先週の米国株式市場は月曜日に力強く取引を開始しました。この日、ダウ工業株価平均指数、S&P500指数、ナスダック総合指数の三指数は、仲良く最高値を更新しました。
しかしその後は、このところのこう着した相場の地合いを受け継ぐかたちで一進一退となり、結局、週間ベースではダウ工業株価平均指数が-0.14%、S&P500指数は-0.02%、ナスダック総合指数は+0.09%でした。
現在、S&P500指数は過去12カ月の一株当たり利益(EPS)に基づき18.5倍の株価収益率(PER)で取引されています。これは過去10年の平均である15.9倍に比べると割高です。
高いバリュエーションを正当化できる唯一の理由は、金利が極めて低いからです。すると今後の政策金利の動向が、米国株の先行きを占う上で極めて重要になるわけです。
今週の注目ポイントは
8月26日のイエレンFRB議長のスピーチ
今週の注目点はワイオミング州ジャクソンホールで開催されるシンポジウムです。ジャネット・イエレン議長のスピーチは8月26日(金)朝10時(NY時間)からです。
例年、連邦準備制度理事会(FRB)は夏場に下半期から来年にかけての金利政策の大方針を固めることで知られています。ひょっとすると、その手掛かりが、金曜日のイエレン議長のスピーチで得られるかもしれません。
私は、このスピーチでは新しい事は何も出ないと予想しています。
その理由は、イエレン議長はコンセンサスを重んじる人だけれど、前回の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録を読む限り、メンバーの意見は紛糾しており、とても意見をまとめることができる状態ではないからです。
9月2日は雇用統計の発表日、
その後のレイバー・デーの三連休明けに注意!
するとマーケットを動かす、次のイベントは9月2日(金)の雇用統計ということになるでしょう。しかもその翌週の月曜日はレイバー・デー(労働者の日)で休日です。
アメリカ人にとってレイバー・デーは、ちょうど日本の4月1日の新年度入りと同じ意味を持ちます。なぜならアメリカの学校は9月からが新学期だからです。だからアメリカ人はレイバー・デー明けに(よし、今年も頑張るぞ!)と心機一転します。
株式市場との絡みでは「レイバー・デー明けは、相場のムードが変わりやすい」と言われています。
長いことお預けになっていた利上げの有無を決する、重要な雇用統計の発表が9月2日の金曜日にあり、その直後にレイバー・デーの三連休に入ってしまうということで、雇用統計の中身によってはマーケットが急騰、ないしは急落しやすいです。
仮に雇用統計が弱かった場合、利上げは遠のくと思います。
逆に雇用統計が強かった場合、9月21日のFOMC声明文はタカ派になることが予想されます。その場合でも、いきなり9月21日に利上げが実施される可能性は低いと思います。
つまり実際の利上げは大統領選挙の後、言い換えれば12月14日のFOMCに持ち越されると考えるのが自然です。
昔から「大統領選挙の年は現職大統領が再選されやすいよう金利が低く保たれるため、株式市場は堅調になりやすい」と言われます。そのパターンが、今年も当てはまるというわけです。
いずれにせよリスクとリターンをてんびんにかけると、現在の米国株の水準は割に合わないと思います。
【今週のまとめ】
いまの米国株には注意が必要
8月26日(金)のジャクソンホールでのイエレン議長のスピーチでは、何も新しい事は出ないと思います。その翌週の金曜日に発表される雇用統計は、レイバー・デーの直前ということもあり、注意を要します。リスクとリターンを勘案すると、今の局面では米国株に積極的になれません。
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