世界投資へのパスポート

上海株式市場の規制強化に端を発した
欧州株式市場のミニ・パニック。
やっぱり、売った方がいいの?

【第363回】 2015年4月19日公開(2017年11月29日更新)
広瀬 隆雄
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【今回のまとめ】
1.金曜日の欧米市場はミニ・パニック症状を見せた
2.上海株式市場の規制強化のニュースに動揺
3.中国政府の処方箋は正しい
4.世界株安ならFRBの利上げは見送りされる

金曜日の欧米市場が下落した3つの要因

 金曜日の欧米市場はミニ・パニック症状でした。

 その原因は三つあり、ひとつはこのところ過熱感のあった上海株式市場に関し証券監督当局が規制を強化したということです。

 二番目は、ちょうどそのニュースが出た前後、世界中の機関投資家が利用している情報端末が二時間近くに渡ってダウンしていたということです。世界のプロ投資家から頼りにされている株価端末にログイン出来なくなったということは、想定外の事であり、不安心理が増幅しました。

 三番目はギリシャ債務問題が、ぶり返しているということです。これについては何か新しい、驚くべき展開があったわけではないので、株を売る理由に引っ張り出されただけという気がします。

 結論から言えば、上海株式市場における規制強化は適切な措置であり、仮に上海市場が今後下げた場合でも、冷静に考えれば世界の株式市場や経済には全く影響しません。

 だから我々は慌てて日本株や米国株を売る必要はありません

上海株式市場での規制強化は「バブルの芽」を摘むもの

 上海株式市場はこのところ上げピッチが急でした。

 不動産が一連のバブル抑制政策で儲からなくなったので、投資家の資金が株に流れ込んだのです。そのことは素人投資家が証券会社に押し寄せ、新規口座の開設が過去最高水準近くに達したことからも確認できます。

 欧米のマーケットが機関投資家中心で動いているのに対し、上海株式市場の市場参加者は殆ど個人投資家です。しかも彼らの多くは信用取引で自分の資金力以上の相場を張っています。

 これを不健全と判断した中国の証券監督当局は、中小型株の信用取引の禁止を宣言するとともに空売り対象銘柄数を増やしました。

 中国政府は、バブルが嫌いです。アメリカで2000年代中頃に起こったサブプライム・バブルや、日本の1980年代のバブル相場などを研究し尽くし、バブルを放置することのリスクを良く心得ています。

 だからバブルの芽が出てきたら、早目にそれを摘んでしまうのです。今回の措置もそういう慎重な態度から出てきたものです。

欧米の機関投資過への影響は少ない

 世界の機関投資家のポートフォリオの中に占める中国本土市場の割合は微々たるもので、限りなくゼロに近いと言っても過言ではありません。

 だから今後、仮に上海株式市場が急落する局面があったとしても欧米の機関投資家のダメージは軽微です。

ゆっくりとしたペースでの緩和が必要な理由

 これをきっかけとして世界的な株安局面が来たなら、米国連邦準備制度理事会(FRB)は利上げを見送るでしょう。つまり下値リスクは限られているのです。

 一方、中国人民銀行はこのところゆっくりとしたペースで金融緩和しています。

 中国が金融引き締めではなく、信用取引規制強化で対応しているのは、正しい処方です。

 なぜなら中国経済そのものは、政府の方針でゆっくりとソフトランディングさせている最中であり、今後もブレない手綱さばきを必要としているからです。

 下は先週発表された中国のGDPです。第1四半期は7%でした。

 鉱工業生産の伸びはリーマンショック直後を除けば、今が一番低くなっています。

 さらに小売売上高の伸び率も低いです。

 中国は人民元を緩く米ドルに連動させています。このところのドル高で、中国のアメリカ以外の貿易相手との国際競争力は大きく減退したことを意味します。このため中国企業は儲かっていないところが多いです。

 つまり今後もゆっくりとした緩和のペースを維持することが必要なのです。そのことは短期的に上海株式市場が荒れたところで、緩和的な金融政策を背景に、いずれ行き場の無い資金は株に戻ってくることを示唆しています。

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