「地方移住」に関心を持つ人も増えている。だが、環境がガラリと変わることに不安を覚え、一歩を踏み出せずにいる人も多いだろう。そこで、この特集では、実際に地方移住を実現した人や、都市部に拠点を持ちつつ、郊外にも第2の拠点を構えて”2拠点生活”を送る人など、経験者10人を取材! 仕事の仕方や生活費、地元の人との付き合い方といった、気になるポイントを掘り下げている。

ここでは、移住を考えるうえで大切な「お金」の問題について、自身も山口県の周防大島に移住しているファイナンシャル・プランナー(FP)の泉谷勝敏さんと、移住歴20年超の移住アドバイザー・清泉亮さんが解説した記事を紹介。田舎暮らしではどんなことにお金がかかり、どの程度の準備資金が必要か取り上げるので、参考にしてほしい!
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地方移住の“6つのメリット”を紹介!「地方移住」や都心&地方の「2拠点生活」の体験者によると、人が少なく、生活費も安く済むことで、ストレスと無縁の生活に!

「田舎暮らし=生活費激減」とは限らない!
住宅費は安くなる場合が多いが、最初に多額の修繕費が発生しがち

 「生活費がガクッと減って、暮らしがラクになるのでは」と考えて、地方移住を検討する人もいるだろう。最近は移住生活について取り上げるメディアも増えているが、「月10万円で暮らせる!」などと紹介されていることもある。

 実際にはどうなのかといえば、地方移住の専門家たちは「一般的に、生活費は都会と比べて”約2割減”程度で考えておくのがいい」と指摘する。

 「移住で大きく減る費目は住宅費と、自分で農作物を育てるなら食費。それ以外は必ずしも減るとは限らず、月の生活費は、単身なら18万円は見ておいたほうがいい。1人家族が増えるごとに、そこから約2割ずつ費用も増えるイメージです」(ファイナンシャルプランナー・泉谷勝敏さん)

 そこで、ここからは地方移住した場合の「住宅費」「子どもの教育費」「自動車代」「水道光熱費」「葬祭・交際費」の5費目について、それぞれ注意点を紹介していこう。

住宅の修繕費にお金がかかる!

 まずは「住宅費」。過疎化が進む地域では無料、もしくはタダ同然の価格で家を手に入れられる、といった話をよく聞くが、実際にはレアケースだという。知人が掘り出し物を紹介してくれる場合もあるが、そもそも知人のいない新天地に移住するなら、いきなり好物件をお得に見つけるのは困難だ。

 なお、住宅は買うにしても借りるにしても、修繕費を覚悟しなければならない(賃貸物件でも、修繕費が借り手負担のことは多い)。多くの人が憧れる古民家やログハウスは、特に修繕費がかさみやすいので要注意だ。「ログハウスによくあるウッドデッキは経年劣化が激しく、修繕に数十万~100万円ほどかかるケースもザラです」(移住アドバイザー・清泉亮さん)

 賃貸でも修繕費がかかるなら、いっそ購入したほうがいい、と思う向きもあるだろう。だが、清泉さんは次のように指摘する。「都会で賃貸物件に住んでいた人は、地方で戸建てを買った場合の維持費の高さに驚くことも多い。憧れがあっても、最初は賃貸で様子を見たほうがいいでしょう
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銀行を辞めて、地方の“島暮らし”を選択した人の満足度は? 年収は銀行員時代の5分の1に減少も、共働き&10種類を超える副業で収入を確保して「毎日が幸せ」

近隣に子どもの学校が塾がないと、交通費がかさむ!
車社会で複数台の車を所有すれば、保険料やガソリン代もアップ

 続いては「子どもの教育費」。都市部のほうが高くつくイメージだが、住む地域によっては、むしろ地方のほうが高額になるという。「家の近くに学校や塾がないと、通学や通塾の交通費がかさむからです」(泉谷さん)。

 また、高校から寮に入ったり、地元外の大学に通ったりする可能性も、都市部に住んでいるときより高くなる。その場合、学費のほかに下宿費や寮費などを負担しなければならない。東京地区私立大学教職員組合連合の調査(2020年4月発表)によると、下宿している関東地方の私立大学生への毎月の仕送り額は、平均で8万3100円(※この調査は1985年から続けられているが、8万3100円という金額は過去最低水準)。つまり、子どもを下宿させながら大学に通わせる場合、学費以外に年間100万円程度の出費を覚悟しなければならないということだ。

車社会で、車関係コストはほぼ例外なくアップ

 次は「自動車代」について。公共交通網の発達した都市部の場合、車は一家に1台で十分だが、地方は基本的に車社会。大人1人につき、車1台が必要になる可能性も高い。

 また、農作業やDIYなどに注力するつもりなら、軽トラックがあると便利で、実際に所有している人も多いという。軽トラックを買うとなると、購入費のほか、免許の取得費用(※MT車が多いため、AT車の免許のみ持っているなら、限定解除の教習が必要)などもかかる。

 増えた車の分だけ税金や車検、保険のコストもかかり、もちろんガソリン代もかさむことに。「地方は競争が少ないため、都市部に比べるとガソリン代が若干高めになることも」(清泉さん)とのことで、自動車関連コストの膨張は覚悟しておこう。
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「生活は地方、仕事は東京」の“2拠点生活”を実践する家族を直撃! 雄大な自然の中で子育てができるのに加え、移住先で初体験する“仕事”で新たな生き方を発見

地域によっては、湧水が出て水道代が安いエリアも!
意外と”お付き合い”にお金がかかる場合もあるので要注意

 「水道光熱費」も、都市部より地方のほうが高くつく場合がある。そもそも、各種インフラの基本料金は、地域によってまちまち。水道については、都市部より高めの地域もあるが、「湧水を汲んでいる家や地区なら、安くなります」(清泉さん)。ガスについては、プロパンガスを使用するとなると、どうしても料金が高くなる。都市ガスよりも配送・管理コストがかかるからだ。インフラの状況に関しては、移住前にチェックしたほうがいいだろう。

 また、意外と高くつくこともあるのが「交際費」だ。地域に溶け込みたいなら、お祭りや近所の人の葬式などには、こまめに参加することが大切。加えて、増えがちなのが、近隣の人にもらったものへの「お返し」。「農作物をもらったとき、自分も何か育てていればいいですが、そうでないならお菓子などを渡すことに」(清泉さん)。お返ししないでいると、マナーが悪いと見なされる恐れもある。1回あたりのコストは小さくても、積み重なれば大きな金額になるので、念頭に置いておこう。

 以上、地方移住の「お金」問題を考えるうえで、注意しなければならない5つの費目について紹介した。泉谷さんによると、「移住を考える人は憧れが先に立って、お金の面で綿密な計算をしていない人が多い」とのこと。移住の準備資金は、100万~200万円程度用意する人が大半だというが、前述のように、住宅の修繕費などがかさんで、資金がすぐに枯渇してしまう場合もある。

 リモートワークなどで、もともとの仕事を続ける予定の人や、すでに移住先での就職先のメドをつけている人なら、多少資金が心もとなくても何とかなるかもしれない。しかし、新天地で仕事も見つけるつもりなのであれば、「おおむね生活費の2年分、300万~500万円くらいの準備資金があると安心です」(泉谷さん)。

 清泉さんはさらに、”移住に失敗した場合”についても考慮しておいたほうがいいという。「移住に失敗して都会に戻る例もあるので、都会で生活を再建できるくらい資金があるといい。また、老後は地方で暮らすよりも、都会のほうが便利な面もある。もし、移住前の持ち家を手放さずに済むなら、人に貸すなどして、持ち続けるといいでしょう」(清泉さん)

 地方移住にあたっては、お金の面以外に「移住を検討している地域が、移住促進に積極的か」「(子育て世代なら)教育制度はどうなっているか」「医療体制は安心か」など、事前にチェックしておくべきことは山積み。失敗して後悔しないためにも、慎重すぎるほどに慎重になることを心掛けよう。
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 今回は、発売中のダイヤモンド・ザイ12月号の特集「【地方移住&2拠点生活】のリアルレポート」から、地方移住にあたって注意すべき「お金」の問題について、専門家の意見を紹介した。

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